2025年の定点観測もあっという間に後半に突入。いよいよ真夏の気配が漂いはじめた東京のストリートですが、今春マス化したガーリーでロマンティックなムードが引き続き目立ちます。シースルーアイテムやストラップシューズ/フラットシューズなど、今年の定点観測ではすでにガーリーなテイストに紐づくアイテムを繰り返し取り上げてきましたが、なかでも特に多く見られるフリルで装飾されたアイテムをカウントアイテムとしました。ズームアップアイテムは、Y2Kトレンドに乗って数年前から浮上していた「デザインベルト」、今夏増加してレイヤードスタイルのキーとなっている「シャツスタイル」に注目しました。
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カウントアイテム:女性フリル付きウェア、うち白/アイボリー
ファッショントライブを問わず一般化し、ギャルミックスやバレエコアなど多様なスタイルへと進化。
コロナ前後の定点観測では2018/9「フリル付きトップス」、2021/10「ロマンティックワンピース」など、デザイントップス人気の延長でガーリーかつ装飾的なテイスト(シモーンロシャ的な)が浮上した時期もあったのですが、ここ数年はバレンシアガが主導するストリートテイスト&ジェンダーニュートラルなスタイルが主流化していました。その揺り戻しか、今年は「バレエコア」等の韓国トレンドも背景にしてガーリーなスタイルが浮上。数年前との大きな違いは、時代を問わず脈々と残るコンサバ/フェミニン系のファッションを好む層以外にも広く浸透しているという点。脱・ストリートカジュアルの文脈で同じく昨年から浮上しているギャルテイストとのミックスや、デフォルト化したジェンダーニュートラルなスタイルとのミックスなど、多様なミックススタイルへと進化。アイテム自体は過去のリバイバルでも、「赤文字系」/「青文字系」、あるいは「エンジェラー」/「ロリータ」/「森ガール」というような既存のカテゴリーによる分類が成立し得ない、複雑な要素のナチュラルな混淆に現代性を感じます。
■各地点の「女性フリル付きウェア、うち白/アイボリー」はこちら
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(左)「最近ヴィヴィアンの甘めなスタイルが好み」と話す女性。NewJeansの影響でフリルやギャザーのついたガーリーなデザインにが気になり出したという(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bsyz.html)。
(右)花びらがあしらわれたレースのドレスは韓国ブランドHOLYNUMBER7のもの。(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bsfv.html)。
(右)花びらがあしらわれたレースのドレスは韓国ブランドHOLYNUMBER7のもの。(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bsfv.html)。
ズームアップアイテム①:デザインベルト
Y2Kトレンドの一環としてストリートに定着。
昨年の今頃もプレサーベイで候補にあがったデザインベルトですが、満を持して今月取り上げることになりました。ディーゼルのDロゴバックルやギャル男(お兄系)風のギラギラなベルト等、インパクトのあるデザインのベルトが再ブレイクしています。大まかに言えばやはりY2Kトレンド。先月取り上げたチャームなどと同様、デコラティブなムードの一環と捉えられます。00年代の定点観測でも2001/5「女性ベルト着用うち二段穴ベルト」、2004/9「女性ベルト着用うちアクセサリーベルト」と何度もベルトに注目(しかもカウントで!)していたように、現在のデザインベルトやローライズスタイルは00年代前半の文脈。当時はスリムシルエットのパンツが主流だった点が大きな違いとはいえ、比較的近年の2017~19年頃に流行したハイウエスト&ウエストマークのベルテッドスタイルからの変化が感じられます。
■各地点の「デザインベルト」はこちら
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「全身を平成ギャルの感じで合わせようと思ってベルトもつけました」という男性。ギャルのみならずギャル男¥のリバイバルも始まっている(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003btp9.html)。
(右)自作のスタッズベルトを着用していた男性。「ベルトは2個付けするとボリュームも出て結構いい感じ」と話す(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bu5z.html)。
(右)自作のスタッズベルトを着用していた男性。「ベルトは2個付けするとボリュームも出て結構いい感じ」と話す(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bu5z.html)。
ズームアップアイテム②:シャツスタイル(含ブラウス)
オーバーフィットからタイトフィットへの移行が進行中。
ボトムスレイヤードやシースルーアイテムの人気など、レイヤード感覚がストリートに浸透したこともあり、猛暑にもかかわらずシャツをプラスした着こなしが浮上。近年は2024/10「チェック柄シャツ」、2023/6「ブルーシャツ」等、2022/9「シャツ羽織り」と繰り返しテーマとしているシャツですが、「肩抜き」スタイリングやボリューム袖が流行した2017年頃〜ストリートカジュアル全盛の2023年頃まではオーバーフィットでカジュアルなシャツが人気でした。一方で今年はヘルシーなタイトトップスのトレンドを経てシャツ類もジャスト〜コンパクトなサイジングへと変化しており、短い丈のものも増えています。カウントアイテムとも重なり、フェミニンなムードの台頭でデザインシャツ/ブラウス類も再増加しているほか、90sギャルを思わせる花柄(アルバローザ的な)などの柄シャツも案外多く見られます。
■各地点の「シャツスタイル(含ブラウス)」はこちら
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(左)「タイトさや、トラが主張しすぎなくて気に入っています」と話す男性。メンズのシャツもいよいよタイトなサイジングに変化してきた。(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bu8d.html)。
(右)「きれいすぎないカジュアル、ボーイッシュみのあるスタイルに。POPEYEとかのシティっぽいスタイルを意識して、眼鏡とかネクタイでナードな雰囲気にまとめました」という女性。シティボーイっぽいスタイルが再浮上している(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bufj.html)。
(右)「きれいすぎないカジュアル、ボーイッシュみのあるスタイルに。POPEYEとかのシティっぽいスタイルを意識して、眼鏡とかネクタイでナードな雰囲気にまとめました」という女性。シティボーイっぽいスタイルが再浮上している(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bufj.html)。