「mechakari(メチャカリ)」
レポート
2016.09.02
ファッション|FASHION

「mechakari(メチャカリ)」

「earth music&ecology」など人気ブランドの新作を定額で借り放題
ストライプインターナショナルは、なぜファッションレンタルサービスに参入したか?

今年3月に社名変更し、グローバルカンパニーとして飛躍すべく事業領域をアパレルから「ライフスタイル&テクノロジー」に拡大した「株式会社ストライプインターナショナル(旧クロスカンパニー)」。同社が、アパレルメーカーとして初となる日常着のレンタルサービス「mechakari」(以下、メチャカリ)をスタートしたことでも注目を浴びる月額制のアパレルオンラインレンタルサービスはここ1~2年の間に、「airCloset(エアークローゼット)」「Licie(リシェ)」、ワンピースに特化した「Brista (ブリスタ)」やブランドバッグ専門の「ラクサス(Laxus)」、メンズ向けの「FreshNeck(フレッシュネック)」など、次々に目先を変えたサービスが登場している。しかし、日本ではまだまだ未開拓といっていいファッションレンタルサービスに、なぜ大手アパレルメーカーが参入するに至ったのか、今後の展望をふまえ開発責任者に話を伺った
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同社が「ライフスタイル&テクノロジー」へと事業領域を拡大したのは2015年度のこと。レンタル事業は2014年度から検討を開始し、その後2015年4~7月のテストマーケティングを経て、同年9月16日にリリースとなった。

「メチャカリ」は、月額5,800円(税別)で同社のブランドを中心とした新品のファッションアイテムが借り放題というサービス。ユーザーはスマホのアプリを通してレンタルや返却を操作する。レンタルは1度に3点(手元に置いておけるのが最大3点)まで。その点数内で何度でも借りかえ可能だ。返却時は別途返却手数料380円(税別)/回が必要。返却期限はない。さらに60日間借り続けたアイテムはユーザーに“プレゼント”、つまり、ユーザーにとってはお気に入りのアイテムがそのままもらえるというのも大きな特徴だ。取り扱いブランドは同社グループを中心とした20を超えるブランドで、「earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)」「E hyphen world gallery(イーハイフンワールドギャラリー)」など。新商品は週に数回アップされ、洋服・帽子・バッグなどから好きなものをレンタルできる。加えて、8月からは「買い取り」機能も追加。気に入った商品はすぐに買い取りし、空いた枠でまた新たなアイテムをレンタルをすることが可能になった。買い取り価格は、同社ECサイト「STRIPE CLUB」のその時点での販売価格と同じで、割引されていた場合は同率の割引が適用されるという。

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立上げの背景には、同社の事業領域の拡大と共に、現代の若者の洋服離れでアパレル業界全体が縮小しているという問題が大きく影響しているそうだ。

「以前、当社が18~19歳を対象に実施した座談会では、5人に1人しか洋服に興味がないという結果がでました。彼らにはリアルにお金がありませんが、そもそもお金を使いたいという気持ちもあまりありません。それでも親からスマホは与えられているので、無制限に遊べるんですね。今の18歳は5年後には当社のメインユーザーになる世代。レンタルを通じて洋服を取っ替え引っ替え楽しんで、今のうちからファッションや当社のブランドに興味を持ってもらいたい。また、洋服のレンタルサービスは欧米では一般的ですが、国内ではまだまだ未開拓の分野。アパレルメーカーである弊社がレンタル事業を始めて、業界の可能性を広げたいという思いがあります」(メチャカリ部 部長/澤田昌紀さん)。

レンタルサービスに着手することになったきっかけは、同社の石川康晴社長が、自動車のビジネスモデルに注目したことにある。新車の生産販売だけでなく、中古車の買い取りと販売、レンタル、リース、車検などのアフターサービスという多種多様なニーズに応えられるしくみを参考に、アパレルメーカーも同様に事業領域を拡大していけるのではと考えたのだそうだ。

前述した同社の事前調査で、若い世代のキーワードとして見えたのが、「スマホ」「アプリ」「バーチャルでのコミュニケーション」の3つインターネットへのアクセスも、WEBブラウザを使わずにアプリ経由がほとんどということから、「メチャカリ」はアプリサービスとしたという。
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メインターゲットは18~20歳。実際の利用者層は24~27歳が中心で、これは「earth music&ecology」の利用者層とも重なるという。澤田さんも意外だったというのが、立ち上げ時は同社のメルマガ会員を中心に告知をし、訴求したが、利用者の60%以上は同社のECや店舗での購入履歴がない新規客だったことで、おそらくアプリストアからの流入が影響しているのではないかと考察している。また、アプリサービスにもかかわらず、残りの30%は店舗でしか購入したことがない人だったというのも面白い。この結果について澤田さんは、「仕組みはECだけど、“返却できる”ので、ECと思われていないかもしれません。“返却できる”ということで、サイズや色がわからないなどのECの不安要素を払拭できているのではないでしょうか」と話す。

レンタルできる商品は、店頭価格が数千円のトップスなどから1万円を超えるコートまであり、アウターやコートを中心に何度も借り換えをする人もいるというから、月額5,800円で借り放題はお得感があるだろう。また、「借りて、着て、返す」を予想したサービスだったが、返却商品の30~40%は下げ札が付いたまま、つまり未使用というのも、予想外の結果だったそうだ。さらに、
アプリをダウンロードしただけの人(無料会員)は、有料会員の10倍以上で、競合他社の視察目的は別としても、コーディネートの参考やカタログのように使用されている可能性もありそうだ。

そもそも、「メチャカリ」のビジネスモデルは、レンタルされるのは新品のみで、返却された商品(中古品)は古着として販売しているのも特徴。商品はブランド公式古着として、自社通販サイトと、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」内の古着セレクトショップ「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」で、いずれも定価の半額以下で販売しており、その消化率は約80%という。

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また、もともと“洋服への関心が薄い層”をターゲットにしているので、直営店や自社ECへの影響もないという。“新品・レンタル・中古”と事業を揃えたことで、さまざまなユーザーの機会に対応できているといえそうだ。

今年3月からは宣伝を強化。アイドルグループ「欅坂46(けやきざか フォーティーシックス)」を起用し、合計22パターンのCMを制作・放映。新宿駅に交通広告も出稿した。さらに初月無料キャンペーンなどを行い、CM前は約2,000人だった会員数が現在4,000名程度まで増加し、今年度中に1万人突破を目指しているという。

メチャカリは当社のテクノロジー分野の主力にしたいと考えています。今後も、アプリの知見は不可欠なので、メチャカリを成功させれば知見も蓄積していくでしょう。将来的にはより多くの社外ブランドも取り込んで、レンタルプラットフォームをつくりたい」(澤田さん)。

弊サイトでも「FashionTech Summit #001」、「Decoded Fashion Tokyo Summit 2015」など取り上げてきたように、デジタルテクノロジー/ITがファッションにも大きな影響を与えるようになってきた

同社は2015年5月にインターネット宅配クリーニングの「BASKET(バスケット)」をグループ会社化。「インターネット・ライフスタイル事業」のプラットフォームとして育成し、ITを通じて日々の生活における様々なニーズに応える生活周辺サービスの垂直統合を進めていくという。新たなビジネスドメインに取り組む同社の戦略は、業界内外に影響を与えそうだ
メチャカリ部 部長/澤田昌紀さん
取材・文 緒方麻希子(フリーライター+エディター)+『ACROSS』編集部


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