第423回 定点観測 解説
定点観測
report : 2016 | 
03 / 05

#423 | 実施日 : 2016 / 03 / 05 | 最高気温 : 16.3 | 最低気温 : 7.7 | 天候 : 曇

第423回 定点観測 解説

ノームコア全盛の東京のストリート。
毎シーズン変わるトレンドから「わたしは私」の時代へ

最高気温が16.3度、という春到来となった今年3回目の定点観測。アースカラー、トレンチ、ボロデニムなど、いろいろ候補はあがったが、実査前日までのプレサーベイの結果、「女性ゆるボトムス+スニーカー」をメインテーマとした。

少しファッショントレンドの流れを振り返ると、ここ数年、セリーヌやアクネをはじめとする「シンプル&ミニマム」なクリエーションが主流になっている。日本では、先日東京ファッションウィークでランウェイショーを披露したkbf、以前渋谷パルコのミツカルストアにてポップアップも行い、先ごろ表参道ヒルズにショップがオープンしたCLANE(クラネ)、そしてGUなどがこのグループで、リアルなマーケットを牽引している。
 
いわゆる欧米のラグジュアリーブランドのゴージャスなクリエーションよりも、日常的に着られて、無理のないデザインや価格であることに、そういった日常の豊かさを重視する価値観でもある「ノームコア」というトレンドが加わり、東京のストリートのスタンダードになっている。

一方、先ごろパリが終了し、東京でも本日終了した「コレクション」では、数シーズン前から「柄×柄」とか、「レイヤードスタイル」、「ミックス」など、デコラティブなスタイル提案がされているが、東京のリアルマーケットではさっぱり。定点観測のインタビューでも、いま改めて、ハイクとかヤエカ、GU、セレクト系のPBの人気が高まっており、毎シーズン変わることが当たり前になっている「ファッショントレンド」がなかなか浸透しにくい状況が続いている。

また、シンプル&ミニマム・モダン・ベーシックなトレンドは、そのデザインからも幅広い年齢層に支持されるので、より量的に多くの人が需要。ベーシックゆえの、見た目は同じようなファッションになっており、「ノームコア全盛」ともいうような状況になっているようだ。
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新人類ジュニア世代の新しいユルスタイルが提案されていた原宿地点。詳細はこちらのページをどうぞ↓ http://www.web-across.com/observe/srnrj2000003hcpg.html
しかし、ひとり一人インタビューしてみると、雑誌やウェブ、インスタ、スナップチャットなどのSNSなど「参考にしているメディア」は多種多様。一見似ているファッションであっても、実はそれぞれ個別のトレンドが無数にある、ということを見逃してはいけない。
その「個別感=自由意志、自分で選ぶ、自分で決める〜」的なニュアンスを、トレンド予測業界的には「spontaneous(スポンテニウス)」と呼ぶそうだ。

「わたしは私」。某商業施設のコピーのようでもあるが、1990年代に、当時の若者たちの価値観として、「等身大」とか「らくちん系」というキーワードを提唱したが、その(広義)団塊ジュニア世代が今アラフォーになり、マーケットの真ん中に位置するようになったことで、(量的にも)再び似たような価値観がオモテに出て来ているともいえるだろう。今秋以降は、ノームコアからの反動もあって、カラフルでポップ、少しデコラティブなアイテムが出てくると予測されるが、マス層/大人層にはこの「わたしは私」という感覚は継続しそうだ。
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ノームコアが幅広い層に浸透していた渋谷地点。詳細はこちらのページをどうぞ↓
http://www.web-across.com/observe/srnrj2000003hczg.html
具体的には、昨夏大ブレイクとした、ガウチョパンツに代表されるような、着る人を選ばないような、ルーズ、ラクで、着用したときに気負いがいらない、女性においては「非モテ」系ともいうようなスタイルが多かった。 

一方、マキシ丈のスカートや、ガウチョの進化型としての「スカンツ」、「パジャマパンツ」「テロテロ素材の太いパンツ」などは新人類ジュニア世代を中心に人気。インタビューでは、「スケバン風」とか「ワルっぽい」というような1980年代の不良ファッションに憧れる声も聞かれ、久しぶりにスカートルックに憧れる男子が「スカートっぽく見えるけど、実はパンツだから履きやすい」と着用していた点も注目される。

ちなみに、一見マキシ丈スカートのように見えるパンツの総称「スカンツ」は、1984年9月1日に実施した第50回定点観測のテーマとして取り上げている。

着る側の意識のなかでメンズとウィメンズが混ざっていく時代は、モノのデザインが自由になっていく兆しともいえる。(高野)



◎各地点別の着用率は以下の通り。カウント時間は各地点13:30〜14:30の1時間。定義は以下の通り。
・「女性ゆるボトムス」:身体が泳ぐほど幅の広いロングスカートやパンツなどのボトムスを着用している女性すべて。素材や柄、色は問わない。
・「うち、+スニーカー」:ソールがラバーで、足を覆う部分が柔らかい皮革や人工素材でできているヒモやストラップがある靴を合わせている女性すべて。色や柄は問わない。

渋谷:n=2,283人
男性通行人 44.8%(1,023人)
女性通行人 55.2%(1,260人)うち、スカート着用 31.8%(401人)
女性ゆるボトムス 6.0%(75人)うち、+スニーカー 1.9%(24人)
原宿:n=3,696人
原宿
男性通行人 37.0%(1,368人)
女性通行人 63.0%(2,328人)うち、スカート着用 26.1%(608人)
女性ゆるボトムス 9.4%(219人)うち、+スニーカー 4.7%(109人)
www.web-across.com/observe/srnrj2000003hcpg.html

新宿:n=3,032人
男性通行人 50.1%(1,518人)
女性通行人 49.9%(1,514人)うち、スカート着用 31.2%(473人)
女性ゆるボトムス 9.9%(150人)うち、+スニーカー 4.8%(72人)
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