JAPAN EXPO in PARIS, FRANCE
2011.09.09
その他|OTHERS

JAPAN EXPO in PARIS, FRANCE

円熟期を迎えたフランスの日本文化ブーム

マンガショップのブース
世界でいちばん有名な日本の漫画「AKIRA」のブース
ドラゴンボールの上映会
お姫様のコスプレ
もっとも賑わっていたのはコスプレの会場
スタイルが抜群に良かったファイナルファンタジーのコスプレ2人組

630日(木)から73日(日)にかけての4日間、12Japan Expoがパリで開催された。会場は、シャルル・ド・ゴール国際空港近くの展示会場、ノール・ヴィルパント。パリ中心部から地下鉄郊外線で約30分で着き、フランス最大のインテリア見本市メゾン・エ・オブジェなどの大規模な展示会に利用される会場だ。

 

行く途中の電車の中で向かいに乗り合わせた少女2人。漫画のイラストをあしらったバッグやTシャツを着ていて、行き先は一目瞭然だった。

 

Japan Expo(以下JEとは、漫画やアニメ、ゲームなどの現代ポップカルチャーのブースに加え、伝統文化も紹介する世界最大規模の日本関連イベント。その他日本アーティストのコンサートやプロレス、武道のデモンストレーション、たこ焼きの屋台が出たりと、とにかく日本に関連するものはくまなく紹介している。

 

最終日は日曜日ということもあってか、かなりの混雑を見せていた。特にゲームのブース周辺は人が集中していて、来訪者の中には、ゴスロリファッションの女の子たちや、コスプレイヤーも多かった。中でもファイナルファンタジーモンスターハンターなど、TVゲームのキャラクターが目立った。

 

JEがパリで最初に行われたのは、今から11年前の2000のことである。当時は会場もポルト・ド・ヴェルサイユの小さな会場で、来訪者も3200人程度だったという。それが今回の来訪者数はなんと約20万人と、この11年間で60に膨れ上がっている計算になる。

 

今年のJEの特徴としては、3月に起きた東日本大震災への支援の動きが多く見られた。例えば、日本の経済産業省外務省(国際交流基金)農林水産省観光庁4省庁が合同で日本文化のPRの他に食の風評被害対策を行ったり、JE主催者によりGambare Japan!」プロジェクトと題し、応援メッセージの掲載や応援バッジの販売(収益は赤十字社に寄付)が行われた。そして来訪者では、在仏日本人の参加も目立った。震災の影響からか、日本という国を外国にいながら改めて見つめ直す機会として今回初めて訪れたという人も多かったようだ。

 

出展者として、日本文化専門TVNOLIFEhttp://nolife-tv.com/)の事業部長である浅岡鈴果さんにお話を伺った。NOLIFEは、日本の伝統文化と現代ポップカルチャーを主軸テーマにフランス国内で750万世帯に配信しているTV局で、J-POPをフランスで初めてTV電波に乗せてオンエアした局でもある。現在日本に興味のあるフランス人で知らない者はいないと言っても過言ではない位、フランスにおける日本紹介no.1メディアとなっている。

日本へのたくさんのメッセージ
凛々しい新撰組!
NOLIFEの浅岡鈴果さん。フランス人のファンと

JEへはいつから出展していますか?

 

前身の会社から数えると、2006年からJEの公式パートナーとして映像記録やCMPR映像制作を担当しており、NOIFEとしてブースを構えたのは2008が最初です。

 

JE参加スタート当時に比べ、客層や雰囲気の変化を感じますか?

 

とても感じます。入場者が爆発的に増えたのもそうですが、中でもフランス人以外の外国人が増えたなと実感します。なのでフランス語が通じないことがしばしば(笑)。それから、とても商業的になってきたなと感じます。初期の頃はもっと同人的な意味合いの強いものでしたから。

 

JE参加者の増大に見るように、日本文化がこれだけ注目されるようになったのはどうしてだと思いますか?

 

これまでフランスやヨーロッパに存在しないものが多いからじゃないでしょうか。例えば原宿ファッションなどは強烈なインパクトがあり、人と違ったものが好きなフランス人のハートをキャッチしたのだと思います。

 

 

フランスで日本ブームが始まったのはかれこれ1015年ほど前1995日本びいきで知られるジャック・シラクが大統領に就任し、日仏間の文化交流が盛んになる。加えて、グレンダイザーなどのテレビアニメを見て育った若い世代がマンガやゲームを通して更に日本語や食文化、歴史などにも興味を持つようになり、以前はほんの一部の人からしか関心を持たれていなかった日本文化は、一般の人にも認知されるようになる。

 

今ではフランスにおける日本文化ブームは円熟期を迎えている。寿司日本茶はフランス人の日常生活に自然に溶け込んでおり、パリの街中には日本の漫画喫茶を真似たマンガ・カフェができ、人気を集めている。TVゲームは若い子たちの必携ツールであるし、宮崎駿の新作は日本とほぼ同時に公開されている。文化というものには非常にシビアで目の肥えたフランス人に対して、今後は目新しさだけではなく、どれだけレベルの高いものが提供できるかが今後の課題となりそうだ。

野口裕子(ライター/パリ特派員)


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