定点観測
report : 2016 | 
05 / 14

#425 | 実施日 : 2016 / 05 / 14 | 最高気温 : 24.8 | 最低気温 : 14.4 | 天候 : 薄曇時々晴

第425回 定点観測 解説

シンプル&ベーシックな「白トップス」が幅広い層に浸透。

シルエットや素材などのディテールがひと工夫施され、ゆるやかに進む「脱ノームコア」。

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(左)この週末代々木公演で開催されていたタイフェス帰りの男性は「ラフに着たかったから」と白をチョイス。(中)「今日はモノトーンにしたいけど黒×黒だと重たいので、UTとKAWS(カウズ)のコラボTシャツにした」という大学生。(右)今年の白シャツはビッグ&ロング丈でシンプルモードなトライブも多い。
GWが終わり、日中はアウターなしでも大丈夫という爽やかな日が続いている。
東京のストリートは、「ガウチョ」大ヒットからの「スカンツ」「スカーチョ」と、徐々に幅広い年齢層にも着用しやすいゆったりとしたシルエットのボトムスの流行が進行している。
また、先月(4月)に取り上げたGジャン人気の流れから、デニムルックも急増。その一方で、モノトーンシンプルモードなグループもチラホラ見られたり、オフショルダーに厚底サンダルのボヘミアンルックギャル系もいたり、また、レトロスポーツ90sっぽいストリートなグループもいるなど、まさに「なんでもあり」「自分の好きなものでOK」というような 「スポンテニウス(spontaneous)」。いろいろ注目するアイテムやスタイルがあり過ぎて、どれがおしゃれなのか、ストリートファッション史的にはどれが新しいのかがかえって分かりにくい状態になっているようだ。

そんななか、日没までプレサーベイを行った結果、やはり数的に男女ともに多かった「白トップス」を、今回のカウントアイテムとした。

ちょうど、2015年6月に「女性白トップス、うち+白ボトムス」として取り上げているが、今初夏は、Tシャツやカットソーが主流だった昨年と比べて、シャツなどの襟付きやシャツ素材のパリッ、シャリッとした質感の上質なものが増えているようだ。

また、ショルダー部分にフリルが施されていたり、前身頃と後ろ身頃で異素材になっていたりなど、「白トップス」といっても、素材やデザインなどで一工夫された「デザイン白トップス」が2016年春のポイントのようだ。
 
各地点別の着用率は以下の通り。カウント時間は各地点13:30~14:30の1時間。定義は以下の通り。

・男性白トップス/女性白トップス:
トップスが白いアイテムを着ている男女すべて。素材は問わない。柄などが入っている場合でも全体の3分の2以上が白地の場合は含む。ワンピースやアウターも含む。

●渋谷:n=2,283人/4月比128.2%
男性通行人 48.8%(1,428人)4月比139.6%
女性通行人 51.2%(1,499人)4月比119.0%
 うち、スカート着用 30.9%(463人)
女性白トップス 13.9%(209人)
男性白トップス 31.0%(443人)

●原宿:n=4,475人/4月比121.1%
男性通行人 41.0%(1,834人)4月比134.1%
女性通行人 59.0%(2,641人)4月比113.4%
うち、スカート着用 35.8%(945人)
女性白トップス 13.7%(361人)
男性白トップス 18.7%(343人)

●新宿:n=2,663人/4月比87.8%
男性通行人 50.5%(1,346人)4月比88.7%
女性通行人 49.5%(1,317人)4月比87.0%
 うち、スカート着用 35.6%(469人)
女性白トップス 23.5%(310人)
男性白トップス 17.5%(236人)
* * *


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(左)世界でも認められた人気日本人デザイナーブランドSacai(サカイ)が得意とする、異素材を組み合わせたデザインは幅広い年齢に人気。(中)いまはなき文化屋雑貨店などでも買えそうなナイロンネットをローブとしてレイヤード。今春はHarajuku fashionが戻ってきて楽しい。(右)今春は会社にも着ていけるように解釈されたシースルートップスが売れている。
ズームアップ1:スケスケ/シースルーアイテム

連日のプレサーベイの結果、5月の文句なしのヒットアイテムが、シースルーアイテムだ。ふと気がつくと、裾や袖、スカート部分などにレース素材、または肌だ透けるデザインのディテールが浸透しているので、取り上げた。

ティーンズの女子には、ガーゼというかネットというか編み目の細かいナイロンのネットをローブのように羽織っていたり、ショーツの上に重ねたりというレイヤードスタイルが目立ったが、20代、30代には、ランジェリーのような裾部分がレーシーなキャミソールやトップス、ボトムスなどをTシャツなどの上に重ねて、「セクシー過ぎない⇄カジュアル過ぎない」バランス感を演出しているようすが伺えた。

そもそも、シースルーアイテムは、2、3年ほど前からコレクション→ファストファッションとあっというまに商品化されていたが、外国人に一足先に着用されていた(しかもストレートに肌透けで)が、その約1年後、ドメブラから、日本人が受け入れやすいようなデザインディテールになって商品化され、今春夏一気に浸透しているようだ。

また、少ないながらも、スポーツ系のネット素材をもちいたファッションアイテムを着用していた人もみられた。各地点のシースルー・ルックは、こちらからどうぞ。 



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(左)TOGAのメンズラインはポップなプリントが人気。(中)「気分をアゲたいから柄を着た」。(右)「チェスターコートのように羽織れるのが欲しかった」と言う彼女の花柄のガウンは韓国の人気通販ブランドD HOLLIC(ディーホリック)のもの。
ズームアップ2:柄シャツ

プレサーベイ時はちょっと高度かな、と思われた柄シャツだったが、実際には予想以上に着用者が多く、「ああ、みんなシンプルに飽きてきたのかな?」という気分が感じられる楽しい観察&インタビューとなった。

着用しているのは圧倒的にティーンズ〜20代のほんとうの若者たち70sや90sに流行った「ダサかっこいい」「レトロポップ」「バナル」なニュアンスを感じさせる、ユニークな柄のシャツを古着で購入したおしゃれさんが多かった。

「天気が良かったので、明るめの黄色いシャツを選んだ」という19歳の女性や、「今夏は黒で攻めたい!」という19歳大学生古着のシャツをレトロな雰囲気でまとめていたが、「もともとワンピースなんですが、陽射しが強いけど焼けたくない、でも着ていて暑くないので〜」と言う19歳の大学生の女性は、ダブルクローゼットの今シーズンのものをローブのように羽織って新しいレイヤードスタイルを完成していた。

いずれにしても、そろそろ「脱ノームコア」の気分が若者たちからじわじわと広がっているようすが伺え、いったん盛夏はシンプル&ベーシック、ノームコアに戻りつつも、秋冬はいよいよ「柄×柄」のインパクトあるスタイルが流行するだろうと予測される。

各地点の柄シャツはこちらからどうぞ。

 


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