2025年8月回の定点観測・考察レポート
定点観測
report : 2025 | 
08 / 02

#533 | 実施日 : 2025 / 08 / 02 | 最高気温 : 35.1 | 最低気温 : 24.9 | 天候 : 晴時々曇一時雨

2025年8月回の定点観測・考察レポート

猛暑時代のニューノーマル?男性の膝丈ハーフパンツが増加中。

いよいよ今年も夏本番。街を見渡してみると女性のトップスレイヤードスタイルやミニ丈ワンピースといった今年らしいスタイルもさまざま浮かび上がってきたのですが、昨夏ソックス見せスタイルとともにブレイクし、この1年間で急速な広まりを見せている男性のハーフパンツスタイルをカウントアイテムとして記録することにしました。ズームアップアイテムは、今夏急速に幅広い女性に浸透している「チェック柄アイテム」、Y2K~ギャルブームによって真夏にもかかわらずストリートに定着した「ブーツ」としました。

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カウントアイテム:男性ハーフパンツ(5〜7分丈)、うち6〜7分丈
バギーパンツのトレンドを引き継ぐスケーター/ラッパー風のゆるっとしたサイジングがポイント。

2024/7に取り上げた「バギーショーツ/ワイドショーツ」同様、ハーフパンツといっても膝上丈のコンパクトなショーツではなく、ワイド/ルーズなシルエットで膝~脛あたりを覆う長めな丈感のパンツがZ世代を中心に一般化しています。2023/7の「ハーフパンツ+ソックス」も比較的直近の事例ですが、当時は膝上丈が主流。それ以前に遡るとさらに丈が短くなっていくので、やはり潮目の変化は昨夏と言えそうです。今年はさらに丈が伸びて6~7分、あるいは久しぶりに浮上した腰ばきによって丈が長めに映るような着こなしが浸透。とにかく、スケーター/ラッパー風のゆるっとしたサイジングがいまっぽさのポイントです。このトレンドは2023~2024年にかけてのルーズフィット(バギー)ジーンズ大流行と相関関係にあり、丈感が変化してもコーディネート全体の印象は大きく変わりません。
素足やスニーカーソックスではなく、長めのソックスやショートブーツなど、足元のバランス感も10年前から変化しています。素材はデニムもしくはチノクロスなど綿系のものが中心で、カーゴパンツやボンデージパンツ風のディテールも。また、一部のエッジ層にはカプリパンツ風の細身なクロップドパンツも再浮上しています。
ちなみに「バミューダパンツ」「ジョーツ」など、素材やデザインの違いによってさまざまな名称が用いられているアイテムですが、GUでは「ニーショーツ」という名称で括って2025年秋冬のキャンペーンを展開。気候の変動なども相俟って、秋~冬にかけても継続しそうなトレンドとなっています。

■各地点の「男性ハーフパンツ(5〜7分丈)、うち6〜7分丈」はこちら

(左)パルコのジョジョ展に来たという横浜のスケーター2人組(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003yf7g.html)。パンツはそれぞれリーバイスとパレスのもの。
(右)「チャラそうな、悪そうな感じを目指しています」と話す男性(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003bsfv.html)。パンツはディッキーズ。

ズームアップアイテム①:女性チェック柄アイテム
昨年浮上したアメカジテイストから、モダン/クラシックな大人っぽいチェック柄へと変化。

もしかしたらカウントできるのでは?と思えるほど急増していた女性のチェック柄。2024/6「チェック柄アイテム」、2024/10「チェック柄シャツ」と同名称で昨年から立て続けに取り上げてはいるのですが、昨年は男性がメインかつアメカジ/グランジっぽいオンブレチェックが主流。対して今年は、もやっとしたモノトーンで上品なオンブレチェックのような、アメカジ感の薄まったクラシカルでモダンな大人っぽいチェック柄が幅広いトライブの女性の間で流行しており、観測日にはガーリーなムードを感じさせるギンガムチェックも目立ちました。
シャツやワンピースはもちろん、先月カウントした「フリル付きアイテム」のようなデザイントップスもチェック柄のものが増加。ブラウンやアイボリーなど、アンビギュアスで柔らかいニュアンスカラーが浮上した今年のカラートレンドともつながっているのかもしれません。

■各地点の「女性チェック柄アイテム」はこちら

「チェック柄は種類が多いので人とかぶりにくく、これは色や柄が合わせやすそう」という理由で着用していた女性。(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003ylot.html)。
(右)インスタの広告でひと目惚れしたというチェック柄のバッグを持った女性。小物類にもチェック柄が増えていた(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003yfje.html)。

ズームアップアイテム②:(夏の)ブーツ
マス化したギャル/急浮上したフォークロアテイストと結びついてストリートに増加。

今年マス化したギャルのスタイルとも結びついてストリートに増えているブーツ/ブーツカバー。定点観測では2022/1「ブーツうちチャンキーソール」を取り上げていますが、クラシカルで大人っぽさ漂う黒のサイドゴアブーツが多かった当時とは異なり、ロングブーツやウエスタンブーツ、ティンバーランドのブーツ等が増加。猛暑にもかかわらずレースアップタイプやミドル丈以上のブーツが人気です。ソールは引き続き厚め。今年のメイントレンドであるレースやシースルーといったフェミニンなファッションにメンズライクなブーツをプラスするバランス感、さらには本格化する脱スニーカーの流れも重なった流行と考えられます。2022年以前に夏のブーツを取り上げたのはLAセレブの影響なども強かった2008/8「ブーツうちショートブーツ」。ミネトンカやアグ風のムートンなど、フォークロア調で茶系のブーツが主流でした。近年アグがリバイバルするなど、やはり00年代の要素は着実にストリートに拡散しています。

■各地点の「(夏の)ブーツ」はこちら

(左)原宿のピンナップで購入したというウエスタンブーツを履いた女性。ガーリーなドット柄ソックスとの組み合わせが新鮮(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003ymab.html)。
(右)「半ズボンにブーツの丈感が好き。ハーフパンツにローカットだと足元にボリュームがないから締まりがない」と話す男性。ブーツはチペワのもの(https://www.web-across.com/observe/ppce54000003ylmf.html)。


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