Across the Book Review Vol.18
2010.06.09
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Across the Book Review Vol.18

「アクロス」の取材から始まった!
『布ナプキン 〜こころ、からだ、軽くなる』ユーゴ(touta.)産経新聞出版

日本におけるオーガニックコットンの
パイオニア、(株)アバンティの渡邊
知恵子さんとのコラボによる特製オー
ガニックコットン布ナプキンが巻末に
1つ付いている。

「アクロス」の取材から始まった!

 始めから言ってしまおう、この本は筆者が編集を担当した書籍である。なので書評ともいえず、ただの告知ではあるのだが、あえてここで紹介させてもらうのは、この本が誕生したきっかけが、「web across」の取材であったからである。

 2008年暮れ、「エコだけど、お洒落な布ナプキンを作っているクリエイターがいる」として、布ナプキンブランドの「touta.」を取材した。

 そこで出会ったtouta.主宰者、ユーゴの話がとても興味深かった。ファッション大好き、ものづくり大好きで自分でファッションブランドを立ち上げたが、子どもを生んだり、食生活の乱れで体を壊したりという経験をして、それまでの暮らし方、仕事に対して疑問を持つようになった。「どんどんモノを作って消費して、捨てていっていいのか、何かが違う」という考えから、布ナプキンにたどりついたのである。エコロジーに興味があってずっと使ってきた、というわけではなく、「モノは作りたいけど、使い捨ては嫌、次世代にまでつなげていけるものは何か」と考えていった結果が布ナプキンだったというわけだ。作ることを決めてから、どんな製品にするか、どうやって売っていくか、といったことをウェブマガジンの連載でモニター調査しながら試行錯誤していった、というのも、面白い。
 
 布ナプキンはいいとは聞くけど、エコロジーどっぷりの人だけのもの、マクロビ、石けん、オーガニック、などの延長にある特殊なものという印象だったので、touta.の試みは、新しさを感じた。エコではない入り口から始めたため、リメイクの布を裏地に使ったお洒落でかわいいものが生まれ、かわいいから使ってみたい、と思われるようになる。ガチガチのエコ製品だと思っていたものが、こうやって開放されるのか、とある意味痛快さを覚えたのである。

 この感覚、このストーリーは、今共感を得られるのではないか、と書籍化を提案してみたわけである。2009年3月には雑誌『ecocolo』の別冊というかたちで、『布ナプキンの本』という小冊子としてまとめられていたのだが、エコロジー誌の読者だけではなく、幅広い層に、布ナプキンそのものと、布を通して感じること、変化することなどを伝える機会を作りたかったのだ。
 実際に、布の何がいいのかということも興味深かったのだが、「布はあたたかい」「生理がいやじゃなくなる」「早く終わる」など、未体験者にはさっぱり見当がつかない。うまく説明は出来ないけれどなぜかいい、という部分を、わかりやすく解説することは、布ナプキンの制作者にとっても必要なのでは、とも考えた。

 そんな企画をして、たまたま布ナプキンに興味があった版元担当者と出会い、出版へとこぎ着けた。読者を明確にすること、書店の棚に合わせた内容で制作すること、刊行期日に合わせてプロモーションしていくことなど、書籍としての制約は多く、逆にそれが「なんとなくかわいい本」にせずに、必要な内容、伝えるべきことを押さえ、「なぜ布ナプキンなのか」というコアからぶれない本にできたのでは、と思う。

 書籍のために、日本の布ナプキンの販売状況や、生理用品の歴史、月経そのもののしくみや、月経トラブルの要因などを調べた著者ユーゴは、さらに活動を広げている。布ナプキンの安全性をふまえた普及活動に取り組むため、業界団体「布ナプキン協会」 (http://www.nuno-napkin.org) を発足させ、布ナプキンを通して月経やからだのことを研究する「ラブ!布ナプキン月経研究所」 (http://ameblo.jp/love-nunonapkin/) を、ヨガ、オーガニック、食、性、環境などに関わる女性たちとともに立ち上げた。新しいものが生まれる過程は面白い。それが本作りのきっかけにもなっている、と改めて思う。


フリーエディター・神谷巻尾

参考になった本

●参考になった本

『昔の女性はできていた』三砂ちづる(宝島社)
『月経らくらく講座』松本清一監修(文光社)
『アンネナプキンの社会史』小野清美(宝島社)
『布ナプキンの本 身体のこと 環境のこと 繋げていけること』ユーゴ(touta.)



出版記念イベントのお知らせ

『布ナプキン こころ、からだ、軽くなる』出版記念イベントトークショー
「布ナプキンのこと、なんでも話しまSHOW!」】


生理のこと、からだのこと、くらしのことを見つめ直すきっかけとなった布ナプキンについてユーゴが語ります。悪戦苦闘の書籍制作秘話も飛び出すかも?
後半は参加のみなさんの質問疑問もまじえ、わいわい布ナプキントークしましょう!
・日時:6月9日(水) 19:30〜21:30(受付19:00〜)
・参加費:1000円(1ドリンク付き)
・定員:30名(要予約)
*トーク中、お食事の注文もできます。イベント終了後の交流会もお気軽にどうぞ!

下記カフェオハナのメールフォームよりお申込ください。
→ http://milk.candybox.to/from-earth/postmail/postmail.php


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