BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS 渋谷公園通り店
レポート
2008.06.13
ファッション|FASHION

BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS 渋谷公園通り店

ユナイテッドアローズが公園通り沿いに大型店舗をオープン

1階はBYのウィメンズフロア。カジュアル
でトレンド感のあるアイテムが揃う。
2階BYメンズフロアではベーシックアイテム
を中心に展開。商品が選びやすいよう
アイテム別にディスプレイを行っている。
バッグや帽子、アイウェアなどの小物も
充実。今シーズンはプレッピーでトラッド
なスタイルを提案している。
地下1階はUAはぐっと落ち着いた雰囲気。
メンズ、ウィメンズともにドレス主軸の
商品展開。
BY公園通り店店長・野澤智洋さん
「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」の新機軸となるブランド、「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS(ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ) 渋谷公園通り店」が、2008年4月20日にオープンした。

「BY」は2006年の秋冬シーズンからスタートしたオリジナルブランド。ドレス主軸の「UA」とは対照的に、「BY」はメンズ、レディースともにカジュアルを軸としたオン・オフ・フォーマルスタイルを提案する商品展開が特徴である。「BY」は本格出店の開始前に、全国の既存「UA」店舗で販売を開始し、認知拡大をはかってきた。2006年9月に有楽町西武に1号店をオープンしたのを皮切りに、現在は全国で11店舗を展開しており、同店は9店舗目となる。

場所はその名の通り公園通り沿いで、パルコパート1よりさらに坂を上った、勤労福祉会館の並び。まさに公園通りから神南エリアへの入り口に位置する場所である。同社は、これまで渋谷地区で展開していた1号店「UA 渋谷明治通り店」を2008年3月末でクローズし、旧「UA 渋谷公園通り店」は今回出店した新店舗へと移転した。

「情報発信地としての渋谷のなかでも、公園通りというエリアは出店に際して絶対に外せない場所でした。マーケットは非常に大きく、来街者の年齢層も10代後半から40〜50代までとかなり幅広い。求められるファッションのテイストも多岐にわたるため、オンとオフいずれの需要もあるんです。そういった立地が、幅広いテイストのファッションを提供するという同店のコンセプトにぴったりということで、この場所を選びました」(同社)。

同社が出店したのは、新築のテナントビル「パークウェースクエア2」のB1F〜3F。1Fと2Fが「BY」で合わせて197.6坪、B1の「UA」は97.2坪を確保し、旧「UA 公園通り店」と比べて、天井も高く広々とした空間になっている。エントランスから階段を下りたB1の「UA」は、木目を基調とした内装で、ぐっと落ち着いたエレガントな雰囲気。メンズとレディースがそれぞれ50%ずつで、オリジナルと仕入れも同様。レディースはパーティスタイル、通勤スタイル、オフスタイルと、テイスト別に展開されている。ウィメンズとメンズの間に「CHROME HEARTS(クロムハーツ)」のコーナーを挟み、メンズのスーツ、シャツ、オフスタイルをアイテム別にそれぞれディスプレイされている。一方、BYの内装は、“ニューヨークのロフト”をイメージし、ダークなウッドの什器で温かみや落ち着きを感じさせるとともに、グレーのレンガでアクセントを付けている。

BYの取り扱い商品の内訳は、メンズが55%、レディースが45%、また、オリジナルと仕入れはそれぞれ50%ずつ。シャツやパンツなどベーシックなアイテムを重点的に展開しており、トータルコーディネイトに加え、アイテム別の提案型ディスプレイをしている。例えば、2Fのメンズフロアにはシャツバーやパンツバーを設けて、ワンコーナーでワンアイテムを見せるディスプレイを行っている。

「BYのコアターゲットは20代後半〜30代前半ですが、実際はもっと幅広い年齢層のお客様にご来店頂いています。平日の夕方は仕事帰りのビジネスマンやOLさんが多く、土日は神南エリアで買い回りをする方が立ち寄られるケースが多いようです。地方からいらっしゃる方も多いですね」(BY店長・野澤さん)。

「BY」の旗艦店は2007年8月にオープンした「渋谷キャットストリート店」である。比較的年齢層が若く、個性的なファッションを好む層に向けてイメージを訴求する旗艦店に対して、都内最大規模である渋谷公園通り店は、複合店の強みを発信していく店舗、つまり幅広い層に向けて積極的に“核アイテムを販売する店”という位置付けだという。渋谷区神南は、BEAMS(ビームス)SHIPS(シップス)nano universe(ナノユニバース)JOURNAL STANDARD(ジャーナルスタンダード)AMERICAN RAG CIE(アメリカンラグシー)など大手セレクトショップの路面店が集まる激戦区だが、それらのショップで買い回りを楽しむ層に向けて、多店舗との相乗効果を狙うという。

06年以降、都心部では、若者の間でもアクセスがよくて利便性の高い駅ビルやファッションビル、インタ−ネットなどで買い物をする傾向が強まっており、渋谷や原宿を回遊して買い物するという志向はここ数年衰退していた。『ACROSS』編集部ではそれをファッションのユビキタス化と呼んでいる。そんな状況から、神南エリアは来街者が減少し、個人オーナー系のショップや古着屋が相次いで閉店。代わって大手の人気ブランドショップが出店するなど、路面店の入れ代わりが進行し、再び来街者が増加しているのである。さらに、6月14日に開通する都営地下鉄副都心線の出入り口が宮下公園付近に完成すれば、宮下公園〜東電電力館前の交差点を渡って、神南へ入るショートカットのルートが確立されることで、神南エリアへの来街者のさらなる増加が予想される。幅広い層をターゲットにした「大型ストア業態セレクトショップ」ともいえる同店は、それを見越した新しい形のセレクトショップといえるだろう。

[取材・文/笠原桐子+『ACROSS』編集室]


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