SHIBUYA CHEESE STAND(シブヤチーズスタンド)
レポート
2012.08.10
フード|FOOD

SHIBUYA CHEESE STAND(シブヤチーズスタンド)

「街に出来立てのチーズを」。渋谷産のフレッシュチーズが楽しめる神山町のチーズ専門カフェ

店内の一画にガラス張りの工房を設置。取り囲むように席が設けられており、製造工程を見学することができる。
牧場から早朝に仕入れた牛乳を使い、店内で毎日手作りされるモッツァレラチーズ。ミルクが滴り落ちるような濃厚さが特徴だ。
野菜の大半は生産者から直接仕入れているのも同店の特徴。
天然酵母のライ麦パンを使ったサンドイッチ。
カプレーゼ/480円
リコッタサラミ/520円
トリュフエッグ/560円
グラハム粉入りの生地を使ったピザ。藤川さんは学生時代、ナポリのピザ店に飛び込みで修行し、帰国後もピザ職人として活動していた経歴を持つ。
当初予想していたよりもテイクアウトの需要が多いそうだ。
モッツァレラチーズ100g/550円、リコッタチーズ100g/470円

 

牧場から毎朝直送される牛乳を使って店内の工房で手作りしたフレッシュチーズを提供するカフェ「SHIBUYA CHEESE STAND(シブヤチーズスタンド)」が、東京・渋谷区の神山町にある。オープンは2012年6月4日。場所はNHK放送センターの西門の向かい。渋谷の真ん中で出来たてのチーズを食べられる、新しい業態の同店を取材した。

運営元は(株)nobilu(ノビル)。代表取締役はチーズ職人の藤川真至さん(31歳)だ。大学でイタリア語を専攻していた藤川さんは、学生だった約10年前にバックパッカーとしてイタリアに渡り、ナポリでピザ職人の修業をしたり、北イタリアのチーズ工房でチーズ作りを学んだ。そういった経験を通して「いつか店を持ちたい」という思いが芽生え、卒業後はイタリアンレストランでピザ作りを経験するほか、赤坂のドーナツ店で経営に携わった後、独立を果たした。

コンセプトは「街に出来たてのチーズを」。チーズと言えばパーティーで食べるもの、ワインのおつまみというイメージが定着しており、ましてやフレッシュチーズは牧場にわざわざ出向かないと食べられないという非日常的なイメージが一般的だ。しかし同店ではチーズをもっと日常的なものにしたいと考えており「CHEESE STAND」という店名も、コーヒースタンドのように、ふらっと立ち寄れる場所にしたいという思いがあるからだ。

「ナポリの街にはチーズ店が軒を連ねているんですが、そこで出合ったのがフレッシュチーズ。その濃厚なおいしさに感動し、出来たてのチーズをたくさんの方に届けられる店を作ろうと思いました。また、日本では牛乳の消費量は減っていますが、ピザの浸透などの影響からチーズの消費量は増えています。そういった背景からも、チーズなら新しいことができるのではないかと考えました」(株nobilu 代表取締役/藤川真至さん)

東京都八王子市の牧場「磯沼ミルクファーム」から毎朝直送される牛乳を使用。ジャージーやホルスタイン、ブラウンスイスという3種の乳牛のミルクが混合された濃厚な牛乳がチーズの味を深めるそうだ。藤川さんが毎日手作りするチーズは「出来たてモッツァレラ」(550円/100g)、「出来たてリコッタ」(470円/100g)。チーズの販売のほか、チーズを使ったメニューも提供。東新宿のパン屋「峰屋」の天然酵母ライ麦パンを使ったサンドイッチは4種類あり、フレッシュモッツァレラとバジル・トマト・ルッコラを挟んだ「カプレーゼ」(480円)が特に人気。プレート料理の「当日出来たてのモッツァレラとリコッタの盛り合わせ」(580円)も売れ筋という。また、7月半ばからはピザもスタートした。野菜の大半は生産者から直接仕入れているという素材へのこだわりも特徴だ。

 

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当日出来たてのモッツァレラとリコッタの盛り合わせプレート/580円。
チーズ作りの過程で出来るホエー(乳清)を使った自家製ホエードリンクなど同店ならではのドリンクメニューも。


オーナーでチーズ職人の藤川真至さん(31歳)。同店のマスコットキャラクターである白い牛と一緒に。
店内にはチーズの製造過程を解説するパネルを展示。
モッツァレラとバジルのマフィン、リコッタチーズを添えたマフィン/各350円。

 

来客層は、女性が8割を占め、30歳代が特に多い。平日はNHKをはじめ近隣に勤める人が多く、土曜には家族連れが多くなる。ヨルダンやニュージーランドなどの大使館が近隣に多いため、外国人の来店も目立つ。NHK「おはよう日本」に紹介されてからは、40代、50代も増えたという。また、お客さんから「これが本当のチーズなんだ!」「ジューシー」「ヨーグルトみたい」という多彩な声が聞かれた。

テイクアウトとイートインの比率は半々。想像以上に持ち帰り客が多く、ホームパーティーなどで食べてもらえることが嬉しいという。飲食店への卸売りも開始しており、今後は様々な飲食店からも出来たてのチーズを広めていきたいという。

物件は渋谷区内で探した。というのも、文化情報の発信地であり、カルチャーに興味がある人や洋食文化に抵抗がない外国人も多いエリアだから。なかでも個性的な飲食店が増えている神山町商店街が第一希望だったそうだ。出店物件は約15.5坪の適度な広さ、横長の造り、天井が高いこと、公園が近いことなども好条件だったという。ガラス張りで白を基調にした店内は、アメリカ西海岸風のカジュアルで清潔感ある雰囲気。席数はカウンター9席、テーブル6席。

また、チーズバットというチーズを保温・冷却する機器などが置かれた工房を店内の一角に設けており、フレッシュチーズの製造工程を見られるのも特徴。13時前後は練る工程を見学可能だ。なかには出来上がりの時間を狙って来店する常連客もいるそうだ。

「作っている工程をお客様に見てもらうことで、フレッシュチーズのしずる感を出したかったし、安心・安全であることを伝えたいと思いました。ファクトリーのように、チーズ作りの工程を写真と説明文で示したパネルも店内に展示しています」(藤川さん)

ここのところ「クリスピークリームドーナツ」やスペイン発のキャンディ専門店「パパブブレ」など、製造工程を実演で見せる飲食店が人気だが、同店の製造工程を見せるライブパフォーマンスも消費者へのアピールポイントになっているといえるだろう。そして、チーズのなかでもフレッシュチーズに特化するというキャッチーさと独自性が、消費者の潜在的ニーズの喚起につながっているといえそうだ。

取材・文 緒方麻希子(フリーライター+エディター)

SHIBUYA CHEESE STAND(シブヤチーズスタンド)

〒150-0047
東京都渋谷区神山町5-8

営業時間 10:00〜21:00
定休日:日曜・年末年始
TEL 03-6407-9806


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