エコリュクス2007

エコリュクス2007

2007.12.21

「仕事も遊びも積極的に楽しむポジティブなエコ志向」。
リュクスなエコイベントが青山で開催

ショップコーナーでは実際に6ブランドの
ナチュラルコスメを販売。
OL達で賑わった。
元米副大統領アル・ゴア氏の
イタリア・ファブリカ展で行ったスピーチ
などふだんなかなか触れることができない
環境メッセージを発信。
女優の高樹沙耶さんと『マリ・クレール』
の編集長、生駒芳子さん、鴨下一郎環境
大臣の「エコリュクストーク」。
メモを取る人も多く関心の高さが伺えた。
07年10月18日(木)〜20日(土)、『エコリュクス2007』が青山スパイラルガーデンで開催された。主催は、日本経済新聞社で、協力は雑誌『マリ・クレール』編集部。同展で掲げた「エコリュクス」とは、“「豊かさ」を楽しみながら「エコロジー的視点」を持つライフスタイル”だと言う。

「日経新聞社では、99年より『エコプロダクツ展』を開催し、環境に配慮した産業界の動向を紹介、関連商品の普及に取り組んできましたが、07年はゴア元米副大統領の『不都合な真実』が大ヒットするなど、マス層でもエコへの関心が高まった年。かつてのように、エコ=我慢だけではなく、モノと心の豊かさのバランスを取る、そんな生き方を実践する人も増えています。そんななか、“仕事も遊びも積極的に楽しむポジティブなエコ志向”の需要を感じ、同展を開催しました」と言うのは同社、文化・事業局の長谷川研二さん。

同展では、20〜30代女性をターゲットに、女性の美と豊かさの象徴でもあるコスメティック商品をメインに据え、環境メッセージの映像を配信するギャラリーや、ブックセレクター幅 允孝さんセレクトの環境本が並ぶライブラリーコーナーも設置。“Talk&Live”として「女性のための環境問題」のトークイベントやライブも行なわれた。

扱うのは、いわゆるナチュラル系のコスメ商品群。最近は、ファッション誌で頻繁に特集が組まれたり、大手セレクトショップでの扱いも増えるなど、そのファッション性の高さからも興味が高まっているアイテムである。同展では、「アヴェダ」「Dr.ハウシュカ」「フランシラ」などオーガニックやエコロジーに関心の高い化粧品ブランド20社21ブランドを展示し、来場者が自由にそれらのテクスチャーや香りを試すことができるという。なかには「ジョンマスターオーガニック」「イコヴェ」など、まだ日本の市場にあまり出回っていないブランドも。また、スパイラルホール入り口脇のショップスペースには、「エルバビーバ」「アロマセラピューティクス」「伊勢半本店」など一部のブランドを販売する会期限定ショップを出店。会場は熱心に商品説明を聞くコスメ好きの女性や、会社帰りのOLグループなどが訪れる盛況ぶりで、3日間の来場者は5,430人(男女比1:9)にのぼった。

「コスメ商品は肌に直接付けるものということで、“エコアクション”を起こしている企業が非常に多く、今回のターゲットである20〜30代女性の関心も高い分野です。同展では、ファッション誌やコスメ雑誌で活躍するコスメライターの木更容子さんをコーディネーターに迎え、今の本当のエコを捉えている会社、そして何よりコスメとしての効能に定評があるブランドにこだわりました。さらに香りや見た目などのファッション性も重視して、20社に厳選。本物志向のナチュラルコスメは来場者の反応も上々で、高い評価を受けました」(長谷川さん)。

また、1日目の「エコリュクストーク」では、女優の高樹沙耶さんと『マリ・クレール』の編集長、生駒芳子さんが登壇。
冒頭で生駒さんは、「青山で開催される、おしゃれなエコの展覧会は初めて。記念すべき日に立ち会っています」と挨拶。「リュクスとはファッション用語でラグジュアリー=贅沢と捉えられていますが、心と物質の両方の豊かさも意味します。エコロジーとリュクスの生活は相反するように思われますが、このふたつを両立するライフスタイルが現代のおしゃれ」と語った。さらに、「言葉がよく似ているように、人間の“エゴ”と“エコ”はつながっている。自分の中の欲望とうまく付き合っていくことも必要」と“エコリュクス”の意義を解説した。

すでにエコな生活を実践しているという高樹さんは、「以前は海外でエコ100%という生活まで突き詰めていましたが、自分一人だけそこにいても幸せがないと感じて日本に戻ってきました」と、ここ数年での心境の変化を語った。
また、「今は環境に配慮しつつも機能的なエコハウスに住んで、周りの協力を得ながら有機農法で野菜を作り、自然の恵みに感謝しながら生活しています。体にいいものを食べていると、細胞が生まれ変わり、内側からきれいになっていくことを実感できます。資源を使い放題の今の生活を振り返って、昔から言われてきた“もったいない”という宝物のような言葉を大事にしていきましょう」と笑顔で語り、賛同を得た。
トークイベント終盤にはなんと飛び入りで鴨下一郎環境大臣も登場。「できることから少しずつエコアクションを」というメッセージを掲げた。

「同展はコスメからスタートしましたが、女性の環境への意識は、食品など多岐に広がっています。その片鱗はファッション業界にもあり、これからますます波及する分野だと思っています。“おしゃれ”と“エコ”は結びつくべきもの。エコへの問題提起というだけでなく、新しいマーケットとして今後も“エコリュクス”を紹介していきたいですね」(長谷川さん)。

これまである意味、物質的な豊かさから遠ざかろうとする「ディープエコロジスト」が主導してきたエコへの取り組み。しかし、メディアでも取り上げられていたように、ハリウッドスターが率先してハイブリッドカーに乗る姿(=エコセレブ!)は、まさに“エコリュクス”の一例。2007年は環境への配慮だけでなくファッショントレンドとしても「エコバッグ」や「My箸」などのブームも起こっている。今後は、同展で提案された“エコリュクス”のように、豊かさとファッション性を合わせ持ち、自分にとっても楽しく環境にもやさしい、そんな商品への“エコシフト”が新たなトレンドを生み出すといえそうだ。



[取材・文/本田亜友子+『WEBアクロス』編集室]

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