定点観測
report : 2022 | 
06 / 04

#495 | 実施日 : 2022 / 06 / 04 | 最高気温 : 25.6 | 最低気温 : 15.8 | 天候 : 晴一時薄曇

2022年6月4日(土)に実施した
「第495回定点観測」の結果を振り返りました。

注目したのは、①シースルーアイテム ②オールインワン ③男性のシルバーアクセサリー。

本格的な夏を目前に、ギラっとしたインパクトのあるスタイルが浮上。

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「定点観測」原宿の観察地点は、ここ明治神宮前原宿の交差点付近。

前日の雷雨が嘘のように、改正となった6月4日(土)に実施した「定点観測」。今回もプレサーベイに苦戦しましたが、最後に「これだ!」。メインストリームのトレンドとして、女性のシースルーアイテムをフォーカスすることになりました。
 
今月の観察テーマはこちら。
カウントアイテム: 女性シースルーアイテム、うち、シースルーボトムス
ズームアップアイテム①: オールインワン/ツナギ/ジャンプスーツ
ズームアップアイテム②: 男性シルバー・ゴールドアクセサリー
  
 
2022年6月の定点観測・トップページはこちら:


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(左から)三軒茶屋の人気古着店アルカヴィンテージで購入したシースルーにお花の刺繍が施されていたトップスを着ていた会社員兼モデルの女性(原宿)/下に重ねたアイテムの色で表情が変わるのがメッシュ・シースルーのポイント(渋谷)/2枚、3枚重ねるのは当たり前になってきた?(渋谷)
(写真左から)人気のメッシュアイテムは比較的ゆとりのあるシルエットのものが多いなか、こちらはウエストシェイプされたタイプ。タイトな見頃に対して袖のボリューム感が際立ち、グランジな印象に(原宿)/今季はシースルー素材のパンツが様々なデザインで登場している。比較的透け感が少ないクロシェ編みのようなニットも人気だ(新宿)/シースルートップスを取り入れる男性も一部見られた。足元はもちろんヒールブーツでジェンダーニュートラルなスタイルに(渋谷)。

カウントアイテム:女性シースルーアイテム、うち、シースルーボトムス
シースルーアイテムによるレイヤードスタイルが台頭。


では、順番に解説していきましょう。

今回取り上げた「シースルー」のブーム。直近では2021年7月のズームアップアイテムとして取り上げています。当時は急に登場したニット、中でもかぎ針編み(透かし編み)によるワンピースやメッシュ素材の羽織ものといったアイテムを中心に紹介し、COVID−19による緊急事態宣言が解除になった直後のような白Tシャツ、カラーリング(パンツやヘアスタイル)といったシンプル&ストレートなトレンドではなく、持っているものに1枚プラスしたり、ちょっとした変化球とでもいうようなレイヤード感、コーディネートにセンスが感じられるスタイリングなど、ストリートファッションの変化が感じられます。

さらにプレイバックすると、「シースルー」を取り上げたのは、2016年7月に「男女スケスケ・シースルーアイテム」、2011年8月まで遡ります。2011年当時はチュチュのようなボリュームのあるひざ丈ぐらいの甘めで可愛らしいスカートが主流でしたが、2016年はシティボーイ×女子っぽさの甘辛ミックスが特徴。経年変化を考察すると、この1〜2年はぐっと丈が長くなり、甘さ・かわいらしさ→大人っぽい上品な雰囲気へと変化していることに気づきます。

そんな流れを受け、2022年春夏のシースルーは、大きく以下の特徴がみられました。

1つは、Z世代を中心に流行している身体にピタッとフィットしたメッシュのインナートップスです。このトレンドを大きく後押ししているのは、三日月モチーフが特徴のフランス人デザイナーによるブランドMarine Serre(マリン・セル)「プリントトップ」でしょう。バレンシアガやマルタンマルジェラで経験を詰んだ彼女の代表的なアイテムでもある(リサイクル認定を受けている)ストレッチ素材はスケスケ&ピタピタで、ますトレンドのビッグシルエットの真逆のボディスーツのようなクリエーションが新鮮。昨秋より、類似するようなメッシュのストレッチインナーが急増し、上にシャツやジャケット、ブルゾンなどを羽織るスタイルとして提案されています。

2つ目は、同じメッシュ素材ですが、ピンクやイエロー、黄緑などカラフルなビッグシルエットのトップス。手持ちのTシャツやワンピースなどの上に重ねて、レイヤードされることによるあいまいなニュアンスカラーを楽しむスタイルが一気に増えました。

3つ目は、ふわふわっとしたシアー・シフォン素材でトランスペアレントなシャツ類を羽織るスタイルで、ここ数年増えているストレッチレースのパンツやスカートとともに、コンサバ層〜比較的高い年齢層に浸透しているようでした。

ということで、3名ほどインタビューを紹介します。

「シースルートップスは他にUNIQLO(ユニクロ)×Mame Kurogouchi(マメクロゴウチ)のものを2色買いました」と話してくれた三軒茶屋の人気古着店アルカヴィンテージで購入したシースルーにお花の刺繍が施されていたトップスを着ていた会社員兼モデルの女性のインタビューはこちら。
 
「いくつも持っています」と話してくれたのは、24歳の会社員。「ネオンピンクや黄緑、緑、白など。もともと派手な色が好きなんですけど、シアーのトップスなら持っている定番アイテムとも合わせやすく、気軽に派手な色が取り入れられるところが気に入っています」とのことでした。インタビューはこちら。
 
祐天寺に2022年にオープンした古着店Gabber (ガバー)でウィメンズのメッシュトップスを購入し、レイヤードしていた男子大学生は、「自分らしさが出せる服を模索中」と話してくれました。
 
渋谷、原宿、新宿各地点の「女性シースルーアイテム、うちシースルーボトムス」は、こちらからどうぞ。(↓)

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(左から)落書き風のポップな絵柄がかわいいオールインワンを着用したママ。着衣の乱れを気にしなくてもいいオールインワンは子育て世代にもぴったり(原宿)/ボリューム袖のブラウスとパンツを組み合わせたようなオールインワンはウエストマーク仕様でエレガントさアップ。胸元に入ったスリットでさらに大人っぽい印象に(原宿)/新宿ではベージュ系のオールインワンが目立った。ウエストを絞ったデザインで女性らしさを感じるものも多かった(新宿)/妊婦さんと思われる女性は鮮やかなピンクが目を引いた。オールインワンは体型カバーや着崩れ防止効果もあり、小さい子どもを連れた若いママにも人気だ(原宿)。

ズームアップアイテム①: オールインワン/ツナギ/ジャンプスーツ/コンビネゾン
「大人カジュアル」の定番スタイル。

続いて、1つめの「ズームアップアイテム」はこちらです。対象は男女。

直近では、2019年6月に取り上げていて、その前は2015年6月2014年7月と遡ることができる「オールインワン/ジャンプスーツ」。もともと飛行服として提案されたジャンプスーツは、上下が一つに繋がっているデザインの洋服をいい、袖付きのシャツとパンツが繋がった作業着=つなぎに代表されるようなアメカジが中心でしたが、襟なしやノースリーブなど、女性らしいトップスのデザインとタックパンツがつながったものなど、一見別々のアイテムのようで実は繋がっているなど、セットアップのようなアイテムとして、ワンピースを選ぶ気軽さ=「お便利アイテム」として徐々に人々に受け入れられるようになり、すっかり新定番に。年齢・ファッショントライブを超えて幅広い層へと浸透したことから、今回注目することにしました。

前日のプレサーベイで訪れた表参道界隈では40代以上の大人の女性の黒のオールインワンが散見され、「ひょっとしたらカウントアイテムになるのでは?」とも思いましたが、明治神宮前〜キャットストリート〜渋谷に移動すると徐々に減少。協議の結果、ズームアップアイテムに落ち着きました。

実査を終え、渋谷、原宿、新宿の3地点で散見されたオールインワンルックを振り返ると、30代〜40代の比較的上の年齢層の女性に、黒やベージュといった単色のオールインワンが多く、カジュアルになり過ぎないよう、ブランドバッグなどを合わせて「大人の休日スタイル」としてまとめているようすが確認されました。

また、厳密にはオールインワンではない、サロペットに近い「ストラップ付きパンツ」、サスペンダー付きパンツが予想以上に男女ともに浸透しており、中にはデニム素材のものも。とはいえ、アメカジ・古着というよりはキレイめカジュアルなスタイルが目立ちました。

ということで、オールインワン/サロペットのインタビューをピックアップしました。

アンダーカバーとGUのコラボレーション企画のオールインワンを着ていた振付師の女性に渋谷地点で遭遇。もともとオールインワンが好きだそうで、その理由として、「かっこいいすっきりしたイメージになるからかな」と話してくれました。


脇腹の部分が開いていて肌を露出するデザインのオールインワンを着ていた大学生は、韓国のアイドルASTROのライブを観に上京中でした。着ていたのは、YOUTUBEやInstagramで人気の加藤愛里さんがプロデュースしているインフルエンサーブランド「TINA:JOJUN(ティーナジョジュン)」のもの。「夏に一枚で着るものを探して買いました」と話してくれました。

「今日はオードリー若林風です」と話してくれた29歳の男性は、古着屋さんでたままた出会った黒いサロペットに白いTシャツを合わせるシンプルなスタイル。実は、サロペットは初めてだそうで、「挑戦してみよう!」と購入したところ、「案外何と合わせても様になるし、動きやすくて気に入っている」と話してくれました。

ということで、各地点の「オールインワン/サロペット/ジャンプスーツ」はこちら(↓)からどうぞ。

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各地点で出会った方々のシルバーアクセサリーの重ね付け。詳細は各インタビューのページをご覧ください。

ズームアップ・アイテム②: 男性シルバーアクセサリー/ゴールドアクセサリー
いくつも重ねて個性を主張。Y2Kのギャル男っぽいギラギラ感も。


2つ目のズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。


2020年10月、エルメスやティファニーといったヴィンテージのアクセサリーが業界人の間から火がついて流行したことを、「メンズのジュエリーがストリートの“隠れトレンド”に!」と題した記事として取り上げましたが、その後、2022年春になり、身に付ける数が増え、部位が多様になっているので、今回改めてフォーカスすることにしました。

きっかけとなったのは、ミキモト×コムデギャルソンに代表されるような、男性のパールのネックレスでしょう。類似する商品もたくさん登場。今回のインタビューでも、イミテーションのパールやチェーンを自作している若い男性にも遭遇。今ではティーンズを中心に流行しています。

また、一見全身ユニクロのように思われる男性も小さいながらも揺れるピアスをしていたり、リングの複数付け、ウォレットチェーン、iPodケースやコインパースなどの小さなパースを首から複数かけてペンダントのように装うスタイルが男性の間で大流行。さらに女性にも波及し、新しいアクセサリーのトレンドになっています。

「流行ってしまいましたが、やっぱり(エルメスの)シェーヌダンクルはいいなと思って」と話すのは、シルバーのネックレスやブレスレット、リングなど、全部で7〜8個身につけていた会社員の男性。インタビューはこちらからどうぞ。


ライオンや剣士などゴツめのデザインのシルバーアクセサリーを重ね付けしていた男性は、ブレスレットについて、「ARLAND BACKUS(マーランドバッカス)のものなんですけど、日本での取り扱いが少なくて。でも友だちの紹介でRADD LOUNGE(ラドラウンジ)に行ったらありました。海外のECは難しいので、お店で買いたい」と話してくれました。調べてみると、ARLAND BACKUSは、米ブルックリンのアクセサリーブランドで、日本では、先のR ADD LOUNGEと、The Four -Eyed、Deltaの3店舗でしか取り扱っていないようでした。インタビューはこちら。

最後はこちらの女性。リングやピアス、ネックレスなどシルバーのアクセサリーを複数付けしていました。左手のリングは、「duoctria(ドゥオクトリア)」というインスタグラマー系のアクセサリーブランドだそうで、「3〜4年前から徐々にアクセサリーをつける数が増えました」と話してくれたのが印象的でした。インタビューはこちらからどうぞ。
 
ということで、各地点の「男性シルバーアクセサリー/ゴールドアクセサリー」はこちら(↓)
 
[文責:高野公三子(本誌編集長)]


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