定点観測 海外編
第4回「定点観測 in NYC」
レポート
2015.08.05
ファッション|FASHION

定点観測 海外編
第4回「定点観測 in NYC」

ニューヨークの2015/SSファッションをマンハッタン・ソーホー地区からレポート!


2015年7月4日(土)に第4回目となる「定点観測 in NYC」を実施した。今回はSSのまとめということで、マンハッタン・ソーホー地区からニューヨークのストリートシーンをレポートする。

★スナップ/インタビューはこちら★

◎カウントアイテム:男性/女性トップスイン・スタイル

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人々の服装が軽装となってきた7月のニューヨークでは、トップスをボトムスにインしアクセントにしたスタイルが女性を中心に増えてきた。また、数は多くないものの、ファッション感度の高い男性の一部でも取り入れられていることからカウントアイテムとして観察することにした。

同日の13時30分〜14時30分の1時間、Prince Street(プリンスストリート)とMercer Street(マーサーストリート)の交差点に立ち、ブロードウェイ方向からアップルストアへ向かってくる南西の角を通る人全てをカウントした。結果は以下の通り。

カウント結果
●通行人数:2,104人    
男性合計:906人(43.0%)  
女性合計:1,198人(59.6%) 
 

●カウントアイテム:男性/女性トップスイン・スタイル
男性:35人(3.9%)
女性:128人(10.7%)


まずは男性からみてみよう。男性のトップスイン・スタイルは約3.9%とまだ少数だったが、SAINT LAURENT(サンローラン)やDior Homme(ディオール・オム)などを好む「ファッション・アディクト」のトライブが、タイトなヴィンテージ調のロックTシャツ+細身のパンツという、パンク・ロックミュージックからのエッセンスを取り入れた「ネオパンク・ロック系」ファッションが目立った。

次に気になったのは、「ツーブロックのヘア」、「ヒゲ」、「タトゥー」に「ハット」など男っぽいファッションが特徴で、RRL(ダブルアールエル)が提案するような「アメリカンカジュアル(アメカジ)」を好むトライブニューヨークでは、「ストリート系」についでこのグループが多い印象だ。Hanes(ヘインズ)のTシャツを太めのチノパンにインしたアメリカンクラシックを感じさせるような男らしい着こなしが見られた。

女性の間で最も多かったのが、トップスをスキニーパンツにインするタイトな着こなし。「何系」ともラベリングしにくい、SPA系ブランドを好む10〜20代の多くの若い女性たちは、シンプルなカットソーを短めのショートパンツにインして自慢のボディラインを強調していた。

一方、20代〜30代〜40代のオフィスワーカーの間でちらほらと見られたのが、トップスを光沢感のある生地のスラックスにインした「きちんと感」のあるコーディネート。男性とは異なり、女性は「何系」というような、デモグラフィック特性やライフスタイルの括り(主義、主張的な意味)ではなく、それぞれがシーン別に“ファッショントレンド”を纏っている印象を受けた。

◎ズームアップアイテム1:男性/女性ダメージジーンズ

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2014年5月に実施した時にテーマとした「女性ダメージジーンズ」が女性の間ではマスアイテムとして定着する一方で、ダメージのパターン変化がみられたり、男性にも波及していることから、再び注目することにした。

「ストリート系」の男性のパンツが細身のシルエットに変化し、SEX PISTOLSやRAMONESのようなパンクバンドのファッションを彷彿させるようなダメージパターンのデニムが浮上している。

そのパターンとは、主にヒザに切り込みを入れたようなものと、大胆に穴をあけたようなクラッシュ加工の2つ。既に大手SPAブランドなどの店頭にも並んでいるが、着用者に話を聞いたところ、「自宅で眠っていたパンツを自分で加工してみたら意外としっくりきた」という意見も聞かれるなど、DIYで加工している人も少なくないまた、「膝に切れ込みが入っていることで、普通のスキニーパンツを履くより動きやすく快適」というような意見も聞かれるなど、機能的な一面も影響しているようだ。

女性の間では、前回多かった大胆に穴のあいたボロボロのデニムパンツは減少し、切れ込みやワンポイント的なダメージ加工のものが増えていた。また、ブルーデニム以外にも白や黒などバリエーションも増え、より幅広い層に浸透していた。

◎ズームアップアイテム2:タトゥー(Tattoo)

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5人に1人はタトゥーが入っているとも言われているアメリカ合衆国。ワシントンDC を拠点に活動するシンクタンク「Pew Research Center」が2015年4月に行ったタトゥーについての調査『Tattoo Statistics』では、アメリカの人口全体の14%、18歳〜25歳では36%、26歳〜40歳では40%がタトゥーを入れているという統計がでている。

特にニューヨークは、入っていない人の方が少ないのでは?と思うほどタトゥー人口が多い都市だ。ファッション界でフリーエージェントとして活躍し、世界的なファッションアイコンとしても注目を集めるニック・ウースターのように、特にクリエイティブな業界ではタトゥーは仕事に支障がないものという認識がある(さすがに顔に入っていたら厳しいかもしれないが)。

一般的にも文化として浸透しているので、入れている人は、年齢や性別、人種や職業を問わず幅広い。高齢者でも堂々と自分のタトゥーを見せて歩く姿が見られるのは、多様な文化と人種が混在するニューヨークならではの光景かもしれない。ニューヨークの暑い夏は、冬の間コートの下に隠されていたタトゥーを思う存分見せつけられる季節だ。

インタビューで、「人生初のタトゥーは、友人のアーティストの練習台として入れた」と答えてくれた女性のようにニューヨーカーはタトゥーをカジュアルな感覚で捉えている人も少なくなく、お店やタトゥーアーティストの数も多い。

ちなみに、筆者の友人は暇つぶしで思いついたその日にタトゥー入れていたほどである。手の甲や指先にいれるアクセサリー感覚のミニマルなデザインのものも人気がある。

また、一度入れると中毒のように次から次へと入れたくなるようで、腕や足など広範囲にわたって複数のタトゥーを入れている人が男女ともに多かった。

最近では、タトゥーに対して抵抗感のありそうなアジア人、特に韓国人や中国人の20代くらいの若者達の間で、腕などの人目につきやすい部位に入れる人々が急増しており、タトゥーはすっかり市民権を獲得し、さらにファッションアイテムとなっていきそうだ。

<その他アイテム+全体の考察>
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今回取り上げたアイテム以外で注目したいのは、BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)のような「コンフォートサンダル」ボディラインを強調する「ミニマルワンピース」だ。

サンダルは主にBIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)着用率が高かったが、それに飽きた、もしくは人と違うもの好きという人々は、少しレトロで懐かしい雰囲気と未来的なハイテク感を併せ持つSUICOKE(スイコック)のようなサンダルを選択していた。また、少数ではあるが、ファッション感度の高い若者の間では日本でも取り上げた「スポサンソックス(スポーツサンダル×ソックス)」のスタイルも見られた。

キム・カーダシアンやニッキー・ミナージュといったセクシーで迫力のあるボディが美のアイコンとなっているアメリカだが、健康志向が高く日々身体を鍛えているニューヨーカーの女性達が、バストやヒップなどのラインが強調されるボディコンシャスなシルエットのワンピースを着用し始めている。丈は様々だが最も多いのは膝上下10センチ前後で、肩のストラップは細め、生地は伸縮性のあるコットン生地のものが多かった。

今回テーマに取り上げたアイテムも、身体のラインを強調するトップスインストリート系男性のパンツのシルエットが細身に変化肌に描かれたタトゥーなど“ボディラインの強調”や“肌みせ”がキーワードなっていたが、“自分自身の身体をみせる”ファッションがトレンドになりつつあるように感じた。

[取材/文:宮本諒(RYO MIYAMOTO)+アクロス編集部]


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