定点観測
report : 2023 | 
02 / 04

#503 | 実施日 : 2023 / 02 / 04 | 最高気温 : 11.2 | 最低気温 : 2.2 | 天候 : 晴時々曇

2023年2月4日(土)に実施した「第503回定点観測」の考察レポート

「白」から「黒」へと人びとの装いが一転していた2023年東京のストリート。

中国を除き、海外からの観光客が一気に戻ってきている東京。「黒」の浮上は、ひとつの大きなトレンドが終わったことを示すリセット期?

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中国からはまだのようですが、海外からの外国人観光客がかなり戻ってきていた渋谷の街。この日ロエベでは「ハウルの動く城」とのコラボレーションの広告展開が始まっていて、「わたしの心に住むキャラクター」を見つけようと、各路面店に設けられたQRコードを読み込むシーンが目立った。

2023年2月4日(土)、503回目の「定点観測」を実施しました。

つい先日実施したと思いきや、もう2023年2回目=2月の定点観測(1月は14日に実施したため)。12月に多かった白いアウターが一転して黒になったね、というストーリーだったのですが、2月3日のプレサーベイではさらに黒、黒、黒。しかも、圧倒的にダウン・中綿入りのアウターが増えているので、カウントアイテム(メインテーマ)として取り上げました。

他には、スポーツっぽさが削ぎ落とされておしゃれになった「スウェットパンツ」、隠れたネクストトレンドでもあるトラッドファッションのアイコンの1つでもある「ダッフルコート」をテーマとしました。
 
カウントアイテム: 女性黒アウター、うち、ダウン・中綿入りアウター 
ズームアップアイテム①: スウェットパンツ
ズームアップアイテム②: ダッフルコート   
 
2023年2月の定点観測・トップページはこちら:
 

4回目の重版となった書籍「ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録」、本の紹介ページはこちらをどうぞ↓(PARCO出版)
 
 
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(左から)迫力のあるマキシ丈のドレス調コートもしばしば見られた。ヒールブーツがマストレンド化したいま、細ヒールのパンプスが新鮮に映る(新宿)/ぽてっとした中綿ならではのシルエットをラグランスリーブや裾広がりのシルエットで強調したデザイン。スカートオンパンツのようなボトムスのレイヤードも増えている(原宿)/ショート丈ダウンJKにレギンスだけという欧米人のようなスタイルも増えてきた。先日終了したパリコレメンズで発表していたsacaiもピタピタのレザータッチのレギンスが提案されていた(渋谷)。

カウントアイテム:女性黒アウター、うち、ダウン・中綿入りアウター


では、順番に説明します。


実は、2022年2月の定点観測のカウントアイテムが、「男女中綿入りアウター」。当時、ダウンというよりは、アウトドアやスポーツ系のブランドのファッション化を背景に、うっすら中綿の入ったアウターが急増。機能性×ファッションが人びとに受け入れられたアウターの流行でした。既存のアウターの上にスリーブレスのものをレイヤードするスタイルも一般化。カラフルなものも増え、マフラーなどパーツアイテムも登場し、中綿入り・ダウンはすっかり素材のひとつとして浸透していったと考察しています。

そして、1年が過ぎた今、カラフルなニットも2023年春夏も人気は継続しそうですが、白だったマルキュー系の女子のボアやムートン風アウターがデザインは変わらず色だけが黒になっていることにし気づきます。先月のオーバーフィット・アウターでもたくさん見られたショート・ミドル丈のダウンジャケットをガバっと羽織るスタイルなど、シンプルな着こなしが戻ってきているようです。

人々の装いが黒くなったことで、街の色も黒っぽく変化する2月。この久しぶりの「黒」の台頭。長年の「定点観測」からすると、大きなトレンドがひと段落し、次のトレンドへとスイッチする転換期に浮上しがちな色でもあります。

ここ数年のいろいろなデザインモチーフがアレンジされてバージョンアップしたり、レイヤードするなど工夫を凝らした着こなしに飽きたのでしょうか。次のトレンドの切り替え前の「リセットの黒」とでもいうような雰囲気も感じます。来会者も戻り、確実にCOVID19でもたついた流行・トレンドがひと段落し、次のフェーズへと移行しているといえそうです。

ということで、各地点の「女性の黒アウター、ダウン・中綿入りの黒いアウター」のようすはこちらからご覧ください。キャプションも必読です!
 

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(左から)ブーツインスタイルも散見された。ペールピンク~ホワイトの柔らかい色合いも、プラダのショート丈ダウンやムーンブーツなど、近未来感のあるアイテムでセレブ風の着こなしに(原宿)/スウェットパンツのコーディネートで目立っていたのが黒ダウン/中綿入りアウターをあわせたモノトーンスタイル。カジュアルながらもハイストリート風の仕上がりになる(原宿)/KITHでお買い物したらしき男性。街では、オランダ生まれのブランドVanMoof(バンムーフ)や、ピストバイク専門店が手掛けたCARTEL BIKES「ebo」など、ストリートっぽいEBikeが増えている(渋谷)/ボアのアウターやハットのモコモコしたコーディネートにスウェットパンツでさらに温かみをプラスし、カジュアルでリラックスしたムードに。スニーカーはナイキが全体的に圧倒的な支持を得ている(新宿)。

ズームアップアイテム①: スウェットパンツ


1つめのズームアップアイテムはこちら。

スポーツアイテムの代名詞のようなスウェット素材のパンツ。定点観測を振り返ると、まったく同じ名称では1987年2月にまで遡ります!当時は、スポーツアイテムを都会の生活で=アーバンスポーツというようなキーワードが流行。NYで働くビジネスパーソンが、ジャケットやコートにスウェット&スニーカーというスタイルがトレンドになりました。

その後、スウェットは「素材」のひとつとして、ファッションアイテム化が進行。「スウェット素材トップス」や「同アイテム」といった名称で、何度となく浮上し、取り上げてきましたが、いずれもスポーティ、ストリート、若者といったニュアンスの記号として、流行してきました。

途中、ボトムスではなくトップス中心ですが、「スポーツジャージ(トップス)」として、2002年4月にも取り上げています。

しかし、直近では、2022年4月の定点観測で「ジャージ・トラックパンツ」を取り上げましたが、インタビューをしてみると、大ヒットしたニードルスに代表されるように、スポーツアイテムというよりは、「ライン入りのジャージ素材のデザインパンツ」という認識で支持されていた、という発見がありました。

そして、今回の流行は、もちろん、ダボっとしたストリートスタイルでの着用も見られますが、どちらかというと、布帛やウールにはない柔らかい素材のパンツ=キレイめのゆるパンツとして支持されているようにも見えます。

実際には、今回のカウントアイテムとした黒いアウターに、軽さ、ヌケ感を演出するような着こなしが目立ちました。
 
*各地点の「スウェットパンツ」はこちら(↓)からどうぞ。
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(写真左から)「シルエットとかデザイン、紫の色が気に入って選びました」(渋谷)/最初はラルフローレンなどで探していたものの、今ひとつ面白みにかけるなと思っていたらこのシュガーヒルのダウンに出会っい、「遊び心があるデザイン」が気に入ったと話してくれた(原宿)/古着店で購入したフェノメノンのショート丈ダッフル。カジュアルなニュアンスが気に入ったのだそう(渋谷)。

ズームアップ・アイテム②: ダッフルコート


2つ目のズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。

1月の定点観測のアイテムを決めるプレサーベイの時にも検討し、実査の時には小雨模様だったからか、比較的大人の多い渋谷地点で散見されたことや、いくつかのメゾンからもメンズファッションウィークなどでも発表されているなど、「ボタンではなく、麻などのループにトグルを通して前をとめるアウター」が増えていたので、その総称=ダッフルコートとして、取り上げることにしました。

41年の定点観測の歴史を振り返ると、90年代以降でも、1993年1月「男女ダッフルコート」1999年1月「パステルダッフルコート」や、2010年12月「ショート丈ダッフル」、そして、2013年3月シティーボーイのブームの時(インタビュー例)など、デザインがアイコニックだからか、どちらかというとトラッド(伝統的)なニュアンスを残したものが多かった印象を受けます。

そこに、今回はデザイナーズブランドなどが、トグルをデザインモチーフとして採用しているケースも少なくないようです。

「長いひもを自分で切ってもOKでそれぞれ買った人が自由に着られるように」ということで、他とかぶらず自由に着こなせるのがよかった点」にひかれて、人気デザイナーズブランド「シュガーヒル」のダッフルコートを購入していた男性。
https://www.web-across.com/observe/p7l756000008r08m.html

「中学校の時に親に買ってもらって以来のダッフル」と話す30歳の会社員の男性。「スタジャンのメンズっぽさと、ダッフルのかわいさのギャップが気に入った」と古着屋のオンラインでフェノメノンのショート丈ダッフルを着ていましたた。
https://www.web-across.com/observe/p7l756000008qzpi.html

他にも古着店で購入していた人も少なくなく、昔からあるトラッドなテイストのアウターとして、今のスタイルにミックスした着こなした目立ちました。
 
*各地点の「ダッフルコート」はこちら(↓)

[文責:高野公三子(本誌編集長)]


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