ACROSS Street Fashion Marketing

コンテンツメニュー
Etw.Vonneguet(エトヴァス・ボネゲ)
レポート
2016.03.29
この記事のカテゴリー |  イベント | 

Etw.Vonneguet(エトヴァス・ボネゲ)

ファッションとテクノロジーを駆使しまだ見ぬアイディアを形にする“LAB”が誕生

Etw.Vonneguet(エトヴァス・ボネゲ)の直営店が、渋谷PARCOパート1の3Fに3月5日(土)にオープンした。今回のコンセプトは、“LAB”。3月12日に行われたレセプションパーティーでは、「FASHION TECHNOLOGY LAB(以下、略称FTL) 」の技術を用いた作品を多数披露し、来店客の視線を集めていた。
 
 
FTLは、ファッションとテクノロジーを駆使し、まだ見ぬアイデアを形にし、それを世の中に発表し、実験する場所にしていきたいという理念のもと、2015年末にEtw.VonneguetデザイナーOlgaさんと、エンジニア柳澤慧さんが設立した研究機関である。机上の空論ではない未来を創りたいという想いから、株式会社パルコが運営するクラウドファウンディング「BOOSTER」上でも、認知拡大を目指すプロジェクトを立ち上げ、その支援を募っている。

Olgaさんと柳澤さんに、今回の直営店出店に至るまでの経緯と、今後の展望について伺った。
 
FTL設立の経緯

なぜデザイナーのOlgaさんとエンジニアの柳澤さんが出会ったのか。まずは、二人の経歴を紹介しよう。

Olgaさんはファッションデザイナーでありながら、デジタル領域の知識に長け、いち早くデジタルツールを創作に取り入れてきた人物。「ファッションテック」という概念が世間に浸透していなかった2008年当時、すでにOlgaさんは、布や衣服等の3次元の動きを2次元上にシミュレーションする「3DCGクロスシミュレーション」技術を用いた「デジタルファッションショー」を東京コレクションで発表している。また、創作の領域だけにとどまらず、対消費者の購買手段として、ECモールがちらほら出現し始めたばかりのEC黎明期から自社ECサイトを立ち上げ商品を販売、ITを活用してきた。

というのも、彼女はこれまで経歴を明かしてこなかったが、実は文化女子大学(現文化学園大学)を卒業後、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションにてファッション&テクノロジーで修士を取得し、早くから“ファッション×テック”について研究していたからだ。現在はデジタルハリウッド大学大学院・杉山学長のラボに所属している。
 
一方の柳澤さんは、文化服装学院を卒業し、ファッションの私塾「ここのがっこう」を修了。アパレル企業でのパタンナー業を経て海外へ渡り、数カ国で多業種の人々に“FASHION”についてのインタビューを行う傍ら、アプリデベロッパーとして活動。現在はナレッジワークス株式会社でクリエイティブエンジニアとしてAR(拡張現実)技術を用いたアプリ開発を行うという異色の経歴の持ち主だ。今回のEtw.Vonneguet 渋谷PARCO店で体験できる独自のAR(拡張現実)アプリ「for Designers」の開発をはじめ、VR(仮想現実)技術や、Kinect、Leap Motion等のデバイスを用い、様々な実験・研究を行っている。

この2人を繋げたのが、表参道にある服がつくれるシェアアトリエ「coromoza(コロモザ)」の西田さんだった。それぞれが目指す展望が一致し、FTLを設立した。
 
当日のお2人が身につけているアイテムについて聞いてみました! ★柳澤さん(写真左) トップス/無印良品 パンツ/不明(スーツとセットで購入したもの) 靴/REGAL 時計/noon(文字盤のカラーリングがお気に入り) ★Olgaさん(写真右) ワンピース/Etw.Vonneguet(3Dパターンメーキングツールでデザイン) ネックレス/ロンドンの古着屋で購入 ピアス/Etw.Vonneguet
Etw.Vonneguet 渋谷PARCO店の見どころ

今回の見どころは2つ。1つ目は、前述したARアプリ「for Designers」。印刷された型紙に色を塗り、「for Designers」をかざすと、スマートフォン等の画面に自分のデザインが3Dモデルで表示される。このアプリはパタンナーの教育を目的として開発され、平面製図から立体デザインを想起することが苦手なパタンナーでも、このアプリを使えば3D上で容易に立体デザインを確認することができる。店頭では実際の服に映写するプロジェクションマッピングも披露された。
 
 
2つ目は、3Dパターンメイキングツールを使って制作した16S/Scollection「AIR」。平面製図から制作する通常工程とは異なり、製図をする前に3Dパターンメーキングツールを用い、無重力状態で立体的なフォルムを形成する。この手法によって、通常の制作工程では表現することが困難だった、ゆとり・歪みや空気感を「デザイン」することが可能になる。

実際に着用しているモデルからは、「Etw.Vonneguetの洋服は、性別・年齢・体格など関係なく、着る人に驚くほど馴染む。実際に手に取って着てみてほしい」という声が聞けた。確かに、そのモデルが着ていたワンピースは、まるで柔らかな優しい風が吹いているかのように、「デザイン」されている。
 
 
ファッション×テクノロジー「ファッションテック」の今後は?

「デジタルツールやテクノロジーは、特別な存在ではない。針と糸に、もう一つの道具が増えただけ。」

デザイナーのOlgaさんはこう語る。これまで一過性の産物として淘汰された多くのファッションテックを目の当たりにしてきたOlgaさんだから言える、重みのある言葉だ。柳澤さんも同様に、「現状のファッションテックはバズワードに過ぎず、消費者の生活に根差していない。ファッション領域というよりも、Webサービスの延長上の製品が多い気がする。消費者にとって存在意義のある製品・サービスを作っていきたい。自身のパタンナーとエンジニアの経験を活かし、ファッション・アパレル業界の教育ツールの開発にも注力したい。」と目を輝かせながら語っていた。これからもFTLとして、様々な製品・サービスを発表していく予定だという。

昨今「ファッションテック」という言葉がバズワード的に広まっているが、消費者の生活に定着した製品はまだまだ少ない。長年の文化・慣習やバックボーンをベースとするファッション・アパレル業界と、日進月歩のテクノロジーとの組み合わせは、どのように進化するのか。ファッションテックが一時の流行として終わらないよう、今後もFTLの活動に注目したい。

[取材/文:村石怜菜(パルコ・シティWEB/ECシニアコンサルタント)]


同じキーワードの記事