定点観測
report : 2016 | 
10 / 01

#430 | 実施日 : 2016 / 10 / 01 | 最高気温 : 21.8 | 最低気温 : 17.6 | 天候 : 曇時々雨

第430回 定点観測 解説

70sも80sも90sも若者にとってはみんな等価。過去のアーカイブをミックス・コーディネートする時代に。

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ハイウエスト〜ジャストウエストのフレアスカート(リングベルトも)は今季のトレンド(左)/黒系のパープルベースもじわじわ増えてきた(左から2番目)/「3年前に購入し秋冬になると着ている」と話してきれた彼女はフレアミニスカートを黒いライダースでシャープにコーディネート(右から2番目)/ドメスティックブランドのトレンドMD戦略が優れているので40代〜50代の大人層にもトレンドが即浸透するのが東京のストリート(右)。
急に秋めいた気候に。10月1日(土)は「衣替え」の日でもある。が、年々そういう感覚は薄れており、まだまだ半袖姿の人も目立つ。

前日までプレサーベイを行ったところ、一般的には先月取り上げた黒いアイテム(とくにボトムス)が多いなか、若い人たち、とりわけ20歳前後のあいだでは、エンジ系、テラコッタのような赤茶系のデザインブラウスやスカート、パンツが急増しているので、「女性赤茶系アイテム、うちボルドー/ワインレッド/バーガンディー色アイテム」を今月のメインテーマに、今秋冬〜来春流行りそうな先読みトレンド「ズームアップアイテム」として、「ロンT(ロングスリーブのTシャツ)」、「ベルベット/別珍」とした。

なかでも急増していたのがテラコッタ色や赤茶系のアイテムたち。その色バリエーションや柄のニュアンスは、写真のようにオレンジ系〜ボルドー〜パープルに近い色までと幅広かったが、色味によって着用する人のグループ(ファッショントライブ)が若干異なっている点が興味深い。

当月の渋谷、原宿、新宿各地点での「トレンド浸透率(通行人中に占める該当テーマの着用者率)」は以下の通り。全体の通行人数は原宿以外では増加していたが、ふつう〜コンサバ系に多く着用されていた「赤茶系」アイテムを着用していた人が最も多かったのは新宿地点、より色味が強く、ヴィンテージ柄のものはファッション好きの層が目立った「ボルドー/ワインレッド」を着用していた人が最も多かったのは原宿地点という結果になった。

渋谷:n=2,037人/9月比140.6%(1,447人)

男性通行人 55.2%(1,122人)9月比177.3%
女性通行人 44.8%(912人)9月比112.0%
 うち、スカート着用 27.5%(251人)

女性赤茶系アイテム 4.1%(37人)
 うち、ボルドー/ワインレッド 1.5%(14人)

原宿:n=4,013人/9月比98.6%

男性通行人 40.7%(1,633人)9月比90.6%
女性通行人 59.3%(2,380人)9月比105.0%
うち、スカート着用 35.8%(853人)

女性赤茶系アイテム 6.6%(156人)
 うち、ボルドー/ワインレッド 4.6%(110人)

新宿:n=3,640人/9月比148.5.%

男性通行人 51.8%(1,878人)/9月比152.1%
女性通行人 48.4%(1,762人)/9月比144.8%
 うち、スカート着用 42.5%(748人)

女性赤茶系アイテム 7.0%(124人)
 うち、ボルドー/ワインレッド 3.8%(67人)
 
 
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ドロップショルダーや袖の切り返しなどデザイントップス系のロンTは大人に人気(左)/前身頃と後ろ身頃で素材が異なるロンTはトゥモローランドで買ったものだそう(左から2番目)/『NYLON』系女子には黒のロンTが人気(右から2番目)/「90年代を意識した」と明言してくれた彼女はTシャツ2枚重ねがいまツボだそう(右)。
 ズームアップ1:ロンT(ロングTシャツ)

先月くらいからだろうか。原宿や青山界隈では季節感先取り!とばかりに、脱半袖、または半袖のTシャツの下に長袖を重ねる90sのストリートっぽい着こなしをする男女(男子に多い)が増えている。

ポイントは、「ノームコア期」のトレーナーよりは生地が薄手で、Tシャツよりは厚手。ここ1、2、年は半袖のアイテムがすっかり厚手で袖が長めのトレーナー級のボーイッシュなものが主流になっているなか、袖は長めになりつつ生地は少し薄手というように進化したアイテムが今秋急増しており、ウールのセーターを着るまでもないつなぎの季節に好まれているようだ。

基本的にコットン100なので、ユニクロとかGUWEGOのほか、ロンハーマン系ファッション化されたスポーツブランドのアイテムの得意とするジャンル。今季はリブランディングし人気復活中のアニエスベーA.P.Cをはじめ、セレクトショップなどにOEM供給しているブランドや、いま改めてギャルソンのプレイなども注目されており、90sストリートのアメカジっぽさと同時に、着回しのできるパリジャン/パリジェンヌ風のフレンチカジュアル(92年に流行した)が進化したニューリアルクローズという見方もできそうだ。

ちなみに、去年のいまごろはミリタリー調のブルゾンやMA-1風のアウターを羽織るスタイルが浮上していたが、今秋は季節が安定していない(まだ蒸し暑い?)ということもあってか、アウターレス=カジュアル=無駄を省く/機能性重視/機動力重視(→ノームコア的?)というようなニュアンスがありそう。。または、ゴーシャラブチンスキーなど若い世代のデザイナーが「レトロスポーツ」をコレクションで発表するなど、新世代デザイナーたちによる過去のストリートファッション(主に90年代)の再解釈、、が始まっているともいえそうだ。

ということで、男女いろんな「ロンT」スタイルはこちらからどうぞ。


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パンツのサイドラインとして用いられたゴブラン織も今季のトレンドのヴィンテージの表現のひとつ(左)/キュートなピンク系のベルベットはティーンズに人気。バイカラーは黒が多かった(左から2番目)/色に奥行きが出るベルベットは緑や紺だと大人に人気(右2人)。
ズームアップ2:ベルベット/ビロード/別珍

2つ目のズームアップアイテムはこちら。
 今回のズームアップ2は素材がテーマ。ベルベットの定義は、平織か綾織の経糸にパイルを織り出したパイル織物の一種で、ようは表面がやや毛羽立っていて光沢が感じられる布地のこと。急に寒くなった日におしゃれに敏感な層が一足先に着用していたり、今秋冬以降のトレンドのひとつである<ゴージャス感>に繋がる表情の1つとして注目することにした。

ポイントは光沢=優雅さ、クラシック感、エレガントさなど。基本的には、ヨーロッパのビッグメゾンがコレクションで提案したトップトレンドなのだが、欧米のファストファッションやドメスティックブランドではフロッキー加工などケミカル処理して薄手でテロ感のある柔らかくて着やすい質感に仕上がっているのが特徴だ。

ズームアップアイテム1とした「ロンT」は90sストリートカルチャーのトレンド、2としたベルベット/ベロアは80sのゴージャス系のトレンドと、過去のストリートのトレンドアーカイブが同時にいろいろなところから提案され、また既にストリートでも着用されているさまが伺える。

また、インタビューでは、「雑誌『Vivi』に今季流行ると書いてあったので、まずはじめにパンツを買いました。カーテンやカーペットっぽい質感が、ココ・シャネルのような少し昔のファッションを想起させます」と回答してくれた大学1年生の女子に遭遇した。

2005年にスタートした「東京ガールズコレクション」の一般化から、「みんなといっしょの服が欲しい・買いたい!」という感覚がマジョリティになったことに驚きを覚えたのは今から5、6年も前のこと。その後、アキバ系コスプレと原宿系おしゃれファッションが融合した「ネオ・コス展」や「第1回TRANCE ART TOKYO」の開催、「TOKYO解放区」のオープン、「東京ニューエイジ」の活躍や「絶命展」、「シブカル祭」といったカルチャーとファッションが融合した、<トーキョーカルチャー系>が台頭・一般化した一方で、マスマーケットにおいては、
毎シーズン、雑誌のアプリやキュレーションサイト、インスタグラムなどで今のトレンドを勉強して、該当するものを検索して買う、という情報やアイテムの入手、着用スタイルもライト感覚で体現する<インスタント系(仮)>とでもいうようなトライブが増えていることも実感させられた。と同時に、実は、<ノームコア>のトレンドを経て、ファッションに関心のある人も、それほどでもない人も、ファッション・トレンドとの距離感をどう保てばいいのかを悩んでいて、困っているのではないか、という時代のムードも感じられ、(ほんとうの)トレンドは実はないのかもしれない時代に入っているともいえそうだ。

そういえば、先日東京では最後のコレクションを披露した(次回以降はパリで発表を予定している)人気ブランド「beautiful people(ビューティフルピープル)は、2017年春夏の展示会にて(ややシャレも交えてか)“ワンシーズンこれだけあったら大丈夫“と、いろんなアイテムをセット販売するサービスを始めるそうだ。また、アメリカからは、自撮りしたアップロードしたコーディネートを10点満点でクラウド(全員匿名らしい)が評価するOUT OF TEN(アウトオブテン)」というアプリも登場するなど、わかりやすいテックに限らず、ファッションをめぐる環境は大きく変化するテン年代末となりそうだ。

[文責:高野公三子(本誌編集長)]




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