定点観測
report : 2021 | 
10 / 02

#487 | 実施日 : 2021 / 10 / 02 | 最高気温 : 30.1 | 最低気温 : 15.2 | 天候 : 晴

スニーカーから革靴への本格的な回帰が進行中!

2021年10月2日(土)に実施した「487回定点観測」の考察レポートです。

ロングブーツや厚底靴など、ボリュームのある革靴がストリートの主役に。

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(左から)ヒールブーツはメルカリで購入していた大学生。通学の時だけスニーカーを履くのだそう(渋谷)/ウィゴーのテーラードスーツの女性。ボトムスにニットパンツを合わせてカジュアルダウンした着こなしに仕上げていた(渋谷)/ZARAのネイビーのロマンティックワンピースの女性。ミニ丈で脚が長く見えるのが気に入って購入したのだそう(渋谷)。

台風一過となった10月2日の定点観測。緊急事態宣言も明け、久しぶりに路上でのN1デプスインタビュー再開です。
プレサーベイの結果、男女黒革靴(レザーシューズ)をメインテーマに、テーラードジャケットロマンティックワンピースの3つのテーマに注目することにしました。

カウントアイテム: 男性/女性黒革靴(レザーシューズ)
ズームアップアイテム①: テーラードジャケット
ズームアップアイテム②: ロマンティックワンピース

 
 2021年10月の定点観測・トップページはこちら:
https://www.web-across.com/observe/p7l7560000063udn.html


大ヒット&重版決定の新刊本「ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録」、本の紹介ページはこちらをどうぞ↓(PARCO出版)
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=405

 
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(左から)ティーンズを中心にここ数年大ブレイクしている厚底のボリューム靴はすっかり定番化。スタイルを問わず取り入れられている。お尻が隠れるぐらいのシャツやスウェットをワンピースのように着用するのも10~20代前半の若者ならでは(原宿)/ドレッシーなタッセルローファーも少数ながら見られた。ワークやミリタリーっぽいスタイルも、足元には上品な革靴というバランス感に変化していきそう(渋谷)/昨年ストリートに復活したロングブーツ。今秋冬はさらに増えそう。ミニ丈ボトムスとの組み合せで新しいシルエットバランスに(渋谷)。

カウントアイテム:男性/女性黒靴 (レザーシューズ)
いよいよ本格的に脱スニーカーへ。
今秋葉ブーツが流行に。

 
まずは、カウントアイテム「男女黒靴(レザーシューズ)」です。大きなテーマですが、これは、直近では2021年3月に台頭した「男女白スニーカー」にみられる“白”のトレンドが“黒”へとシフトした流れを背景に、足元も黒っぽいスニーカーやレザーシューズへと変化していることを数値として確認したい、という狙いが1つ。また、ちょうど「ACROSS」のアクセス解析をしていた際に、9月に入ってから、「スニーカーブームは終わった〜」という2019年3月に「女性ショートブーツ」をフィーチャーした際の解説レポートへのアクセス数が急増していることが分かり、ひょっとしたら世間(WWWの中だけですが!)の関心がこのフレーズに集りつつあるのかな、ということも意識して、今回のテーマとしました。

男女としましたが、男性と女性のトレンドはベクトルが違うようです。まず、2018年3月の「男性スニーカー」と取り上げたときに大ブームになった「ダッドスニーカー」をピークに、2010年代後半はスニーカーのデザインの多様化が急伸。テクノロジーを商品に反映させるのにぴったりなプロダクトとして、コラボレーションはもちろんのこと、NFTの投資対象としても注目されるなど、男性を中心に新しいマーケットキャップを形成している点が注目されます。

2019年11月に「ローファー」12月に「女性黒レザーシューズ」と女性のあいだでは、スニーカーブームはひと段落。厚底系のレザー(含むフェイクレザー)のシューズへと移行しています。その後、COVID19の影響で、日常着=コンフォート系のファッションへとトレンドが流れた後も、2020年12月には「ブーツ」2021年1月には、「ボリュームシューズ/厚底靴」と、いよいよ本格的に脱スニーカーの流れが浸透しているのでは、というのが1つの仮説です。ポイントは厚底でしょう。

一方、男性の足元のトレンドは、トライブごとに異なってきるようで、先月取り上げた「シャツルック」の男性は、すでに半分以上がスニーカーからレザーシューズに履き替えていました。

「ローファー」を取り上げたのが2019年11月なので、その後、ウィメンズで一般化したような厚底のトレンドとスニーカーのトレンドが融合して、新しい厚底のレザーシューズやブーツ、ヒールブーツなども今秋増えそうです。
 
渋谷、原宿、新宿各地点の「男性/女性黒靴(レザーシューズ)」は、こちらからどうぞ。(↓)


なお、「定点観測」では、過去41年分の全アイテム一覧をこちらからご覧になれます。
 

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(左から)男性はノースリーブジャケットもセットアップ風に着こなすケースが目についた。イヤーカフやリングの複数付けなど、男性のシルバーアクセサリーづかいが一般化している(渋谷)/男女問わず散見されたセットアップスタイル。キメキメにならないようにTシャツやスニーカーでカジュアルダウンしていた(新宿)/20代後半以上にはサイクルパンツのようなハーフパンツが人気。スニーカーやニットキャップなどスポーティーなアイテムにテーラードジャケットを合わせてカジュアルアップしていた(原宿)/おそらく古着屋で購入したと思われるベロアのジャケット。レトロ/ヴィンテージテイストはブームを超えてストリートに定着している(渋谷)。

ズームアップアイテム①:テーラードジャケット
わかりやすいグローバルトレンドの台頭。


1つめのズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。

実は、2021年3月にも取り上げたテーマですが、春のトレンドがよりバージョンアップして秋冬に向けて増える、しかもその兆しは10月に現れることが多い、ということで、再度注目することにしました。

違いのポイントは、色と素材です。当時は白っぽいトレンドが牽引していたなか、薄いベージュやクリームベージュ、薄いブルーなども散見されましたが、10月のテーラードジャケットは、ブラウン系や黒、またチェック柄が多いことに気づきます。

着用していた人にインタビューすると、「(形がきちんとしているので)体型がきれいに見える」(20歳女性)や、「この後GUCCIの展覧会を見に行くので、ドレッシーなスタイルにした」(18歳男性)、なかには、「いまジャケットが気分だからです。海外のオンラインサイトでPeter doのコレクションのルックを見て、テーラリングのきれいさに感動して影響を受けました。2ヶ月前くらいの出来事です。それまではkiko kostadinov(キココスタディノフ)などのワーク系を着ていました」(19歳男性)など、Z世代〜α世代にとっては初めてのテーラードジャケットで新鮮だったようでした。

ところで、テーラードジャケットビッグメゾンの一部が提案して国内外のファストファッションブランドがコピーし、消費者/生活者が反応した、という比較的オーソドックスなトップダウン型のトレンド。先ごろ終わった2022年春夏のパリコレなどみると、薄いイエローやグリーン、ラベンダーなどパステル調のテーラードジャケットの提案も多く、今秋はいったん黒っぽいジャケットスタイルが出て、来春には、少し上の年齢層にも広がりそうだ。
 
 
*各地点の「テーラードジャケット」はこちら(↓)からどうぞ。
 
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(写真左から順に)フェミニンテイストを好むマス層にはクラシカルな花柄のロング丈ワンピースが支持されていた。胸あてのようなサイドオープンのミニベストでトレンド感をプラス(原宿)/ZARAのネイビーのロマンティックワンピースの女性。ミニ丈で脚が長く見えるのが気に入って購入したのだそう(渋谷)/膝上丈のシャツワンピースはデザイナーズからMDブランド、ファストファッション系など幅広くリリースされている。特にガーリーでロマンティックなティアードデザインのものが人気(渋谷)

ズームアップ・アイテム②:ロマンティックワンピース
オンナノコっぽいガーリーなスタイルの台頭。


2つ目のズームアップアイテムはこちら。
 
1枚着用するだけで雰囲気が変わるワンピースはCOVID19の影響もプラスに働き、コンフォート&気分アゲ、ということでしょうか。タックやフリル、ティアードなどがあしらわれ、裾に向かって大きく広がるガーリーでロマンティック=オンナノコっぽいワンピースルックが気になる!ということで、10月のテーマとして注目するこにしました。

基本的に毎年夏になると流行するアイテムの代表格ともいえるワンピース。ロング丈のフェミニンなリゾートドレス調のものは、大人の女性に人気です。また、7月に取り上げたレースやメッシュニット、シースルーの素材のものは、パンツとのレイヤードスタイルとして幅広い層にも浸透していました。

デザインは女性らしいのですが、色は白や生成り、ベージュ、ネイビーなどシンプルで「甘過ぎない」のもポイント。インタビューさせてもらった女性が着ていた人気ブランド<メゾンスペシャル>のワンピースのように、ストラップ部分がちょっと変わっているなど、ちょっとデザインされているのも特徴のよう。

全体的には丈が長いものが多かったのですが、Z世代を中心に、ショート丈のものも散見され、来年はもっとデザインにインパクトのあるロマンティックなワンピースが幅広い層に浸透しそうです。

 
*各地点の「ロマンティックワンピース」はこちら(↓)
https://www.web-across.com/observe/p7l7560000063v7g.html

 
[文責:高野公三子(本誌編集長)]


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