東京コレクションレポート_suzukitakayuki(スズキタカユキ)
レポート
2008.11.12
ファッション|FASHION

東京コレクションレポート_suzukitakayuki(スズキタカユキ)

テーマはprayers(プレイヤーズ)。厳粛さと温かみを併せ持ったコレクション

JAPAN FASHION WEEK in TOKYO
2009 Spring/Summer Collection

suzukitakayuki(スズキタカユキ) 
10月22日(水)@秩父宮ラグビー場

デザイナーのスズキタカユキさんは、東京造形大学在学中に開いた展示会をきっかけに、映画や舞台、ミュージシャン等の衣裳を手掛け、2002/03年秋冬シーズンからブランドをスタート。ブランドコンセプトは「時間と調和」で、丁寧なハンドクラフト調の作品は評価が高く、なかでも、毎シーズンの定番になっているコットンガーゼをたっぷりギャザー状に施したバッグは若者に人気が高い。2008年からはカットソーをメインとしたニューラインtoha(トワ)をスタートしている。

そんな同ブランドの4回目となるコレクションが、秩父宮ラグビー場で行われた。ピアノの音色が流れる厳粛な雰囲気のなか、スタジアムの照明灯のようなシンプルなライティングで白く照らされたランウェイに、モデルがゆっくりと登場する。太めの眉毛や赤いリップ、ナチュラルにおろした黒髪が、穏やかでありながら意志の強い女性像を連想させる。

今回のテーマは「Prayers(プレイヤーズ)」。神や絶対的に信じるものに祈りを捧げる時、人は素の状態になる、というところに着目し、リラックスとは異なる人間本来の自然な姿を表現したという。

同ブランドでは毎シーズン白と黒だけでコレクションを構成しているが、「よりニュートラルな色を使いたい」という思いから、今回はすべてのアイテムを白で統一。色や柄を使わないことで、コットンリネンや麻、ニットやシルクシフォンなどの素材感を強調した。同ブランドが得意とするドレープたっぷりのティアードスカートやワンピースに加え、コルセットやクリノリン入りのスカートなど、構築的なシルエットのアイテムが登場。また、サルエルパンツやショートパンツ、ジャケットなどのマニッシュなアイテムも加わり、フェミニン中心だった前回から一歩進んだ新たなチャレンジが見られた。

演出面では、近くでじっくり洋服が見られるよう、50メートルもある長いランウェイを設け、1人1人に合ったルックを着て欲しい、という思いから、総勢20人のモデルが1着ずつ登場するなど、丁寧に見せることにこだわった。

「ブランド設立から6年を迎え、自分がなぜ洋服作りをしているのかという原点に返って、決意を新たにした」というスズキさん。トレンドを取り入れて着飾る入門編としてのファッションではなく、着ていて心地よくなるような根本的な洋服の楽しさを追求したという。服を着ることで自分の内面を再確認する、そんなメッセージが込められたコレクションになっていた。

取材・文/『ACROSS』編集部


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