MARTA JOY&Friends(マルタジョイアンドフレンズ)
2016.10.07
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MARTA JOY&Friends(マルタジョイアンドフレンズ)

小田原の老舗企業が「奥渋谷」に初出店。
ポートランド発祥のコーヒー用品「able」のショールーム

2015年9月に「奥渋谷」というフラッグが商店街に登場するなど、代々木上原へと通じるおしゃれなエリアとして注目を集める富ヶ谷・神山町エリア。個性際立つショップが軒を連ねるこのエリアに、コーヒー用品とハンドクラフト雑貨を扱うライフスタイルショップ「MARUTA JOY & Friends(マルタジョイアンドフレンズ)」がある。

オープンしたのは2015年3月。運営元はなんと神奈川県小田原市に本社を構える株式会社マルタという1921(大正10)年に酒屋として創業した老舗企業だ。現在は化粧品や雑貨などを扱うバラエティーショップを西湘・湘南地区で8店舗展開している。
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メインとなるのがポートランド発ABLE BREWING社のコーヒー用品。こちらのABLE KONEはケメックス専用のステンレス製コーヒーフィルター。
地元密着型のマルタ社にとって東京初出店となる「MARUTA JOY & Friends」。もともと海外雑貨の輸入も行っており、L.A.には日本への輸出をコントロールする自社オフィスを持っており、代表取締役の丸田茂晴さんは1998年頃からオレゴン州ポートランドをたびたび訪れていたという。2012年からは、アメリカ・ポートランド発祥のコーヒー器具メーカー「able(エイブル)」の正規代理店を務めており、オンラインショップを中心に展開。そのショールームとなるような店舗を作ろうと東京進出に至ったのだそうだ。

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社長の丸田茂晴さん(左)とショップのディレクションを手がける佐藤剛さん(右)。
「近隣に住む方々に日常的に来て頂ける店にしたい」と丸田社長。
「able」の主力商品は、「CHEMEX(ケメックス)」のコーヒーメーカー専用で、何度も繰り返し使えるステンレス製のフィルターable KONE(エイブルコーン)ということで、丸田さんは「CHEMEX」のコーヒーメーカーを戦後日本に初めて持ち込んだといわれている柳宗悦さんゆかりの日本民藝館周辺エリアを出店候補地とし、物件を探していた2014年に「Fuglen Tokyo(フグレントウキョウ)」や「モノクルショップ東京」など神山町が盛り上がっていくのを感じ、現在の場所に決めたのだそうだ。

小田原の中心地は観光需要としては良いのですが、少しずつ人口減と老齢化が進み、50代以下のマーケットが縮小して来た印象があります。これからの出店は住民がいるエリアがいいと思っていて、“奥渋谷”のエリアはすぐ近くに住宅があるのが決め手となりました」(株式会社マルタ 代表取締役/丸田茂晴さん)。

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1杯400円でコーヒーを淹れる事ができる。器具の使い心地を試すことができ、正しい淹れ方も学べると好評だそう。
コンセプトは、コーヒー雑貨と地元や海外の作家を多く取り上げていくこと。

また、「able」のブランドのコンセプトが「Let’s Brew(入れてみよう)」ということもあり、お客さんが実際に店頭でable製品を使ってコーヒーを淹れて飲むことができる。1杯400円で、器具の使い方はスタッフが教えてくれる。淹れる楽しみも味わえる、というのはカフェとは違う醍醐味だ。 

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ディレクターの佐藤剛さんが手がける、ハンドメイドのレザーグッズブランドsugerfive(シュガーファイブ)。長く愛用できるハンドメイドの作品を揃える。
作家ものは、レザークラフト「sugerfive(シュガーファイブ)」、大磯の「玉造ガラス工房」のガラス細工などで、単に仕入れるだけではなく、実際に作家とコミュニケーションを図ってアフターサービスも受けられる関係を築いている。「sugerfive」の作家、佐藤剛さんは、同店の企画やディレクションに携わっており、店頭で接客も行う。

先進国で物が供給過剰になっている状況のなかで、消費者は人間が手間暇かけた良さがあるものを求めている、というのが我々の仮説です。実際に、リアル店舗でお客様と対話しながら確かめていきたいと思っています。このお店も東京にあることで、既存店にもない新しいことにチャレンジしたいですし、何よりも持続可能なこれからの時代に対応する店にしていきたいですね」(丸田さん)。
 
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神奈川県藤沢市辻堂にある27 COFFEE ROASTERSのコーヒー豆を販売。
 商品は、「able」や「CHEMEX」のコーヒー器具、神奈川県藤沢市「27 COFFEE ROASTERS(トゥエンティセブンコーヒーロースターズ)」のコーヒー豆など、コーヒーに関するアイテム。さらに、ワシオ(株)のファクトリーブランドで、保温性に優れた「yetina(イエティナ)」のスウェットパーカー、アメリカ・ノースカロライナ「SKETCHBOOK CRAFTS(スケッチブッククラフツ)」のバッグや文具など、幅広い商品を取り扱う。「FIELD NOTES(フィールドノート)」をほぼ全種類揃えるなど、1商品の種類を店舗側でセレクトしてしまうのではなく、なるべく全種類揃えているのも同店のこだわりだ。

“セレクト(ショップ)”というのが今の時代にマッチしなくなってきているように思うのです。20~30年ほど前はセレクトショップ自体が珍しく、お客様への提案も通用しましたが、今はお客様の方が進んでいるから、店が勝手に選ばないで!という空気を感じます」と丸田社長は話す。
 
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京都在住の木工作家、宮内知子さん(miyauchitomokko.com)による木の皿。
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Kaweco(カヴェコ)のインクカートリッジやFIELD NOTES(フィールドノート)が全色揃う。
 20坪の店内は、入口から手前12坪ほどをショップに、残りのスペースを作家の作業場兼イベントなどをするスペースに充てている。イベントの内容は、商品に関することや実体験できることが中心。「せっかく買うなら作り手の顔が見えた方が良い」(sugerfive/佐藤剛さん)ということから、10月20日~23日まではクライミングウェア「4C(フォーシー)」のパンツ受注会を開催する。11月4日から13日までは、「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(シブヤパブリッシング&ブックセラーズ)と共同の活版印刷のイベントを実施予定だ。

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創業60年、日本の老舗のアンダーウェアメーカー、ワシオ(株)のファクトリーブランドYetina(イエティナ)は、丸編み機で作る、高い保温性を持った起毛素材が特徴。同社のソックスは、かつて探検家の植村直己さんも愛用していたそう。
 ターゲットは、ハンドメイド志向やカルチャー志向に反応する人。来客層は30代~40代が中心で、男女比は6:4。コーヒー豆を定期的に購入する近隣住民が増えており、少しずつ浸透していることが窺える。また、最近は「奥渋谷」を取り上げるメディアが急増しているため、メディアを見て来る人も増えているという。さらに興味深いのが、同社が思っていた以上に外国人の来店が多いということ。なんと来店客の半分以上が外国人客という日もあるという。

「日本に住む外国人の方もいれば、旅行者も多いですね。欧米の方や北欧の方、英語が話せるアジアの方が中心でしょうか。モノクルの英語版ガイドブックを持ちながら来店される方も見かけますし、輸入商品を見て「これを作っている作家は自分の友だち」と話してくれた方もいました」(佐藤さん)。

「いつか海外に出店したいと思っていましたが、今の東京は海外に出店しなくてもいいくらい訪日外国人が多いですね。特に渋谷は世界とつながる点として大きいと感じました。小田原や平塚といった人口20万人程の都市は予想以上に高齢化が早く、今までターゲットにしてきた20〜30代に訴求することが難しくなってきています。でも渋谷や大都市周辺は、それが変わらず出来る場所。むしろ、外国人を含めて、さらに伸びている分野があると思います」(丸田社長)。

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これまでショールームといえば、銀座や有楽町、渋谷、原宿などの都心部に設けることが多かっただろう。しかし、同店のように、あえて渋谷の“縁(ふち)”、“際(きわ)”である神山町に出店する事例が出て来ているように、この「奥渋谷」エリアが、住宅街を背景に、小規模な飲食店やコーヒーショップ、ライフスタイルショップなどが集積し、こだわりのあるお店や人々が集まるエリアとして認知され、一般的なまちのイメージとしても定着しつつある。

「近隣のコーヒーショップにうちのコーヒー用品を使ってもらったり、一緒にイベントを行ったりと協力しながら“持続可能な豊かな消費生活”を広めていければと思っています」(丸田社長)。

取材・文 緒方麻希子(フリーライター・エディター)
 

MARUTA JOY & Friends(マルタジョイアンドフレンズ)

東京都渋谷区神山町3-6


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