キミドリ

キミドリ

レポート
2006.04.01

ターゲットは「オーガニック的なものに興味のない人まで」。
“新しい段階”にシフトしたオーガニック・バーの誕生。

この1-2年の飲食店のトレンドといえば「立ち呑み」が筆頭に挙げられるが、そこに「オーガニック」という21世紀のキーワードを併せ持った“立ち呑み+お弁当cafe”の店、「キミドリ.」が05年12月5日、渋谷区渋谷にオープン。連日、近隣のオフィスに勤めるOLさんや外国人ビジネスマンなどで賑わっている。

「最初にこの建物の2Fに事務所を借りて、いずれ1Fも空くという話を聞いて、物販のショップを始めようかなと思っていたんです。そこで今のスタッフとの出会いがあって、じゃあ飲食店をがんばってやってみるか、ということになったんです」と言うのは、プロデューサーの鈴木幸一さん。

壁や天井、床はもちろんのこと、心地よい立ち呑み空間を演出しているゆがんだ木製のカウンター、ライティングなど、内装はすべてオフィスの本業でもある、フジロックなどのフェスティバル制作で活躍する美術スタッフの仲間達が手がけた。ふつうに食べてもらいやすい価格と、素材・味にこだわったというメニューは、オーガニック野菜の小売では草分け的存在として有名な「GAIA(ガイア)」をはじめ、直接つながった農家や、オーガニックパンで有名な「ルヴァン」、南米エクアドルからのフェアトレードのコーヒーなど、独自の仕入れルートでコストバランスにもこだわっている。

実は、鈴木さんは、89年に創業した「お茶の水GAIA(ガイア)」の立ち上げメンバーのひとり。また、毎年代々木公園で開催されるイベント「アースデイ東京」の企画・制作を大きく担うオフィス:アースガーデンの代表も務める、オーガニック的な世界では知られた人物だ。

「昔1年ほど石川県の有機農場に住み込みで働いたり、コーヒーなどを対象にしたフェアトレードの事業に関わったり。そういうこれまでの経験から、オーガニック野菜の実際の生産と流通の事情とコストは把握していますが、今度はそれを、飲食店という消費の現場で検証しはじめているところです」と鈴木さん。さらに、少し前に誌面を賑わせていた「スロー」が、この1-2年は「LOHAS」という名の元でのマーケティングに移行していて、これからはイメージよりも、ライフスタイルの中で「オーガニックな商材」「エコロジカルな商品」の実質が本格的に問われる時代に入る、と予測する。

「ひとことでオーガニックというのは簡単ですが、たとえば、10メートル×10メートルの無農薬の畑があったとすると、その雑草を取り除くのには2〜3人がかりでも1日では終わりません。一方、農薬をまいて除草するのなら、1時間もかかりません。この手間的には無限と言いたくなるギャップを埋めるのがオーガニックの流通の現実なんです。(鈴木さん)。

食材も料理も飲物も、そしてスタッフの人柄もそれなりに「オーガニック」率は高いのだが、あえてそれを銘打たず、「自然派」というキーワードにとどめている。「ターゲットはオーガニック的なものに興味のない人まで」と言うように、ともすると一部の人たちによる閉ざされた価値観に思われがちなこれまでの「オーガニック」のイメージから、ライフスタイルの中での「当たり前のこと」という、新しい段階へとシフトしつつあるといえるだろう。

ちなみに、近い将来、ケイタリングサービスにも着手する予定だそうだ。


■ キミドリ
http://www.kimidori.info/
〒105-0002
東京都渋谷区渋谷3-12-24 小池ビル
tel: 03-5468-3289
平日 11:30〜24:00(cafe14:00〜、bar18:00〜)
土曜 18:00〜24:00
日曜定休

南兵衛@鈴木幸一
■ キミドリ・プロデューサー
■ アースガーデン代表
http://www.earth-garden.jp
アースデイ東京2006実行委員会
http://www.earthday-tokyo.org
“渚”Nagisa Music Festival プロデューサー
http://www.nagisamusicfestival.jp/
お茶の水GAIA:創業メンバー&役員
http://www.gaia-ochanomizu.co.jp

エコロジー/オーガニック イベント 企画制作
オフィス:アースガーデン
tel:03-5468-3282 fax:03-5468-3285
〒105-0002
東京都渋谷区渋谷3-12-24・小池ビル
staff@earth-garden.jp

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