■都市のコード論:NYC編  vol.06
テーマ:HOTEL
レポート
2018.03.08
カルチャー|CULTURE

■都市のコード論:NYC編 vol.06
テーマ:HOTEL

在NYC17年の日本人ビジネスコンサルタント、Yoshiさんによるまち・ひと・ものとビジネスの考察を「都市のコード論:NYC編」と題し、不定期連載しています。

1年半ぶりの起稿。テーマは“HOTELと都市“です。日本でも異業種からの参入が増え、新しい展開をみせていますが、NYでは? データとともに解析します。


ニューヨーク市内で新しいホテルのオープンが相次いでいる。


2015年時点で市内には696件のホテル (107,000室) が営業していたとされているが、その後新規オープンが続き、2017年10月時点では、ホテル数はおよそ785件、 部屋数は115,000室に達したと考えられている。

ニューヨーク市のマーケティングを担うニューヨーク・シティ・アンド・カンパニーが2017年に発表したレポートによると、2017年末から2019年までに、おおよそ40-50件の新しいホテルのオープンがさらに予定されていて、27,000室が追加されることになり、その結果2019年末には900件近くのホテルが市内に存在することになる。

新しいホテルの業態はさまざまで、部屋数をみても14室のみの小規模なものから600室を超える大型のものまでそのバラエティは幅広く、ターゲットとする市場のセグメントもさまざまだ。とはいうものの、そこには共通する傾向もあり、そして新しい試みも散見される。

ということで、今回はNYマンハッタンのホテルの変化についてデータとともに解析してみることにした。



2015年以降オープンした (そして今後予定されている) ホテルの数を、ボロウ (区) ごとにみてみよう。

ニューヨーク市の中心であるマンハッタンでは、1年に20−30件のホテルが継続してオープンしていることがわかる。少し前に話題になったブルックリンも毎年5-10件ほどオープンしているもののすでにピークアウトしている。

一方、クイーンズでは2017年と2018年にそれぞれ10件前後、2019年には15件のホテルのオープンが予定されており、そのペースはブルックリンを上回っている。


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ボロウ別でなにより注目すべきことは、2017年からブロンクスにもホテルがオープンしていることだ

1980年代の犯罪のイメージから観光とは縁遠かったブロンクスが、いよいよ市内のホテル戦線に参入したことになる。確かに地下鉄に乗ればブロンクスからマンハッタンの中心部まで30分ほどで着くことができるし、近年はブロンクスの南端に位置するサウス・ブロンクスの開発も進んでいて、2017年に市内で家賃の大きな上昇率を示した地区の上位はブロンクスが占めていると報告されている。

ビジネスやエンターテイメントが圧倒的にマンハッタンに集中していた状態から、近年その重心は少しずつ隣接する他のボロウへと分散傾向にある。ブルックリンからクイーンズ、さらにはブロンクスへと、オープンするホテルのロケーションの移動は、人々の注目の移り変わりをも反映しているといえる。

ホテルの新規オープン (2015-2019年)を、マップにしたのが下のリンクである。
バブルの大きさはそれぞれのホテルの部屋数を示し、それぞれのホテル名と部屋数をインタラクティヴにみることができる。

fafsp.carto.com/viz/4a4b3f4f-2011-4e7f-8e51-46956fcf2581/public_map


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2017年11月に東京は錦糸町、大阪は本町にオープンしたマリオット・インターナショナルが20〜30代のミレニアル世代を対象とした家具や内装にこだわったデザイナーズホテルブランド「モクシー・ホテル」。ウエブサイトもポップで従来のホテルのイメージとは異なる。

マンハッタンをみてみると、伝統的に観光客とホテルが多いミッドタウンにひき続き新しいホテルが多くオープンしていることがわかる。

たとえば、マリオットが手がける、612室のモキシーNYCタイムズ・スクエア (http://moxy-hotels.marriott.com/en) が2017年にオープンした。

やはりミッドタウンのハドソン川近く、ハイラインの北端に位置するハドソン・ヤーズでは大規模な開発が進んでいる。最新のインフラを備えた大型オフィス・スペースが建設中で、完成と共に多くの企業がミッドタウンからハドソン・ヤーズへと移転することが予想されている。企業が移転する先にホテルができるのは当然なのだろう。ハドソン・ヤーズの隣には巨大なコンヴェンション・センターであるジャヴィッツ・センターもある。部屋数の多い大型ホテルが多いのもミッドタウンの特徴といえる。

マンハッタンの南端に近いファイナンシャル・ディストリクト (旧金融街) からバッテリー・パークにかけても新しいホテルが増えている。グラウンド・ゼロ1ワールド・トレード・センターが完成したことで、コンデナストやデイリー・ニュースなど、多くのメデイア企業がタイムズ・スクエアからダウンタウンへと移転している。そうしたビジネス向けの需要はもちろんのこと、ロウワー・マンハッタンはかつての金融街から比較的若年層の人たちが住む地区へと急速に変化している。伝統的な観光地のミッドタウンを敬遠してロウワー・マンハッタンに宿泊することを選ぶ観光客も増えているということなのだろう。


 
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ハドソンヤードの開発のようす(2018年1月撮影)


ブルックリン
はというと、ダウンタウンウィリアムズバーグからグリーンポイントにかけて、そしてクイーンズではロング・アイランド・シティのほかにジャマイカでもホテルがオープンしている。

ロング・アイランド・シティは、マンハッタンのミッドタウンまでイースト・リバーを超えてすぐの場所にあり、マンハッタンよりも手頃な宿泊料金に設定されている。さらには部屋から川の向こうにマンハッタンの眺めを楽しむことができる。マンハッタンに滞在していたら目にすることができない贅沢だ。JFK空港行きのエアトレインが発着するジャマイカは、空港と市街地との両方へのアクセスの良さからホテルができているようだ。

ホテル数が急速に増えていることから、ニューヨークのホテル需給は緩和すると予想されている。激化する競争に生き残るためのカギは、差別化にあるようだ。

ニューヨーク市シティ・プランニングのレポート
によると、市内のホテルの部屋数のおよそ38%は独立系のホテルだという。チェルシーにあるハイライン・ホテル (http://thehighlinehotel.com/)、ミッドタウンのルーズヴェルト・ホテ (http://www.theroosevelthotel.com/)ロジャー・スミ (https://www.rogersmith.com)、ブルックリンのウィリアムズバーグのウィリアム・ヴェイル (https://www.thewilliamvale.com/) などが独立系に相当する。

これらのホテルは全国展開する大手ブランドとは提携していない。戦略的な選択だ。

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市内に43,600室あるとされる独立系ホテルの部屋のうち、49%は広義のハイエンドに属し、エコノミーのセグメントに相当する部屋数はその28%にすぎない。独立系のホテルがハイエンドをターゲットとしていて、独立系
であること (大手ブランドの一部ではないこと) を高付加価値化に利用していることがわかる。実際に、大手を避けて、独立系のホテルでの宿泊を選ぶ人は増えている。


独立系のホテルは、マンハッタンではダウンタウンブルックリンの一部クイーンズのロング・アイランド・シティなどでオープンしている。典型的な観光地ではない場所の選定がその価値の欠かせない一部であり、ハイエンドのイメージとロケーションが分かちがたく結びついていることがわかる。ロケーションはそのブランドの一部といってもいい。

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トリップ・アドバイザーが買収した現地ツアーの予約ができるプラットフォーム「ヴィアター(www.viator.com)」。

興味深いのは、大手ブランドもニューヨークでは独立系のアプローチを模索していることだ。

テキサスを拠点とするあるデベロッパーは、通常マリオットやヒルトンと提携してホテルを展開するものの、ニューヨーク市内では大手ブランドと提携せずに運営している。

なかには大手ブランドの傘下であることを隠して、独立系にみせて運営する覆面独立系ホテルもあるという。そのため、市内のホテルを独立系と非独立系にホテルに分けることは容易ではない。少なくともニューヨークに関する限り、ハイエンド市場は、独立系としての独自性を提供することが条件となっているようだ。

同時にヒルトンマリオットも、別名を用いたソフト・ブランドのホテルをオープンし、より小規模で、標準化されていない部屋を提供しようとしている。

日本でも2018年の春に軽井沢にオープンする予定のキュリオ・コレクション・バイ・ヒルトン
(http://curiocollection3.hilton.com/en/index.html) や、タイムズ・スクエアとミッドタウンの2カ所にあるマリオットのオートグラフ・コレクション (https://autograph-hotels.marriott.com/) などがその例であり、既存のブランドとは距離を置く位置づけになっている。

ソフト・ブランドはブティック・ホテルとして運営しつつ、同時に大手ブランドの一部として、予約やリウォードのシステムにアクセスできる利点もある。

 
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2017年、マンハッタン31丁目にオープンしたライフ・ホテルは、かつて雑誌『ライフ・マガジン』の本社だった建物を改修したものだ。

ホスピタリティのビジネスにもテクノロジーとデータは欠かせない。
ニューヨークのホテルでは、自分でチェックインを済ませるところが増えているiPadに接続された端末を利用してチェックインする。わからなければ、必要に応じてスタッフが助けてくれる。テクノロジーの利用でコストを抑えるホテルは多い。


ホテル各社はゲストに関する大量の情報を有している。そのデータをもとに、それぞれのゲストにどんなサービスを提案するのかがビジネスを左右することから、ホテル・テクノロジーのスタートアップ企業の買収も活発になっている。

現地ツアーを予約するサイトのヴィアター (https://www.viator.com) を買収したことで、ホテルやレストランの予約サービスを提供するトリップ・アドバイザー (https://www.tripadvisor.com/) では、ホテル以外の売上が31%増加した。マリオットは、データに基づいて、それぞれのゲストが気に入りそうな体験を個別に提案している。


ローカルな体験を提案するホテルは多い。マリオットが最近買収したアロフト・ホテル (https://aloft-hotels.starwoodhotels.com/) は、ローカルのアーチストによる音楽の演奏をスポンサーしている。ホステル感覚のブティック・ホテルを謳うモキシーは、部屋は狭くそれ自体がニューヨークの経験だという。

こうした動向の背景には、ホテルの競合はairbnbだという認識がある。airbnbがマーケットする、これまでのような観光客ではないローカルとしての体験をとりこむべく、宿泊に付随するローカル性をホテルが重視し始めていることが、現地ツアーやアクティビティの予約サイトの買収を後押ししている。ホテル周りのビジネスをいかにして取り込むのかは、これからも大きな課題だ。

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アーチ状の構造を多く手がけた建築家、エーロ・サーリネンによって1962年にTWA航空のターミナル4をホテルに改修したTWAホテル。
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TWAホテルのHPより。独特のレトロモダンな内装はある層にとっては宿泊することが目的となりそう。


新しいホテルを見て回ることで気づくことのひとつは、かつてのように、入口を入ると目の前に巨大なレセプションが広がっているという光景を目にすることはないということだ。ハイエンドのホテルにその傾向が強く、大きなデスクの背後に何人ものスタッフが立って待ち構えているという光景は過去のものになりつつある。

自分でチェックインするためのiPadが並んでいる以外には、入口のフロアにはソファが並ぶくつろぐ場所があったり、レストランがあったりする。2017年にマンハッタンの31丁目にオープンしたライフ・ホテル (https://lifehotel.com/
) のように、入口を入ってもどこにレセプションがあるのかすぐにはわからない、むしろレセプションをできるだけ見せないようしているようにさえ思えるところもある。

ライフ・ホテルはかつての雑誌の『ライフ・マガジン』本社だった建物をホテルに改修している。商品をマーケットする際に、それにまつわる物語を付加する物語マーケティングが一般化しつつあるが、ライフ・ホテルは既にそこにあるライフ・マガジンのレガシーの周りにホテルというビジネスを構築したのが興味深いところだ。

他の場所で再現不可能なプロジェクトには、他にはない固有性がある。オーセンティックなトーンを前面に出している内装にもそれは見てとれる。新しいコンセプトやデザインを考えたところで、ひとたび注目されたらそれはすぐに模倣され、あっという間に世界中でコピーされる。模倣されることを避けるためには、他にないユニークな場所を開発するしかないということなのかもしれない。

他にはないホテルといえば、JFK空港内で工事が進んでいるTWAホテル (https://www.twahotel.com) は、かつてのTWA航空のターミナル4をホテルに改修するものだ。 エーロ・サーリネンの手によって1962年にオープンしたターミナルで、トランス・ワールド航空 (TWA) はもちろんもう存在しないが、
その歴史とアイコニックなターミナルを利用したホテルとして復活する。
 
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1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるPUBLIC HOTEL。冒頭のソファーの部屋の写真もここ。日本だと結婚式の会場としてのニーズは必須だが、NYの場合はアートイベントや音楽イベントが開催できるようなスペースを設けるところが多いよう。(https://www.publichotels.com/)
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日本における近年のデザインホテル、ブティックホテルのトレンドは、2012年にブルックリンに暮らす3人のオーナーの手によって開業したこのWHYTHE HOTELが有名だ。1901年に建てられた、精糖所に納める木樽を製造する工場をリノベートしたインダストリアルな意匠は、その後の日本における“ブルックリン・ブーム”や“ポートランド・ブーム”を後押ししたが、そういった表面的なことに留まらず、小資本(インディペンデント)であることをはじめ、レストランのメニュー、バー、パブリックスペース、ジムなど、従来の都市のホテルユーザーとは異なる“新しいラグジュアリー”なライフスタイルを提案していた点こそが新しい(写真は2013年8月に撮影したもの)。
 
ホテル・ビジネスの競争の中心は、部屋よりも宿泊の周辺へと移動している。

昨今の宿泊客の半分はレストランでホテルを選ぶというデータもある。ライフ・ホテルのロビーはレストランをフィーチャーしていて、近所の人たちが立ち寄るような場所を目指しているという。同レストランは、レストラン起業家のステファン・ハンソンが所有・経営している。

ホテルの中のレストランの多くは第三者の業者が経営し、ホテルとのシナジーが欠けていることが多い。ライフ・ホテルではハンソン自身が同ホテルに投資をしており、レストランの売上の一定の率を家賃としてホテルに払う仕組みになっている。

一般的に、レストランをオープンした後、その周辺が人気の地区になったら、家賃が上がり今度は追い出されることになりかねない。不動産価格の高騰に終わりの見えないニューヨークでは頻繁に耳にする話だ。ビジネス面での新しい取り組みは、その防止策でもある。

2017年にロウワー・イースト・サイドにオープンしたパブリック (https://www.publichotels.com/) は、1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるホテルだ。

その名が示す通り、誰もが立ち寄ることができるように、コワーキング・スペースパブリックの場所があり、仕事をしたり、打ち合わせをしたりしている人たちが多い。上層階にはフード・ホールバーがあり、地下にはコンサート・ホールもある。エンターテイメントは利益が出せるものの、ホテル産業にノウハウがない部分でもある。その開発の意図がある。

こうしてみると、新しいホテルにはいくつかの傾向がある。宿泊周りの体験をとりこむこと。他にない固有性を求めるところもある。そしてテクノロジーとデータがホテル産業の未来に欠かせないコアであることも間違いのだろう。

[取材・データ/文:Yoshi(在NY・コンサルタント)]

 

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ニューヨーク市長予備選挙のこと
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ニューヨーク市長予備選挙のこと

6月24日に次期ニューヨーク市長の民主党候補を選ぶ予備選挙の投票が行われた結果、ゾーラン・マムダニが最多票を獲得した。 33歳の移民のムスリムが前ニューヨーク州知事を破ってニューヨーク市長候補に選ばれた、そう伝えるところもあるようだが、年齢や人種的なプロファイルよりも、投票に至る顛末にこそ注目すべきことが多くあったように思われる。振り返って記しておこうと思う。 今回の予備選挙をひとことで言うなら「エスタブリッシュメントの完敗」です。 マムダニはクイーンズのアストリアに住む州の下院議員。昨年10月に市長選挙に立候補しましたが、その際にまともにとりあったメディアがひとつでもあったかどうか。 一方ニューヨーク州知事を10年にわたり務め、不動産産業をはじめとするビジネス界に深いつながりをもつ67歳のアンドリュー・クオモは、今年の3月になって市長選挙に立候補することを発表しました。数々のセクハラとパワハラ疑惑により2021年に州知事を辞任したクオモですが、今度は市長として政界への復帰を目論むというものです。良くも悪しくも、まあ少なくとも市民の間では主に後者の意味で、知名度は抜群です。 大方の当初の見方は「クオモか否か」というもので、「否」であるなら誰がクオモに対抗できるのか、そこが焦点だったはず。そこにマムダニの名が挙がることはまずなく、調査はクオモが支持率で大きくリードしていることを伝えていました。 5月20日付でニューヨーク・マガジンがマムダニのプロファイル記事を出しました。彼をまともにとりあげたほぼ最初の主流メディアだったのではないでしょうか。投票の1ヶ月前です。「社会主義的ニューヨークの夢を売る」とフレームしつつも、その評価については曖昧な内容でした。 それ以降マムダニのプロファイル記事を目にするようになり、The Nationのような雑誌はまあそりゃそうでしょうというところですが、より主流に近いメディアが彼をとりあげ始めたようです。 市長候補としてのマムダニの主張は、富裕層や大企業への課税、バスの無料化、無料のチャイルドケア、市営の食料品店、一部のアパートの家賃凍結など、住民の生活コストを下げることを中心としたもので、住民の日常にある具体的なニーズを満たすメッセージを終始一貫して伝えました。 その提案は若い人たちの間で支持が強く、同時に、それはエリートやエスタブリッシュメントが嫌うことばかりでもあったようです。 彼の選挙キャンペーンには4万人ものヴォランティアが熱心に手伝い、各家庭のドアをノックして回っていたというから大変な動員力です。また支持者たちが、選挙チームとは関係なく、DIYの支援集会を開いていたことからも、彼の原動力が草の根のコレクティヴの力にあることがわかります。 そうした動きが徐々にモメンタムを築き、メディアは遅れてそれに追いついたということなのでしょう。投票まで数週間と迫ったところでマムダニが猛追してクオモに肉薄、クオモを上回ったと伝えたところもありました。 マムダニを止めなければいけない。ブルームバーグ元市長にビル・アックマンなど、ビリオネアやビジネス界が巨額を投じて反マムダニのキャンペーンに出ました。 民主党の大物たちもクオモ支持の見解を出し、マムダニに対して批判的なコメントをくり出しました。ビル・クリントンによれば、マムダニは経験不足でダメだということらしいのですが、当のクリントンが32歳でアーカンソー州知事に就任したことなど、都合よく忘れたふりができないようでは大統領など務まろうはずはありません。 ニューヨーク・タイムズは、ニューヨーク市長選挙について同紙としてエンドースすることをやめたと昨年正式に発表しました。ニューヨークのメトロ紙面を縮小するなど、近年はその紙名の由来である都市を離れる動きが顕著なのですが、市長選挙をエンドースしないとの先の決断を翻すように、マムダニは票を投じるに値しない、クオモに票を入れろと促す記事を出しました。読者が困惑とともに受け取ったメッセージは、なりふりかまわぬエリートたちの鼻息の荒さというところでしょう。 クオモ支持の表明はさらに続いたものの、名乗りをあげるのが極右のチャヤ・ライチク、経歴詐称などで下院から除名された共和党のジョージ・サントスといった人たちで、支援の足しになるどころか、あれは間接的にマムダニを支持するジョークだったのじゃないかといまでも思うのです。 それにしても、ここまでビジネス界やエリートたちが露骨に応答することは珍しい。マムダニが主張する、人や暮らし重視のポリティクスは、エリートたちがとにかく忌み嫌うものであり、そのことに関するかぎり、リベラルか保守かといった自称他称は意味を失うようです。今後こうしたことをもっと目にするようになるでしょう。 エリートのパニックぶりとそこに見えてくるもの、それが今回の選挙のハイライトのひとつだっと言えます。エラい人たち総出の阻止工作にもかかわらず、あるいはそれだからこそ、それを押し返すようにしてマムダニは最多票を得ました。 もうひとつつけ加えておくと、市のコンプトローラーでやはり市長選挙に立候補していたブラッド・ランダーが、マムダニと相互にエンドースしたのは巧みな戦略でした。とかく「俺ファースト」の個人競争の政治において、そうした協調/協働を目にすることは珍しい。ランダーとしては、戦況を見たうえで、確率が少ない自分の勝利よりもクオモを落とすことを優先したということだったのかもしれません。 そしてランダーといえば、投票の10日前に移民に付き添っていたところをICE (アメリカ合衆国移民・関税執行局) により逮捕されたニュースが伝わったことで、折りからの反ICE感情を追い風として世論が一気にランダー-マムダニに傾いたことにも言及しておく必要があります。ランダーはユダヤ系の人なのですが、釈放されたランダーとマムダニが並んだところに宗教を超えた連帯を見た人たちは少なくなかったはずです。ランダーなくしてマムダニの大勝は起こり得なかったはずなのです。ランダーはクオモに次いで三番目の得票数でした。 選挙後もマムダニをめぐる大騒ぎは続いています。 しかし、他都市にはこうした市長が先に出ていたことを思い出しておきましょう。富裕層への課税案のためでしょうか、マムダニをシカゴ市長のブランドン・ジョンソンに比する人もいるようですが、より近いのはボストン市長のミシェル・ウーです。 ウーも市長に選出された時点では、その若さとアジア系女性であることが注目されたのですが、そんなことよりも大事なのは彼女のポリティクスです。特定のバス路線の無料化、公立校に通う子供の家族には市内ミュージアムや動物園を無料にしたり、子供優先、暮らし優先の市策といえばいいでしょうか。こうした市長はニューヨークが初めてではないのです。 もちろんボストンとニューヨークはいろいろな面で違います。ボストンも大都市ですが、ウーのような理知的な人はボストンにはいいのでしょうけれど、ニューヨークには少し堅苦しくて、もう少しどこかネジが緩んだような人でないと支持をとりつけるのは難しいかもしれませんね。現市長のようにネジが全てとんでいるのは困りますが。 そしてニューヨークはウォール街をはじめとするビジネスのメッカ。大騒ぎになっているのは、そうしたところでマムダニのような市長が現れようとしているためなのかもしれません。マムダニが親パレスチナ運動を行い、パレスチナで起きていることを「ジェノサイド」とはっきり言う人であることとも無関係ではないはずです。 ところでウーは市長選挙キャンペーン時にプログレッシヴと思われないように配慮したそうですが、それに比べると、マムダニはプログレッシヴ路線を全面的に押し出すキャンペーンを展開しました。ウーが市長に選出されたのは2021年11月のこと。仮にマムダニが当時市長選挙に出馬したとして、今回のような大きな支持をとりつけることができたでしょうか。この数年の間に世の中は、普通の人たちの考え方は、大きく動いたのかもしれません。 もっとも民主党のエスタブリッシュメントはそれに気づかなかったようです。昨年の大統領選挙にしても、トランプが勝ったわけではなく民主党が勝手に負けた、民主党のいわば一人負けでした。世間離れしたエリートたちには世の中の人たちのことがわからないのか、いまだに従来のプレイブックを書き換えることができないらしく、マムダニが勝ったのは、民主党のプレイブックに反することばかりをしたからだという指摘も肯けるものです。 マムダニがキャンペーン向けに準備したロゴも特徴的でした。投票後に学んだことなのですが、そのロゴは民主党の青や共和党の赤といった従来の選挙色は使ってはおらず、イエロー・キャブやハラルのカート、ボデガなど、ニューヨークの通りにある人びとが日常的に利用するものを感じさせることを意図したのだそうです。小さなデザイン協同組合Forgeによるもの。あらためて見てみると、たしかにどこか見覚えのある馴染みのものに見えます。 それで思い出すのは、キャンペーン中に好みの朝食を聞かれたクオモが「マフィンにベーコン、チーズ、エッグ」と答えてニューヨーカーの嘲笑を買ったこと。ニューヨークに住む人なら誰でも、それが決して「ベーコン、チーズ、エッグ」ではなく「ベーコン、エッグ、チーズ」だということを知っているはずです。どうでもいい些細なことではありません。すごく大事なことなのです。そうしたところにこそ人は住んでいる所のアイデンティティを感じているわけですから。そういえば以前、ピザをフォークとナイフでお上品に食べているのをバカにされた市長もいましたね。ピザのスライスを手に歩道を歩くことがニューヨークと言ってもいいくらいなのに。 それはともかく、選挙を意識してニューヨークの古典的な朝食に言及しようとして失態を晒したクオモに対して、マムダニが「ベーコン、エッグ、チーズのオーダーの仕方を知らないだけでなく、通りを実際に歩くことによってではなく、テレビのスクリーンを通じてニューヨークを理解している男だ」と手厳しく追撃したのも当然なのです。 実のところ、マムダニのキャンペーンにとって、外にいること、通りを歩くことは特に重要なことでした。彼の人気をソーシャルメディアの扱いの上手さに探る向きもあるようですが、なるほどたしかに、生活費の高騰を「ハラルフレーション」と言ってのけたり、2021年に市長選挙に導入された分かりやすいとはいえない「ランクト・チョイス」の選挙方法を自らヒンディー語で説明する動画を、この言葉がわからない人もいるかもしれないから念のため英語の字幕をつけたよと言ってアップしたり、ユーモアに満ちたチャーミングなものが多いのは事実ですが、彼の何よりの訴求力は、数万人がドアをノックして回ったように、外に出て人に直接話したところにあったはずです。つまりIRL (in real life: リアルで会う) です。 「2024年の大統領選挙はポッドキャストの選挙と言われたりしたが、2025年のニューヨーク市長予備選挙はIRLだった」とある新進メディアが指摘していました。意識的にオンラインを離れようとする若い層と、マムダニの支持層が重なってもいる。スクリーンを離れて、外を歩き、通りで、地下鉄で人に会うこと。投票前日にはマンハッタンを北端から南端まで歩き、深夜に働く人たちに会って話しをすることでキャンペーンを終えました。その際には「最もニューヨーク的なことは外にいること」で、ニューヨークには外にいる市長が必要だと彼は言ったそうです。 それを伝えたメディアはニューヨーク市内に増えているジャーナリストのコレクティヴのひとつなのですが、以前記したように、企業ジャーナリズムのあり方や運営の仕方を疑問視する人たちが、自ら共同所有する新メディアが立ち上がっています。つまり、マムダニのポリティクスと共鳴する動きはすでにあったわけです。今回の躍進は必ずしも晴天の霹靂というわけではなく、彼のような人を受け容れる準備は少しずつ進んでいたと言えないでしょうか。 予備選挙に勝ったとはいえ、マムダニが実際に市長に就任することになるかどうかはまだわかりません。 現時点で気になるところがあるとするなら、彼の支持層のことです。マムダニの支持は大卒の若い人たちを中心としています。今日のアメリカでは大卒の人ほど企業に対して否定的な見方をしていて、同時に労働組合を支持するようになっています。その意味では不思議ではありません。 単なる反動で終わらないためにも、それ以外の人たちの間でのマムダニの受け止め方がもう少し見えてくるといいのですが。 (おわり)

yoshiさん


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