GWが終わり、いよいよ新緑の季節。そして久しぶりの快晴となった5月9日(土)に実施した第341回目の定点観測。前回(4月)取り上げたカラーパンプスやロングスカート、アギネスヘア(ベリーショートヘア)など、ワンピースにゆるふわロングヘアのフェミニンなスタイルから、<アクティブ>や<マニッシュ>、<リラックス感>へとトレンドが少し動き始めたことを確認したが、GWを経てやや逆流。再び、3月に取り上げた「ミニ丈でスルリと足のシルエットを出した<女の子らしい>スタイル」が戻ってきていたので、今回のカウントアイテムとした。
カウントアイテム(もっとも多く見られたファッションアイテムやスタイルを、その着用率を測定することから命名)は、「女性ミニスカート、うち+レギンス着用」。大きな注目ポイントの「女性ミスカート」の定義は、ヒザ上15センチ以上の丈のスカートすべて。色や柄、シルエット、素材は問わない、とした。さらに絞り込んで注目するスタイル、「女性ミニスカート+レギンス」の定義は、ヒザ上15センチ以上の丈のスカートに、パンツではなく、タイツでもない、足のつま先部分がオープンのレッグを覆うものを着用する人。色や素材は問わない。
色やデザイン、素材の多様化で「新定番」となったレギンス
やはり数でもっとも多かったのは、全地点で黒。しかし、今回の特徴として注目したいのは、十分丈の他、十二分丈のもののかかとを覆い、足の下に敷き込んで着用するスタイル(トレンカ)や、薄い透け感のあるグレーやインクブルーなど色やデザインの多様化が進んでいることである。かつてのコットン素材のレギンス(というよりもスパッツ)ではなく、ナイロン素材でタイツのような薄手のものが登場。レースだったりドットやトライバル柄などのプリント柄の入ったものなど、アレンジが加わったことで、すっかりファッションアイテムのひとつとして昇華したといえそうだ。
09年のレギンスブームのルーツは01年!〜“ロングテール・トレンド”の代表例
ところで、近年のストリートファッション*のトレンドが、「前年に流行ったアイテムやスタイルが翌年さらに幅広い層に支持されマストレンドとなる、“トレンド2年越し現象”」であることは本レポートでも何度となく記してきたが、今月取り上げた「女性ミニスカート+レギンス」も同様。08年7月に取り上げた「六分丈ボトムス、うちレギンス」で一般化していることが確認された「ワンピース+レギンス」がさらに幅広い層に浸透した現象ということができる。また、若年層を中心に、そのワンピースの丈がさらに短くなり、ミニスカートが加わり、ウエストをベルトでマークするなど、ゆるふわフェミニンシルエットから<タイトフィット>なシルエットへと緩やかに移行していることが確認された(詳細は各地点のページをご覧ください)。
しかし、「レギンスって、ずっと流行ってるのでは?」と思われる方も少なくないのだろう。実は、今回のレギンスブームのルーツをさらに遡ると、2001年5月に取り上げた「スカート+スパッツ」にまで辿り着く。当時は、ブルーデニムのヒザ丈スカートに黒いコットンのスパッツというスタイルが、00年に創刊された雑誌『mini』(宝島社)を読むような子を中心に急浮上。翌01年8月にはスパッツのようにパンツをスカートの下に重ねた「スカート・オン・パンツ」のスタイルが一般化したことが思い出される。
その後、コンバースのスニーカーからパンプスへと足下がフェミニンなアイテムへとシフトし、「レッグウォーマー」や「スキニーデニム」とスカートの下に履く足を覆うアイテムが多様化したのと同時に、「ハイカット・スニーカー」や「夏のブーツ」「ショートブーツ/ブーティ」と足下も多様化も進行。ピンクやイエロー、グリーン、パープルといった「カラータイツ」や「柄タイツ」の流行を経て、タイツ素材のレギンスが多数登場したことで、それまでレギンスに抵抗があった層にまで取り入れられるようになり、メガトレンドになったのである。
レギンスが「ずっと流行ってる(=ロングテールなトレンド)」背景には、欧米のコレクション発のトレンドとパラレルに、日本人女性の足コンプレックスを背景としたストリート発のリアルトレンドがあることが読み解かれる。
各地点別にみた「ミニスカート+レギンス」の特徴はこちらをご覧ください ⇒ <定点観測OVER VIEW>
***「アクロス」では、「デザイナーやアパレル企業がつくり出すファッションではなく、それぞれの時代・社会や文化を背景に、街に集まる若者たちに実際に支持され、発信されるファッションのこと」をストリートファッションの定義としています。
各地点の考察は以下の通り。
・「ミニスカート+レギンス」
・「ストローハット」
・「女性太パンツ」