Records & Jackets Manual of Errors SONOTA

Records & Jackets Manual of Errors SONOTA

レポート
2005.08.29
カルチャー|CULTURE

高円寺のモンド専門レコードショップ「Manual of Errors」の
姉妹店が渋谷にオープン

ジャケ買い用に、ジャケット別に分類された
コーナーがあるのが同店の特徴。この他にも
犬ードや腹話術・人形などユニークな
コーナーがたくさん。
セレクトのポイントは「ここにしかない
レコード」。ユニークな商品がユニークな
分類体系によって陳列されている。
手描きのイラストがかわいいレコード
バッグ。中に入れるレコードによって、
殿様の着物の柄が変わるしくみ!
2005年6月1日、宇田川町にレコード&ジャケット「Manual of Errors SONOTA(マニュアル・オブ・エラーズ・ソノタ)」がオープンした。同店は、1993年から高円寺で営業している、レコードショップ、マニュアル・オブ・エラーズの姉妹店である。運営するのは、(有)マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ。

「SONOTA」という店名の通り、同店が扱うのは、レコード店の「その他」のコーナーに置かれているレコード。通常の音楽カテゴリーに収まりきらない特殊なレコードばかりを取り扱う専門店だ。

「最近はどのレコード屋も似たような品揃えで、変わった商品があるはずの“その他コーナー”さえ同じような商品ばかりでつまらない、と感じていたんです。もともとは高円寺店も、オープンした当初はカテゴライズできないようなレコードを中心に揃えていたんですが、徐々に扱う音楽のジャンルが確立し、現在はブラジル盤がメインの品揃えになっています。そこで、10年経った今、原点に帰って新しく店をオープンすることにしました」(同社代表・山口優さん)。

場所は、レコード店が複数入居する、ノア渋谷ビルの11階。約30平米の店内には、ジャンルを問わず世界の珍盤が約2,500点並ぶ。セレクトのポイントは、ここにしかないレコード。世の中にほとんど流通していない、誰も知らないようなレコードを発掘し、紹介していくのがコンセプトだという。レコード棚を見てみると、スポークン(声や会話が録音されたレコード)や学生・プライベート(学生や市民オーケストラによるレコードや、一般人が記録・贈答用に録音したレコード)、男性の好きなレコード(エロ・ポルノ関連のもの)など、ユニークな商品がユニークな分類体系によって陳列されている。また、ネコード(ジャケットに猫が印刷されているレコード)や顔・顔・顔(顔が印刷されているレコード)など、ジャケット別に分類されたコーナーがあるのも同店の特徴。なかには、キクナ(=聴くな。盤が入っていないレコードや音が録音されていないレコード)などというコーナーもある!

また同店は、オープンに際し、オンラインショップも開設。店頭同様にジャンル別、ジャケット別で検索ができるシステムになっている。

「音楽だけではなく、ジャケットやコメントなどの全てを含めて、レコードとの一期一会の出会いを楽しんでもらいたいですね。この10年は、ターンテーブルが捨てられた10年でした。でも音楽のデータ化・ファイル交換が当たり前になっている今だからこそ、アナログレコードの物質としての価値を見直すいい機会だと思うんです」(山口さん)。

先日Today’s shibuyaでも取り上げたように、ここ数年でデジタルオーディオが急速に普及し、音楽マーケットは激変。都内では今年に入ってから、シスコ新宿アルタ店や渋谷宇田川町のZEST RECORDSなど、アナログ専門レコードショップが相次いで閉店している。そんななか登場した同店は、レコードを単なるメディアとしてではなく、“物”としてとらえ、これまでとは異なった価値や楽しみかたを提案。レコードとの新しい関係性を提示する、実はとても「00年代」を象徴する店といえるだろう。

なお、同店では毎月第二土曜に渋谷SPUMAにて「Manual of Errors Presents SONOTA」と題して、DJイベントを開催。さらに今後は同社が運営するレーベルの作品を販売していく予定だ。

取材+文/古屋荘太(フリーライター)+『WEBアクロス』編集室

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