定点観測
report : 2021 | 
01 / 09

#480 | 実施日 : 2021 / 01 / 09 | 最高気温 : 6.8 | 最低気温 : 3.9 | 天候 : 曇

新しいバランス感覚でスタイルアップ

2021年1月9日(土)に実施した「480回定点観測」の考察レポートです。

フェミニン&エレガントの新定番は“裾揺れパンツ”。
“90sリスペクト“を背景に、久しぶりに「東京ストリートファッション」が台頭!

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ダッドスニーカーとかハイテクスニーカー、厚底ブーツなどの流行を経て、2021年は「ボリューム感あるシューズ」がトレンドの主流に。左のまるでトラクターのタイヤのようなスニーカーはPRADA(プラダ)の「Cloudbust Thunder」。構築的で繊細なコートとの強弱バランスが面白い(左)/昨年6月に浮上したカラーパンツの人気は継続。裾にスリットが施されていることで揺れるパンツは2021年冬のトレンドに(右)。

緊急事態宣言が1カ月延長となって最初の土曜日、2021年2月9日。思ったよりもポカポカ陽気で、日中はアウターを手に持つ人もちらほら。取り上げた3つのテーマと、渋谷、原宿、新宿の路上で観察されたファッションの速報は、2月12日に公開の予定です。どうぞお楽しみに。

その前に、去る1月9日に実施した2021年最初の定点観測について振り返っておきましょう。注目したアイテム・スタイルは、「女性裾揺れパンツ、うち、フレアパンツ」「ボリューム・ネック(スタイル)」「ボリュームネック・シューズ(厚底靴)」の3つです。直接渋谷、原宿、新宿地点の1月のストリートファッションのローデータをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

2021年1月の定点観測・トップページ:
https://www.web-across.com/observe/p7l7560000052tl8.html

 
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(左から順に)直近では2017年ごろから幾度となく取り上げてきたフレアパンツだが、もっと遡ると1993年10月の定点観測でも取り上げていた。流行は繰り返す。その背景には、90sカルチャーへのリスペクトがあるようだ(原宿)/先月「冬の白」というテーマで取り上げた時にも多かった白いスラックス。上下白のワントーンでまとめるのがトレンド(渋谷)/裾の部分がプリーツ素材に切り替わったガーリーなデザインパンツはまさに裾揺れスタイル(原宿)/2019年5月に取り上げたアニマル柄アイテムが再びストリートに戻ってきた(原宿)。

カウントアイテム:女性裾揺れパンツ、うち、フレアパンツ。
スタイルアップとビッグシルエットとのウエル・バランス。

何といっても1月31日に発表された東京都のCOVID-19の新規感染者数が1,337人と初めて1,000人を越えたというニュースがショッキングだった2020年末。再び「Stay Home」が叫ばれ、帰省する人も激減し、いつになく静かなお正月を過ごした人が多かったのではないでしょうか。そして、新年7日からは2回目の緊急事態宣言が発出に。プレサーベイを行った8日の渋谷・原宿の街を行き交う人数はふだんよりぐっと減少し、なかなか観察するテーマを決めるのに苦労しました。
 
数時間、スタッフ全員で路上で観察しながら話し合った結果、ふと、実は女性のボトムスがスカートからパンツへと移行しているのでは、おしゃれな女性はパンツルックでは、ということになり、女性のパンツに注目しようということになりました。
 
ちなみに、過去の定点観測を振り返ると、1回目の緊急事態宣言後の7ヶ月間7回実施した定点観測(渋谷、原宿、新宿3地点平均)の「女性スカート着用率」の平均を算出したら、約42.5%(渋谷地点だけだと約31.1%!)と昨年よりも約1%減少。つまり、パンツが増加してはいたものの、数値的/量的には「パンツが増えた」とはいえない結果に。では、デザインに注目しよう、と観察すると、全体的にパンツのシルエットがやや裾に向かって広がっている人が多く、ようはひざ下部分がテーパードされておらず、広いまま、またはスリットが入っているなど、比較的柔らかめ・薄手の素材だったりニットだったりするため、裾がゆらゆら、ひらひらとたなびくような揺れるスタイルが一般化していることに気づきました。

その雰囲気は、2018年6月に「ひざ下丈スカート、うちフレア」というテーマで実施したときの“裾がひらひらと揺れてエレガントな雰囲気”とさほど違わない印象だが、それがパンツになっている! ということから、「裾揺れパンツ」という名称と定義化し、1月のカウントアイテム=マストレンドとして注目することにしました。 

もっとも多かったのは、ベージュ系や黒のゆるくフレア調になっているパンツですが、予想以上に目立っていたのが、2020年6月に「カラフルパンツ」という名称で取り上げた、ピンクやグリーン、テラコッタ、パープルなどのゆるいフレアパンツルックでした。靴がすっぽり覆われる程度の裾幅またはスリットが入っているなど、ロング丈のアウターと裾がひらひら・バサバサと揺れるスタイルは、ひとり1人存在感があって華やかな印象を受ける。
 
「スタイルが良く見えるのでフレアパンツが好き」と言うのは、GUの茶色いパンツを履いていた会社員の女性。去年くらいから履いているそうで、それ以前は501などのストレートのデニムをはくことが多かったところ、カラーパンツが流行った時に買ったらたまたまフレアで合わせやすく気に入ったと話してくれた。ほかにも黒、紫、青、オレンジのフレアパンツを買って履いているのだそうだ。
 
「パンツの裾がひらひらしているのがいまの気分に近くて選びました」と言うのは、29歳のアパレル関係者。この日は、渋谷パルコの「ComMunE(コミューン)」にお茶をしに自転車で来たと話してくれた。履いていたのはユニクロのもので、リラックスなテイストだけどセンタープレスがされていて生地がしっかりしているのが気に入ったと話す。
 
「このアシックスのスニーカーを履きたくて、カラーパンツがいいなと思って選びました」と言うのは、26歳の販売員。履いていたのは、77circa(ナナナナサーカ)のバーガンディっぽい色のもので、2020年8月にジャーナルスタンダードで2万4,000円で購入したのだとか。「このパンツはフレアだから、大きいニットと合わせると足がきれいに見えるんです。Tシャツと合わせてベルトを見せたりもします」とスタイルアップを強調。「裏地もあって1年中履けてお勧めです!」と話してくれた。手に持っていたハンドメイドの可愛い巾着は友人の手づくりだそうで、ビーズのマスクチェーンなど、2021年春夏に増えそうなクラフト感あるスタイルがストリートでも目を引きました。
 
このところ何度も取り上げてきたフレアパンツだが、70sや90sっぽい極端にストリート感のあるフレアパンツではなく、ほどよく裾に向けて広がるエレガントなデザインが人気。予想以上に浸透していることが確認された。裾にスリットが入っているものや、4〜5年前の大ヒット以来、幅広い年齢層にずっと愛用されているらくちんガウチョパンツ(ウエスト部分がゴムだったりする)なども含め、2021年冬は「裾揺れパンツ」が3地点平均13.9%の女性に着用されるストリートのトレンドになっていた。
 
渋谷、原宿、新宿各地点の「女性裾揺れパンツ・スタイル」は、こちらからどうぞ。
https://www.web-across.com/observe/p7l7560000052u7d.html
 
なお、「定点観測」では、過去40年分の全アイテム一覧をこちら(https://www.web-across.com/observe/cnsa9a000000wpq4.html)からご覧になれます。

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(左から順に)裾の部分がプリーツ素材に切り替わったガーリーなデザインパンツを発見。がま口バッグも根強い人気だ(原宿)/2020年度を通して人気のカラーパンツは裾が揺れるくらいのシルエットが定番。ネイビーや白とのバイカラーのコーディネートでスポーティな印象(渋谷)/裾にスリットが入っていることで裾が揺れるパンツも大ヒット中。ミニバッグも人気継続中で、中でも巾着バッグは男女問わず支持されている(原宿)。

ズームアップアイテム①:ボリューム・ネック
大判ストールで個性を演出。
メリハリのある新しいバランス感の浮上。

1つめのズームアップアイテムはこちら。対象は男女。

12月の定点観測も予想以上に寒かったのですが、1月9日も最低気温マイナス1℃、最高気温7℃とかなり冷え込んだ東京。ニューノーマル時代の新定番アイテムと考察した「フーディ」に近いニュアンスからか、襟元を立てていたり、首〜耳が隠れるくらい大きなマフラーなどを巻きつけて頭と一体化するようなボリューミーな首元=ボリューム・ネックスタイルが目立つことから、注目しました。

「大判のマフラーが欲しくて買いました」と言うのは、アダムエロペ別注のTHE INOUE BROTHERS(イノウエブラザーズ)のストールを巻いていた会社員の男性。シンプルで素材が良く、「巻くだけでそれっぽくなるから楽」と大きな布を身体にまとうことで醸し出されるニュアンス感を気に入っているようだった。
 
「ポイントになるようなボリュームがあるものが欲しかったんです」とインタビューに答えてくれたのは、23歳の会社員。英国最大級のECさいとASOS(エイソス)で1,500円で購入したもので、STUDIOS(ステュディオス)で購入したアメリヴィンテージのコートとの一体感あるカラーコーディネートが目を引きました。

「このスヌードは彼から借りています」と話してくれたのは、28歳のIT系の会社員。服や小物を共有することが多いそうで、この日のコートのシルエットが細身なのでスヌードでボリュームをつけてメリハリをつけたのだそう。
 
この後のズームアップ②とした「ボリューム・シューズ」も同様に、全身のサイズバランスにメリハリがある方が時代の気分。ビッグ&ビッグのシルエットが大流行した後のバランス感に変化がじわじわきているようだ。
 
*各地点の「ボリューム・ネック」はこちらからどうぞ。
 
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(写真左から順に)109系のティーンズたちはミニスカートで脚を出すのが基本スタイル。足元は厚底靴が定番(原宿)/真冬にも関わらず、超厚底のサンダルを着用した女性も散見された(原宿)/ハイテク感のあるボリュームスニーカーは圧倒的にNIKEのものが多い。こちらの男性はアウターやソックスもNIKEで統一(原宿)/ハイブランドとのコラボレーションも多いデザインスニーカーも目立った。こちらはパイソン柄(渋谷)。

ズームアップ・アイテム②:ボリューム・シューズ
90s、00sと2回あった厚底靴ブームは今も継続。
トレンドはそれぞれの人の中にある!

2つ目のズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。

ズームアップ・アイテム①の「ボリューム・ネック」同様、「ボリューム」続きとなってしまいましたが、先月(2020年1月)に「女性ヒールブーツ」をカウントアイテムとして注目した際、特に若い人に厚底靴が支持されていることと、ダッドスニーカーのブーム以降、ソールのデザインに特徴のあるスニーカーが多くリリースされていることから、ソール部分がボリューミー=厚底のシューズという切り口に置き換えて、観察・インタビューを行うことにしました。


「今日は上半身がシンプルな分パンツで柄、スニーカーでボリュームというバランスです」とインタビューに答えてくれたのは、24歳アパレル販売員の男性。ギザギザしたデザインが特徴の白いスニーカーは、ストックホルム初のブランド、Eytys(エイティーズ)のものでした。他にも韓国系ブランド全般が好きで、なかでもOY(オーワイ)は特に好きだと話してくれた。


「高校生の頃にきゃりーぱみゅぱみゅを見て厚底をはくようになりました」と言うのは、厚底靴で有名なブランド「ヨースケ」のスニーカーを履いていた25歳のアパレル販売員。「少しでも背を高く見せたい!」という気分から厚底がデフォルトになっているそうで、いつも丈が長めのパンツを履いているのだそうです。


黒と白を基調とした「ジェンダーレス・ミニマルパンク」がコンセプトのラフォーレ原宿にあるショップ、Never Mind the XU(ネヴァーマインド ザ エックスユー)で購入したデモニアのスニーカーを履いていた女性(23歳販売員)は、キャンディーストリッパーのフリル付きフレアパンツと合わせていました。なんと、厚底靴は中学生の頃から履いているそうで、きっかけは、『Zipper』『KERA』の影響なのだと話す。


想定内だった「脚長効果・スタイルアップ」以外に、90s、00sと2回あった厚底靴ブームのそれぞれの影響、当時の雑誌の影響などを話す人がいた点は興味深い。

実は、フィジカル&デジタル混合となった欧米のコレクションの提案を見ても、シューズのトレンドは多種多様。レザーかスニーカーかというような2軸ではもはやなく、ポインテッドトゥかスクエアか、ヒールのあるなしといった従来の提案でもなく、「(かたちは)いろいろある」という状態に。なんとなく、COVID-19禍も後押しをしたのか、「トレンドはその人の中にある」というような、「ファッションのシステム」自体が揺れている、そんな2020/21年秋冬ともいえそうな自体が足元から起こっているということかもしれません。

コレクションシーズンになっても、各都市のストリートスナップ(おしゃれな人、というだけでなく街の人々のリアルな装い)が見られないので厳密には比較できないが、おそらく、いま東京で流行している「ボリュームシューズ」は、ある意味、久しぶりの「東京トレンド」=ストリートファッションといえるだろう。
 
*各地点の「ボリューム・シューズ」はこちらからどうぞ。

[文責:高野公三子(本誌編集長)]



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