BOMB OF THE YEAR

BOMB OF THE YEAR

レポート
2003.06.02
ファッション|FASHION

03年3月1日、渋谷区神宮前6丁目にセレクトショップ『BOMB OF THE YEAR』(ボムオブザイヤー)がオープンした。同店は『MEN'S NON-NO』などのファッション誌で活躍する人気スタイリストの北原哲夫氏(30)が企画・プロデュースしたもの。

運営するのは『LAMP』や『CANNABIS』などを展開する(株)ジェネレーション。『H.P.FRANCE』を全国展開するアッシュペー(株)のグループ会社である。

「スタイリストの仕事が軌道に乗るに従い、目標を見失っている自分に気づいたんです」と北原さん。
「以前から3次元の空間で自分の世界観を表現してみたいという思いはありましたが、その背景には、改めてゼロから何かに挑戦してみたいという気持ちが強かったのかもしれません」。

02年夏、北原さんは、若いクリエイターたちの才能に敏感で柔軟に対応しているアッシュペー(株)に着目。友人でもある『CANNABIS』のバイヤー南貴之さん(27)を通じて企画を持ち込み、約1年弱の準備期間を経て今回オープンに至ったのである。

店舗面積は約20坪。服と家具が整然と並ぶ白で統一された店内はクールでストイックな印象だ。これは、ニュートラルな状態で商品と出会ってほしいという北原さんのこだわりの表れでもある。

現在取り扱っているのは『Attachment』や『BACK BONE』など国内のメンズブランド。各ブランドの特性を活かしてコラボレートした商品は、すべて北原氏がプロデュースしたもの。ちなみに現在コラボレートしているのは計10ブランド。服や小物だけでなくソファーなどのインテリア商品も手がけている。什器はすべて可動式のものを使用しており、ディスプレイも自由自在だ。

また店名と同名の詩集も発売。これは北原さんの親友で映像関係の仕事に携わる岩本知明さんが長年書きためてきた詩をまとめたもので、同店でしか手に入らないのだそうだ。

「この空間はひとつの媒体と考えています。例えばある日洋服を全部下げてインテリアショップにするなど、既存のシステムやマーケティングに乗らない自由気ままなショップ。自分のスタンスを大切にして、“カッコいい”ことをやっていきたいですね」(北原さん)。

このところ、熊谷隆志氏のGDCをはじめ、高木康行氏のsecやモリヤス氏のvikiiなど、スタイリストがデザインやディレクションを手がけるブランドが次々と登場。いずれも大人気となっている。つい先日も代官山にソニア・パーク氏のショップがオープンしたばかりだ。なかには、服や小物、雑貨、飲食など、多アイテム・多業種へと積極的にビジネスとして発展するブランドもあるが、北原さんはそこまでのビジネス展開は考えていないという。

単なる洋服屋ではなく、インテリアショップでもなく、ギャラリーでもない同店は、平面では収まりきれない北原さんのクリエイティビティを表現する“エクストラ・スペース”なのである。

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