Chinse caffe Cina

Chinse caffe Cina

レポート
2005.11.11
フード|FOOD

キャットストリートに本格的なチャイニーズ・カフェが登場

エッグタルト、バナナタルト、チキン
パイ、パイナップルパン、ローストチ
キン、スモークチキンなどメニューも
豊富(140〜390円)
古い木造家屋のよさを活かし、
+アイアンでレトロモダンな店内
パイ生地からすべて手作り。オーブン
等の機械もすべて香港から輸入している。
たった2席のテラス席はいつでも人気。
10月11日、原宿のキャットストリート沿いにチャイニーズ・カフェ「Cina」がオープンした。

オーナーは香港出身で日本在住19年になるグラフィックデザイナーの張子達さん(38)。何故グラフィックデザイナーがカフェを?

「僕が初めて日本(東京)に来た時の手軽に食べられるチャイニーズと言えば、ラーメンや肉まんのイメージが強かった。香港でポピュラーなエッグタルトなどのスイーツやパン類はありそうで意外となかった。そのうち誰かがお店を作ってくれるだろうと思っていましたが、20年近く経っても誰も作る気配がない。それじゃ、僕が作るしかないかなって。グラフィックデザイナーとして培ったデザイン感覚やコンセプトワークの経験を総動員して、考えました」(張さん)。

やると決めた以上、商品は徹底的に本物にこだわった。香港の味を忠実に再現すべく、専門の職人を2名来日させ、厨房器具も香港から取り寄せ、パイ生地も香港と日本の湿度や温度の違いを考慮し、独自のブレンド方法を考えて自分たちで1から作ることにしたという。とはいえ、こだわりや理想だけでは店舗を運営していくのは難しいことも、グラフィックデザイン会社の社長業を通しての勘でわかっていた。出店が決まると、平日・休日でのお店の前の通行人の数をカウント。売上の見込みを何百回も計算し、商品単価を決めたという地に足のついたビジネス感覚も持ち合わせている。

メニューは、エッグタルト、バナナタルト、チキンパイ、パイナップルパン、ローストチキン、スモークチキンなどが140〜390円、ドリンク類はマンゴージュース(3〜4種類)、香港風ロイヤルミルクティ、中国茶、コーヒーなど200〜470円という設定。ランチボックス(500円〜870円)も好評だ。なかには「コーヒーミルクティー」なるものも。

「『インヨン』はコーヒーミルクティー。名前の通り、コーヒーとミルクティーをハーフ&ハーフにしたもの。香港人はハーフ&ハーフが好きなんですよ。コーラとセブンアップ、クリームソーダと牛乳なんていう組み合わせも全然アリですよ。欲張りなのかな? 日本ではここ1,2年でマンゴーが人気急上昇ですが、僕にとっては子供の頃からのおなじみの食材。マンゴーには相当うるさいですよ(笑)」(張さん)。

ターゲットは、キャットストリートでのショッピング途中の10〜20代前半の男女や、近隣のビジネスパーソンや専門学校の生徒など。場所柄、ファッションに敏感で好奇心旺盛な若者が多い。キャットストリートで一際目を引くイエローの外壁の店構えに、店内はダークな木目とステンレスの組合せの落ち着いた雰囲気。ガラスとステンレスを組み合わせた照明は、張さんのアイデアで特別に作らせたもの。2席あるテラス席は競争率が高い。店舗正面の幼稚園の木々が見事に借景となり、窓の外の緑がとても気持ちいい。

メニューは、例えばエッグタルトは「ダンタ」、チキンパイは「ガイパイ」という具合に、広東語読みのカタカナ表記だ。これには、香港の文化をそのまま取り入れてほしいという思いが込められているという。Cina(シナ)というお店の名前は、Chinaのポルトガル語読み。エッグタルトはポルトガル由来で、マカオがポルトガル領だったことから、マカオ経由で香港に入ってきたのだそう。

「文化を創っていきたいと思うんです。香港のモノづくりの方法はタルトやパンを1つとってみても日本とは全然違います。香港スタイルのベーカリーを多くの方にぜひ体験してほしいと思います。香港の食べ物は日本人の舌に合うものが多いので、今後もまだまだ紹介したいメニューや食材もたくさんあります。どうぞご期待ください」(張さん)。

将来的には、フランチャイズ化も視野に入れているという。新しいモノ好きの多い土地柄で、今後のビジネスを占う第一号店としては申し分のない立地条件であるといえよう。


取材・文:会田裕美(マーケティングプランナー)

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