定点観測
report : 2016 | 
11 / 05

#431 | 実施日 : 2016 / 11 / 05 | 最高気温 : 19.5 | 最低気温 : 11.2 | 天候 : 晴一時曇

第431回 定点観測 解説

“今さら感”のある「コンバース」の浮上が意味することは??

「コンバース」の流行にみる、4つのトレンドと時代感覚。

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実は柄パンツや極太パンツにはコンバースが合う(左2点)/スキニーパンツや黒タイツと一体化するような黒いコンバースの履き方が人気だった(右から2番目)/デザイン性のあるアイテムを着ている人にはあえて足元は“ハズす”カンカクでコンバースが選ばれていた(真ん中)/ポイントカラーとしては赤のコンバースが人気だった(いちばん右)
コレクショントレンドだけを見ていると気がつかない「流行」が街にはときどき浮上する。ましてや、雑誌やウェブメディアはそれらをフォローする記事(含むタイアップ)が膨大にあるので、リアルなトレンドがあっても気づかないままシーズンが過ぎてしまうことも少なくない。

「ACROSS」編集部では、そういう類いの“隠れトレンド”に出会うと「気がつけば増えていた〜」という表現をしばしば用いるが、今月注目したカウントアイテム「男性/女性コンバース」はまさにそれだ。

「男性/女性コンバース」。え?コンバース? いまさら?、ずっと流行ってるのでは? ああ、安いからティーンズは履いてるよね・・・。あれ?ニューバランスとかの方が多くてコンバースは減ってるのでは? 店頭でもあまり売ってないよねえ…。という声が聞こえてきそうなほど、コンバースは「定番中の定番アイテム」でもある。

そこで、定点観測を振り返ってみよう。

「コンバース」というテーマで取り上げたのは1997年2月。その後、「コンバース(風)スニーカー」として2000年12月、2006年3月に「白スニーカー」というテーマで取り上げた際、最も多かったのがコンバースだったが、今回のブームの起点となるのは、雑誌『POPEYE(ポパイ)』が全面的にリニューアルし、<シティーボーイ>という“都市生活者の新定番”とでもいうようなファッションやライフスタイルの価値観を提唱するようになった、2012年前後からだろう。定点観測では、「ニューバランス」(2013年1月)、「ナイキ」(2014年1月)、「アディダス」(2015年12月)と面白いようにスポーツブランドのスニーカーブームを順番に取り上げてきたが、雑誌『&Premium』の創刊をはじめ、“ライフスタイルショップ”、“ライフスタイル系”、“ノームコア(ノーマル×ハードコア)”のブームを背景に、ジャーマトレーナーバンズなど、比較的ワントーンでデザインがシンプルな“クラシック系のスニーカー”のブームへと変化していったのは記憶に新しい。

スポーツブランドの人気のスキマを埋めるように、2011年4月に「白スニーカー」、2012年9月に「ハイカットスニーカー」、2013年3月に「ネオンカラー」、4月に「白スニーカー」、5月にニューバランス風(丸っこいデザインの)スニーカーなども取り上げており、ここ数年、ずっとスニーカーが支持されていて、デザインや色、素材(レザーからキャンバス地、ニット、)などが洋服との組み合せから少しずつ変化し、“ブーム”から“スタイル”へと変化しているようすが伺える。

ちなみに、2012年9月に「ハイカットスニーカー」というテーマで観察したときは、コンバース・オールスターの人気が急浮上。当時インタビューした女性(28歳雑貨屋販売員)は、「(今日の服装に合わせて)モードっぽくなり過ぎないようにコンバースで外した」と話してくれた。「洋服にはお金をかけたくない」ので、「ブックオフ」や古着屋などで買っている」と、今月(2016年11月)のインタビューでも聞かれたような“ファッションにお金をかけていない”、“おしゃれ過ぎない”というカンカクとも近い気分・インサイトが当時から得られていた点にも注目しておきたい。

インタビュー⇒ 
http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000009jvze.html
 渋谷、原宿、新宿の3地点のコンバースファッションを振り返ってみると、大きく、ファッションのハズしとして、あえてベーシックなコンバースを選んだとする人たちと、初めて履くスニーカーなので入門編的なコンバースを選んだという人たち、太パンツや柄パンツ、スキニーパンツとのバランスからコーディネートしている人たち、赤やイエローなど、コーディネートの差し色として選んでいた人たちの4つのパターンがあることが分かった。

写真でいうと、いちばん左のチェック柄のパンツの男性と左から2番目のバギーデニムの女性、右から2番目の迷彩柄のスカートの女性は、真ん中のファーのジレの女性は、いちばん右の男性はと思われる。

ポイントは、は、新しいものが必ずしもカッコイイもの、クールなものではなくなっていて、一連のスニーカーブームのルーツ的な位置づけとしてあるのはコンバースで、“ファッションのさり気なさ”、“気負っていない感じ“、“自然体“というような価値観が浮上していること。は、「新人類ジュニア世代(1991年生まれ以降〜1999年生まれくらいまで)」以降の(特に)女子が、初めてのスニーカーなので、価格的にもデザイン的にも“新しいファッションアイテムにチャレンジしよう”としていること。は、トレンドの極太パンツや柄パンツが主役の着こなしのコーディネートとして、こなれたコンバースで足元をまとめようという気分。は、ベーシックなコンバースのバリエーションとして赤やイエロー、グレーなどが好まれていたことなど。

そういえば、今年の毎日ファッション大賞の「特別賞」を受賞した「ビームスジャパン」の3階、国内外のブランドから“日本を代表するセレクトショップ“のビームスが国内外のブランドに別注したアイテムが集結する<日本のセンス(Japan Style Editions)>というフロアには、アディダスでもナイキでもなく、コンバースが、同社創業40周年を記念したモデル<コンバース×ビームス40th別注ALL STAR R LOW>としてフィーチャーされていた。興味深いのは、“一見ふつうのコンバースのオールスターとの違いがわからないこと”である。

この、“さり気なさ”、“ハズし”という日本独特のカンカクが今再び支持されていること、また、“(スニーカーのある種の)ルーツ(的なもの)”を再評価したいという気分、そういう時代感覚を検証することができた今月のカウントアイテム「男性/女性コンバース」となった。
 
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90年代後半生まれの若者たちにとっては初めてのこのコンバースが初めてのスニーカー。色は黒が圧倒的に多く、ハイカットのものはショートブーツ感覚で着用されていたよう。
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渋谷、原宿、新宿各地点の通行人数(13:30-14:40)と、今月のカウントアイテム「男性/女性コンバーススニーカー」の着用者率を比較したグラフ。渋谷公園通りは現在パルコが建替え中につき休館しているので通行量は激減しているが、「コンバース着用率」は高かった。 一方新宿地点では、通行人数に対するコンバースのスニーカーの着用率に男女差が顕著に。コンサバ系の女性が多い新宿ならではの結果となった。
各地点のコンバースファッションはこちらからどうぞ

また、各地点のカウント結果は以下の通り。
渋谷:n=1,464人/10月比71.9%(2,037人)
男性通行人 53.6%(784人)10月比69.9%
女性通行人 46.4%(680人)10月比74.6%
 うち、スカート着用 40.0%(272人)

男性コンバース 7.3%(57人)
女性コンバース 14.0%(95人)
 
 
原宿:n=4,371人/10月比108.9%
男性通行人 44.9%(1,964人)10月比120.3%
女性通行人 55.1%(2,407人)10月比101.1%
うち、スカート着用 41.7%(1,004人)

男性コンバース 3.5%(69人)
女性コンバース 7.1%(171人)
 
 
新宿:n=2,969人/10月比81.6%
男性通行人 49.8%(1,480人)/10月比78.8%
女性通行人 50.2%(1,489人)/10月比84.5%
 うち、スカート着用 39.8%(592人)

男性コンバース 3.9%(57人)
女性コンバース 3.7%(55人)



 
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気がついたら増えていたベレー帽。赤や緑、黒、紺色の他はグレーが多かった。
ズームアップアイテム1:ベレー帽

1つ目のズームアップアイテムこちら。

秋の気分をいち早く取り入れられるのが帽子。定点観測でも、近年を振り返ると、キャップやハット、ニット帽、キャスケットとそのトレンドが少しずつ変化して来たが、今月は急増している「ベレー帽」を取り上げることにした。

ベレー帽は、ツバやふちがない帽子の総称なのですが、今年は古着屋さんでも多く見られるほか、バスクベレーとか、ミリタリーベレー、ニットベレーとか、なんでもありのミックスデザインのものがたくさんリリースされているようだ。

多かったは、「差し色」カンカク。コンバースでも見られたこのカンカクは、おそらくベーシックな色やデザイン、シンプルなファッションに少し飽きてきていることの表れともいえるだろう。ティーンズを中心に、赤やグリーンなどが目立った。

また、シンプルなファッションが浸透しているなか、女子の場合は「男の子っぽくなり過ぎないように」「ガーリーな感じに」という気持ちから、男子には「やや中性的な雰囲気にしたくて〜」というような声が聞かれたのも興味深いのと同時に、男女ともに、「髪の毛を伸ばしている途中」や、「実はヘアスタイルに対しての手抜きなんです」というような、ニット帽の時にもしばしば聞かれたヘッドピースならではの“らくちんカンカク”も実は支持されている重要なポイントだ。

定点観測を振り返ってみると、ここ数年は圧倒的にキャップやハットが多かったが、今秋は、相変わらず服はスポーツ&リアルクローズのトレンドが残るなか、“ジェンダーレス感”“ヴィンテージ感”“レトロっぽさ”などが演出できるようなアイテムとして、春まで続くトレンドになりそうだ。



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グッチの2016SSリゾートコレクションのカーディガンを着ていた女性を発見(左)/赤と緑、白、黄色などアジアンテイストな色やモチーフの刺繍が目立った(左から2番目)/刺繍がお得意のブランドKENZOはH&Mとコラボ(右から2番目)/お茶目な虎さんのモチーフは、日本のセレクトショップのPB。ここにも“ヌケ感”がポイントになっている(右)
ズームアップアイテム2:刺繍(ししゅう)

2つ目のズームアップアイテムは「刺繍(ししゅう)」だ。

前回の「ベルベット」と類似するような質感や色、立体的な仕上がりの雰囲気など“装飾的なもの”というのがキーワード。いわゆるビッグメゾンからのトップダウン・トレンドではあるもののが、その(日本への)落ちかた、柄のモチーフ、色などが注目される。

もっとも多かったのは、スカジャンやブルゾンなどのアウターの背中部分に大きくあしらわれているケース。スウェットやセーターなどのトップスの胸元にあしらわれているケース、腕部分にあしらわれているデザイン。今週になってからは、刺繍がほどこされたバッグも増えてきた。

インタビューで興味深かったのは、「刺繍のほうがプリントよりもひと工夫されているような感じがする」というふうに回答してくれた20歳の大学生がいたことだ。また、韓国系アメリカ人のカップルが手がけるLA発のセレクトショップ「オープニングセレモニー」のPB(プライベートブランド)でも多数リリースされており、その刺繍のモチーフに多い虎や龍、草花などが西洋解釈のアジアカルチャーのニュアンス、オリエンタルなカンカクがいま若い人たちを中心に支持されているようだ。

定点観測を振り返ると、1990年代後半や2000年代前半にも似たようなテイストが支持されたことがあった。「ANA SUI(アナスイ)」「Vivian Tam(ヴィヴィアン・タム)」、また、(今とは資本が異なるが)アジアン雑貨店の「COCUE(コキュ)」などを思い出す。当時と共通するのは、おそらく“シンプルなファッションが流行した後に浮上する装飾的なエッセンスへの欲望”ということだろうか。いよいよ、“ノームコア”はスタイルとしては残るものの、トレンドではなくなったといえそうだ。
 

[文責/高野公三子(本誌編集長)]


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