ワイズロード渋谷本館
レポート
2012.01.26
カルチャー|CULTURE

ワイズロード渋谷本館

あらゆるニーズに対応するスポーツサイクルのテーマパークが渋谷に登場

入口を入ってすぐのコーナーには、ファッション系に人気のBMXやピストを用意。様々なジャンルのスポーツサイクルを扱っているのが同店の強み。
160坪の広い店内には所狭しと自転車が並べられている。
ここ数年盛り上がりを見せるトライアスロンのコーナーも。
自転車の整備、修理を行なう作業スペース「ワイズテック」。同店で購入した自転車以外にも対応してくれるというからうれしい。
店内中央に相談カウンターを設置。発券機で発券すると、順番に呼び出してくれる。
売り上げから出した売れ筋と、専門スタッフがリコメンドする商品をミックスしてランキング形式で紹介。ビギナーにはうれしいサービスだ。
東京を中心に29店舗を展開する、スポーツサイクルショップの老舗ワイズロード。同店を展開する株式会社ワイ・インターナショナルが2011年10月、渋谷道玄坂沿いに「ワイズロード渋谷本館」をオープンした。

 かつて「YAMAHA渋谷店」が入居していたビルの1Fワンフロアを使用する「渋谷本館」は約160坪。渋谷駅から徒歩3分、自転車でも比較的訪れやすい場所だといえるだろう。店内には海外/国産のスポーツサイクルが所狭しと並ぶが、通路も広く余裕のあるレイアウトになっている。

「スポーツ用の自転車に乗ってみたいという方が増えている一方、どんな自転車を買ったらいいのか分からない、という方も多いんです。スポーツサイクルは値段も高く、敷居が高いイメージもありますし、知識がないと入りづらい印象もある。だからこそ流行が生まれる、ファッションイメージが強い渋谷で、もっとスポーツサイクルの世界に入りやすい提案ができる環境を作りたいと考えていました」と、語るのは同店店長の宮島章さん。

何年も前から物件を探していたそうだが、渋谷はもともと大型物件が少ないうえに好物件はすぐアパレルが入居してしまうため苦戦。今回ようやく実現したという。また、同社ではもともと渋谷駅東口の雑居ビル地下に小型の「渋谷店」を出店していたが、今回の本館のオープンと共に「渋谷カスタム店」へと名称変更した。
  
 この「渋谷本館」 がターゲットとするのは、これから乗りたいというビギナーから中級者、マニア層までの全てのユーザー。街乗りから山岳レース仕様の本格派まで、扱う商品の幅は実に広いが、同店ではマウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/小径車(ミニベロ)/ピスト/BMX/トライアスロン/シクロクロス/ツーリングという9ジャンルにカテゴリー分けして提案している。

  「渋谷本館」  ならではのサービスに、ランキング形式での商品紹介がある。ワイズロード全店の売り上げから出した売れ筋と、同社のジャンル別専門スタッフがリコメンドする商品をミックスしてランキング形式にし、店内のPOPで紹介するというものだ。

 「各ジャンルの自転車本体と、ライトやスピードメーターなどの主要パーツに関して、月1回ペースで更新しています。我々スタッフはどうしても玄人目線になりがちですが、売れ筋という尺度と合わせることでお客さま目線をふまえた提案が可能になりました」(宮島さん)

これによりユーザーはまず自分自身で検討ができ、スタッフにコンタクトするきっかけにもなるだろう。商品の幅広さだけで終わらない、“分かりやすさ”が同店の大きな魅力だといえる。

 また、店舗中央のカウンターに順番待ちの発券機を導入しており、番号順にショップスタッフが対応してくれる。一般的なユーザーとの接客には20〜30分はかかるというし、ただでさえじっくり話をしている専門店のスタッフには声をかけづらいもの。ビギナーにはなおのこと嬉しいシステムだといえる。

 ショップには10〜12名のスタッフが常駐しており、中には外国人スタッフの姿も。店内には「ワイズテック」という作業スペースを設け、自転車の整備、修理を行なっている。ファッション好きの間で需要が増えているヴィンテージサイクルのオーバーホールやレストアにも対応しているそうだ。修理以外にも、指定のカラーでフレームをリペイントしたり、オリジナルデザインのロゴを入れるなど、細かいカスタム需要が増加しているのが最近の特徴だという。従来は走行パフォーマンスの向上を目指した軽量化がカスタムの主流であったが、ビジュアル面主体のカスタム需要が増えているということだろう。
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次のトレンドとして注目されている「シクロクロス」は、マウンテンバイクとロードレーサーが融合した新しいジャンル。
女性のひとり客が目立つようになったのは、ここ1〜2年のことだそう。街中でも、ママチャリ以外の本格的な自転車に乗る女性が急増している。
自転車で来店しても安心して買い物を楽しむことができるように、館内に駐輪スペースを設置。
スポーツサイクル選びでまず重要なのが、自分のサイズに合った自転車を選ぶこと。そこで、同店では特殊な電動シュミレーター「BIORACER」で身体測定と解析を行うサービスを提供している(1,000円〜)。
 「渋谷本館」 では4〜5万円のビギナー向けから最高120万円くらいまでの車体を取り扱うが、売れ筋の価格帯は7〜15万円程度。当初の狙い通り、おしゃれのひとつとして自転車を選びたいライトユーザーや、最初のスポーツサイクルを求めるビギナー層、さらにワンステップ上を目指す中級者が多く訪れているそうだ。

 構成比は男性65%:女性35%と、スポーツサイクルショップとしては特別な状態ではない。しかし女性客の来店の仕方が最近、大きく変化してきたという。

これまでは女性は、カップルやご夫婦など、男性に連れられて来店する方がほとんどでした。しかしここ1〜2年は、女性がお一人で、または女性同士で来店されるケースが増えています。これは全社的な傾向ですね」(宮島さん)

 同社は2011年だけでも5店舗を新規出店しているが、店舗毎に異なる提案を行なっているそうだ。例えば茅ヶ崎店では店の真裏がすぐ海というロケーションで、トライアスロンをフィーチャーした商品を展開。新宿小田急ハルク内に出店したビギナー館ではコンシェルジュが常駐し「何を買ったらいいのか分からない」というビギナーに絞ったサービスを、有楽町店では最高級の商品を集めてプレミア感を打ち出しているという。「まだまだアイデアやしたい提案はたくさんあります」(宮島さん)というから、来年も出店は加速しそうだ。
 
 渋谷マーケットの特徴はといえば、ファッション志向の高いユーザーが多いことだという彼らに人気が高いのは、クロスバイクやマウンテンバイク、そしてピストバイクだそうだ。

「次のトレンドとしては、シクロクロスというマウンテンバイクとロードレーサーが融合したジャンルが注目されており、街で乗られる方も増えてきました。さらにそのシクロクロスとピスト、マウンテンバイクとピストをクロスオーバーするような動きもあります」(宮島さん)

 ジャンルごとに専門性の高いスタッフを擁するだけあって、こうしたジャンルの隙間から生まれる新しい動きを商品提案にむすびつけられるのが同店の強み。スポーツバイクの新しい動きがワンストップで分かるショールーム兼情報集積地としても、幅広いユーザーの注目を集めていきそうだ。
 
[取材/文:本橋康治(コントリビューティング・エディター)]
【記事のポイント】
●一部のファッション志向が高いユーザーに支持されていた自転車がマスにも浸透。
 
 
 

●専門性が高いアイテムを、ビギナーから女性まで誰もに“わかりやすく”提案するMD。

●サイクルショップもターゲット別/ギア別に細分化の時代。

ワイズロード渋谷本館

住所 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル1号館
TEL  03-5728-3539
営業時間 11:00 - 20:00
定休日 なし


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