定点観測
report : 2022 | 
04 / 02

#493 | 実施日 : 2022 / 04 / 02 | 最高気温 : 12.9 | 最低気温 : 3.6 | 天候 : 薄曇時々晴

ラグランスリーブやドロップショルダーなど、リラックス感あるスタイルが人気に。

2022年4月2日(土)に実施した「第493回定点観測」の考察レポートです。

多様化するアウターの共通項はやはり超定番のベージュ系だった。

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ストリートでの着用者の多かったNeedlesの定番シルエット「ヒザデルパンツ」の男性と、ベージュ系アウターだったカップル。(原宿)/女性には定番だったベージュ系アウターだが、今春は男性の着用者も目立った。シミラールックの男女ペアも新宿地点では多く見られた。(新宿)。
新年度になりました。いつになくたくさんの方が新しい環境に「移動」するという報告をSNSで見かけるように思うのは、長かった新型コロナウィルス禍を(気持ち的に)乗り越えた、ということでしょうか。とはいえ、新規感染者数は案外減っておらず、第7波・リバウンドともいわれていることから、今回も感染予防を意識し、「現地集合・現地解散」というスタイルで実施しました。早く、コロナ前のように、最初と最後に本社会議室に集合し、事前レクチャーやリサーチ後にお菓子などを食べながら、インタビューシートを確認しつつ、ふりかえりができることを祈って。
 
カウントアイテム:  女性ベージュ系アウター、うち、ドロップショルダー/オーバーサイズ
ズームアップアイテム①:ニットカーディガン
ズームアップアイテム②: ジャージ/トラックパンツ
 
2022年4月の定点観測・トップページはこちら:
 
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(左から)2010年代以降の進化が止まらないデザイントレンチ。異素材ドッキングの次は、ヨーク部分に特徴のあるデザインがポイント。(渋谷)/『POPEYE』のようなシティガール風コーディネートにもベージュ系アウターはマストアイテム。ウェアだけでなく、ミニバッグやキャップなどでグリーンを取り入れる人が増加中。(新宿)/こ数年春になるとかならず浮上するテーラードジャケット。今春はウール素材ではなく、コットンやリネンのような風合いのものが増加。ナチュラルなムードの漂うベージュ系カラーとの親和性は抜群だ。(新宿)/シャツなどからはじまったパフスリーブのトレンドはロング丈のアウターにまで浸透。インナーダウンが登場して以来、アウターは軽い素材のものが主流になっている。(渋谷)

カウントアイテム:女性ベージュ系アウター、うち、ドロップショルダー/オーバーサイズ

さて、温暖化といわれている割には案外寒い日が多い今シーズン。実査当日も最高気温は12度とか13度とかいわれていましたが、案外風が冷たく、また、各地点3月と比べると人が少なく(女性が少なかったようです)、なかなか厳しい1日となりました。


プレサーベイを経て決定したメインのトレンドテーマは、「女性ベージュ系アウター、うちオーバーサイズ」です。近年の定点観測を振り返ると、2019年4月に「女性ベージュ系アウター」と大きなテーマを定めたときまで遡ります。当時は、「うち、ロング丈」にフォーカス。2017年2月に「ビッグシルエット」として注目した肩幅も身幅も大きくなり、多くの人の装いが「新しいサイズ感」へと変化していったことは、多くの人が肌感覚で実感していることでしょう。


少し振り返ってみてみましょう。新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響が「ストリートファッション」として表れたのは、色からでした。緊急事態宣言が明けた時に台頭した「クリーンな白」は、白いTシャツ、ブリーチヘア、白いブーツ、白いアウターなどと広がり、街全体が白っぽくなったことは、既に何ヶ月か前の考察レポートにも記しました。


一方、大きなトレンドの流れでもあるレトロブーム・古着・ヴィンテージの影響も大きく(先日公開したヴィンテージに特化したECサイト「VCM」の記事もご覧ください)、「女性茶ベージュ系アイテム、うちアウター」(2019年11月)と甘めの茶系が台頭。ミリタリーアウターのモスグリーンや、アウトドアブランドに多用されるネイチャー系の中間色、古着・ヴィンテージ人気によるレザーやエコレザーの醸し出す黒や色落ちデニムなどが増加していきました。


2021年になると急にリセット感のある黒が増加。同年2月に「男女黒アウター」として急浮上したモードっぽいスタイルを取り上げましたが、その後、再び古着・ヴィンテージっぽいベージュ・ネイチャー系、オフホワイトなど、リラックス感ある色やスタイルへと変化していきました。同年11月にフォーカスした「ブルゾン」のときにも言及したように、アウターのデザインが混在。トレンドが見えにくくなっていきました。


そして、2022年4月。眩しくなった太陽の光や気持ち・気分の切り替えなどに合わせて、明るめの色をまといたい、ということからか、量的に共通項として表れたトレンドが、「ベージュ系」のアウターとなったのかもしれません。とはいえ、かつて流行したトレンチコートのようなジャストサイズ、カチッとしたデザインではなく、デザインのディテールが多様になっており、なかでも袖付け部分が実際の肩の位置よりも落ちた=ドロップした「ドロップショルダー」のものが多いことから、フォーカスすることにしました。


12時ごろから17時ごろまで各地点で観察・撮影・インタビューを続けて、17時過ぎに
編集室スタッフのみ事務所に戻って振り返り。以下のようなコメントが出ました。

3月の風景と比べると、3地点とも人が少なめで街の活気も落ち着いていた。

女性のベージュ系アウターの多くがロング丈コートで、「新東京人」が多いからか、若干トレンドが戻ったような印象を受けた。

女性よりも男性のベージュ系コートの方がデザインディテールに個性が感じられる人が多かった。「男女ベージュ系アウター」とすればよかったかも。



「原宿のG.U.(ジーユー)でバイトしていたときにお客様が着ているのを見てかわいいと思って、自分でネットで調べまくって探し当てました」と言うのは21歳の大学生。人気クラネのコートはベージュというよりはレモンイエローに近く、薄手の素材で、袖の部分のデザインが特徴。「就活であたまがいっぱい!」と言いつつも、春のアイテムはネットでチェックしていると話してくれた。

インタビューはこちら。
 
対象ではなかったのですが、男性のベージュ系アウターの人にもインタビュー。
「ヴィンテージをディグっていくうちに、結局ベージュというか生成り色に行き着いたというか。後染めとかももちろん好きは好きですけど。ちなみにこれは紅茶染めです」と話してくれたのは、26歳の革職人でした。独特のくたっとした雰囲気のあるコートは、Andrew Driftwood(アンドリュードリフトウッド)という日本のブランドのもので、西荻窪にある「poef(ポエフ)」というお店で購入していました。同店は他にも「無相想(ブアイソウ)」とお店や設計施工などの事業も展開しているそう。

インタビューはこちら。
渋谷、原宿、新宿各地点の「女性ベージュ系アウター、うちドロップショルダー/オーバーサイズ」は、こちらからどうぞ。(↓)
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(左から)サングラスをしたブタが賑やかに飛び回っている、ファニーな柄のカーディガンが目立っていた女性。夏に向けてカラフルな装いがますます増えていきそうだ。(新宿)/80sのキャラクターブランドのような色や柄がユニークなアグリーセーターも人気。スマイルマークをあてたリメイクデニムなど、ハッピーなスタイルも増えている。(渋谷)/鮮やかなイエローに一目惚れしてフーズフーギャラリーで購入。(渋谷)/POPなグラフィックのカーディガンに、ヴィンテージのChristian Dior(クリスチャンディオール)のメッセンジャーバッグのミスマッチが今っぽい。(原宿)

ズームアップアイテム①: ニットカーディガン

1つめのズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。

2021年11月にも取り上げたニットカーディガン」。その後、さらに色やデザインが豊富になっているので今回取り上げることにしました。ポイントは、着用している年齢層がさらに若くなっていたことでしょうか。イエローやグリーンなど、発色の良いものが好まれていたり、前回取り上げた時にも散見されたアグリーニットと呼ばれる色や柄がゴチャゴチャしたものなど、古着やヴィンテージの個性的なものも目立ちました。
 
「明るい色が欲しくてこのカーディガンを買いました。パキッとしすぎず、優しい色だから選びました」と言うのは25歳の会社員の男性。原宿の古着店で購入したというカーディガンは、色鮮やかなライトグリーンでした。

インタビューはこちら。
 
「切り替えやピンクのステッチなど珍しいデザインにひかれて買いました」と言うのは、21歳のフリーターの女性。見頃と袖が別々の編み地になっている個性的なデザインのニットは、ジュエティのものでした。パメオポーズやマルジェラ、GANNIなど、ちょっとひねりのある個性的なブランドが好きだそう。

インタビューはこちら。

基本的には、ブルゾン、アウターとしてラフな感覚で着用されており、着方によってかたちが変わり、身体に合わせてなんとなく「自分のものになる」アイテムと発言していた人もいたのが印象的でした。

*各地点の「ニットカーディガン」はこちら(↓)からどうぞ。
 
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(写真左から)カッパのトラックジャケットにデニムと90年代っぽいストリートカジュアルな女性。(渋谷)/定点観測でもしばしば登場する「うさぎのカメラマン」によるブランド「FR2」のジャージパンツの女子に遭遇。バスケットボールウエアのようなフレアのシルエットにサテンのイエローで女子のラグジュアリーストリートスタイルに。(渋谷)/中目黒のアーニーパロのセットアップがモンドな雰囲気だった男性。(渋谷)/ヴィンテージスタイルの差し色コーディネートとして真っ赤なジャージーパンツを履いていた男性。(原宿)

ズームアップ・アイテム②: ジャージ/トラックパンツ

2つ目のズームアップアイテムはこちら。

「ジャージ」の厳密な定義は、メリヤス(天竺生地)で作られた衣類の総称ですが、ここでは、あえてスポーツシーンで着用されるようなトレーニングウエア、トラックパンツや、部活のジャージというようなアイテムをファッションアイテムとして街で着用している、そんな90年代っぽいスタイルがじわじわ増えているので、今月フォーカスすることにしました。

着用するのは圧倒的に若い世代=ポストZ世代になるのでしょうか。ティーンズが目立ちます。そのわかりやすいスポーツアイテムの日常着スタイルは、90年代に一般化したスタイルで、例えば、1996年4月の彼女や、1997年3月の彼女などに見られたような、「ストリートカジュアル」な流行が思い出されます。当時も今もある意味、ジップアップブルゾンとして、デニムやカーゴパンツなどと着用しているのですが、その服のサイズ感や、ヘアメイクなど、全体のバランスが随分と異なっていることにも気づきます。

今回は、トップスだけでなく、ジャージ(パンツ)、トラックパンツにも注目。男性に多かったライン入りのものは、ネペンテスの別ブランド、Needles(ニードルス)が飛び抜けて人気だったのも興味深いところです。
 
「もともと「アーニーパロ(Ernie Palo)が好きで、セールになっていたので買いました」と話してくれたのは、独立したばかりという広告関係の自営業をする男性。ブルックスブラザーズのシャツやパラブーツなど、古着屋メルカリなどを上手に活用していました。

インタビューはこちら。
 
「赤は持っていなかったので買いました。トラックパンツにハマっていた時期があって、6本くらい持っています」と言うのは、関西から出張中だった男性。チャイナシャツとレザーのブルゾンにスラックスっぽくきれいめにまとめていたのはアパレルの人ならでは。お手本にしているのは、ユナイテッドアローズの吉岡玲欧さんだそう。

インタビューはこちら。

今回新鮮だったのは、スポーツテイストを生かした着こなしだった90年代、00年代とは異なる、ユルっとした素材の比較的カラフルなフレア(またはストレート)パンツといったヴィンテージスタイルのアクセントとしての存在になっていたことでした。
 
 
*各地点の「ジャージ/トラックパンツ」はこちら(↓)
 
 
[文責:高野公三子(本誌編集長)]


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