UPLINK X(アップリンク・エックス)

UPLINK X(アップリンク・エックス)

レポート
2005.01.25
カルチャー|CULTURE

上映スペースは約40名が収容可能。
数種類のデザインチェアが並び、まるで
ラウンジのような雰囲気。
大阪の相合家具製作所と、北海道の
あぐら家具企画によるオリジナルチェア。
椅子はすべて購入できる。
受付となりの物販コーナー。
同社が発売している書籍・DVDなどを
販売している。
従来の映画館とは異なり、椅子や
クッションが移動可能なのも特徴。
数多くの映画館が点在し、特にミニシアターといわれる単館系の映画館の数は世界有数といわれる渋谷。昨年は、スペイン坂に「RISE X」、ピカソ347内の「アミューズCQN」がオープンしており、さらに2005年夏には、円山町に建設中の、株式会社レントラックジャパンとユーロスペースが手がけるミニ・シアターコンプレックスも完成予定で、渋谷周辺のミニシアターの集積感はさらに高まっている。

04年夏にオープンした、ミニシアター「UPLINK X(アップリンク・エックス)」もそのひとつ。運営するのは、映画の製作・配給を中心に、DVD発売、書籍の出版などを手がける(有)アップリンクだ。

「同社は95年10月から、渋谷区神南で「アップリンクファクトリー」を運営しており、映画の上映やライブ、トークショーなどを行ってきました。しかし、ファクトリーは多目的スペースとして作ったハコだったため、映画館としては不便な点が多かったんです。そこで、事務所移転を機に、同じフロアに独立した映画館を作ることにしました」(代表・浅井隆さん)。

同館は35ミリ映写機を使用せず、ビデオ・プロジェクターを用いて上映するビデオシアター。デジタル映像を最新のDLPプロジェクターで映写する、最新のデジタルシステムにより上映を行っている。サウンドシステムは、アメリカJBL社のミニシアターシステムを採用。上映スペースの広さは約20坪で、最大40人が収容可能だ。

館内は、10種類以上のソファや椅子が並び、まるでラウンジのような落ち着いた雰囲気。インテリアは、大阪の老舗商業家具メーカー、相合家具製作所と、北海道のあぐら家具企画によるもので、椅子はすべて購入可能という仕組み。自社配給のドキュメンタリーやアート系作品、ショートフィルムなどを中心に、一日3回上映を行っている。入場料は1000円〜(作品により変更あり)と、他の映画館に比べリーズナブルなのも特徴だ。

現在、同ビルの1階は工事中で、5月には、現在早稲田で営業しているアップリンクギャラリーと、神南のアップリンクファクトリーが移転。カフェレストランを併設し、リニューアルオープンする予定だという。

「コンセプトは“ミニミニBunkamura”(笑)。1階がカフェとギャラリー、多目的スペース、2階が映画館と事務所という構成の複合文化施設にする予定です。裏原やキャットストリートのように、次はこの通りが必ずくる!と確信し、出店場所としてここを選びました。この通りのランドマーク的な存在になればと思っています」(浅井さん)。

同店が出店したのは、東急本店と神山商店街を繋ぐ通り沿い。実はこの通り、代々木公園方面から渋谷の中心部や青山方面への抜け道で、神山町東の交差点では下北沢方面から渋谷に出る道と交わっており、バイクや自転車で通勤するショップスタッフや美容師などの通り道になっている。そんな通行者をターゲットに、昨年あたりからは、カフェや雑貨屋、インテリアショップなど個人オーナー系の小さなショップがポツポツと増えている。これまで何もない裏通りとして印象が薄かったこの通りも、少しづつ再編が進んでおり、今後本格的なオモテ化が予想される。


取材・文:『ACROSS』編集部

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