「INTERACTIVE CREATION CAMP」開催。運営元のイメージソース社長の小池博史さんにインタビュー。
レポート
2014.07.08
ファッション|FASHION

「INTERACTIVE CREATION CAMP」開催。運営元のイメージソース社長の小池博史さんにインタビュー。

ファッション、アートなどの領域を拡張できる“インタラクティブ・デザイナー”が重要な時代へ

日進月歩の勢いでテクノロジーが発達している現在、国内の有名インタラクティブ制作会社が後進を育てる為の学校を続々と開校している。アーティストであるPerfumeのライブでのテクノロジー全般を担当しカンヌ国際広告賞を受賞したRhizomatiks(ライゾマティクス)によるワークショップをはじめ、Bascule(バスキュール)PARTY(パーティ)による学校「BAPA」など様々な場所で開かれている。今回はその第一弾として、春に開催された、一般社団法人I.C.E.(インタラクティブ・コミュニケーション・エキスパーツ)主宰による新しいインタラクティブ表現を学べるワークショップ「INTERACTIVE CREATION CAMP」を振り返ってみたい。
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IMGSRC(イメージソース)の社長、小池博史さん


「INTERACTIVE CREATION CAMP」
の発起人であるのは国内有数のインタラクティブ制作会社イメージソース代表取締役社長の小池博史さんだ。同社は、自分の姿をフルハイビジョンの静止画として記録し、ヴァーチャル上で試着を気軽に楽しめる装置
インタラクティブ ミラー®をいち早くローンチ。「GUCCI」「NIKE」といった大手多数クライアントに持っている。「東京インタラクティブ アド アワード」「カンヌ国際広告賞」など、国内外の受賞歴も多い。


現在インタラクティブ表現の領域は大きな変化を遂げようとしています。僕の感覚から言うと2000年~2010年までが第1フェーズだったと思います。ウェブ興隆の時代で、新しいメディアとしてニュース・ポータルサイト・コーポレイトサイトなど、ブラウザ上で完結する表現がメインでした。HTMLやサーバーサイドなど使用する技術の領域も独立していたので、ある程度狭い中でシンプルに新しい表現にチャレンジ出来る環境がありました。しかし、ここ2~3年で状況が大きく変わってきた感がします。スマートフォンの台頭により、テレビ連動や店頭やイベントでのデジタル体験などブラウザ上だけでは完結しない表現がより求められるようになってきました。制作会社も“ウェブ制作会社”とは言わなくなってきています。感度の高い会社などは以前から“インタラクティブ プロダクション”と言っていましたが、現在は“インタラクティブ プロダクション”が担う領域が多岐に渡りすぎてしまい本来の役割が伝わりづらくなってきている状況です」(小池さん)


 

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INTERACTIVE CREATIVE CAMPのようす。第一線で活躍するインタラクティブ系のクリエーターの方々が講師陣。
 「INTERACTIVE CREATION CAMP」文化庁メディア芸術人材育成事業の一環で開校され、今回初めての募集にも関わらず30名の定員に対し80名以上の応募があったという。職業も多彩で、学生からフリーランス、果ては大学の教授まで! 18歳~67歳までのバラエティーに富んだ人たちが集まった。講師陣も小池さんをはじめ、筧康明・慶応義塾大学環境情報学部洵教授大内裕史ヴィジュアルデザインスタジオ「WOW」アート ディレクターメディアアーティストの近森基さんなど広告の領域に偏りすぎないように幅広い分野から選任。一般社団法人I.C.E.として運営しているので、無料で豪華な講師陣の講義を受けられるのも魅力的だ。

変わりゆくインタラクティブ領域の中で、次世代のクリエイターを育てる事が目標です。ワークショップの期間は2ヶ月間で、1コマ90分を目安に全部で18コマ用意されています。全5チームでサイネージの作品に取り組んでいて、3月12日~23日まで青山にあるスパイラルで展示しました。ブラウザ上で展開する作品も最初は考えたのですが、広く一般の人を見てもらうには屋外で通常馴染みのある設定の方が良いだろうと思い、最終テーマのモチーフをサイネージに決めました。屋外の公共性のある場所に置かれるので、ソーシャルグッドなテーマを作品に持たせる事は課題として事前に決めています」(小池さん)。

都内以外にも、名古屋市・京都府・大阪府・北海道や福島県から応募があり、現在京都府と名古屋市・福島県に受講生がいる。都内に来られない場合はUSTにも対応するなどきめ細やかなサービスも行っている。各チームに課題作品をみてくれる講師は付くと言うが、

「僕達は基本的に作品に対してディレクションはしません。もちろんディレクションを入れた方が作品は形になりやすいかもしれませんが、受講生のモチベーションを重視して、あくまで進行管理にとどまるようにしています。今回のゴールは、サイネージをモチーフにしているので縦型モニターという縛りはありますが“今までこういうアプローチはなかったよね”という発見や気づきがあるといいですよね。それって実は、そんなに大がかりな事ではなく“ちょっとした隙間”な気がします。色んな人が集まって試行錯誤していく中でアプローチの“隙間”が見いだせるのかもしれません。仕上がりがとっても楽しみです」(小池さん)

 
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グループワークのようす
 また今回のワークショップの目的として、2000年~2010年というインタラクティブメディアの第1フェーズが終わった後の第2フェーズに活躍できる人材の育成が挙げられている。


第2フェーズのイメージは結構悩みどころではあるものの、ウェブは絶対に必要なものである、という事は変わらないと思っています。SNSだけ作っとけばいいってものでもないし、自社サイトは必ず必要なので仕事自体がなくなる事はないでしょう。ただ、小規模案件がメインになってきていて大規模なものは今後難しくなってくると予想されます。今後必要な人材としては、スマートフォン・紙・ウェブ・テレビ……などあらゆるメディアを横断してストーリーが描ける人でしょうか。もちろんメディア毎に接する人のモチベーションも違えば、コミュニケーション方法も違います。ただ今後はひとつのメディアだけをやっていれば完了するような単純な仕事は少なくなってくると思うので、様々なメディアのコミュニケーション方法を整理して一つのストーリーを描ける人は重要でしょうね」(小池さん)

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本ワークショップのチームEが発表した「てあらいかがみ」が、デジタルサイネージアワード2014で「特別賞」を受賞!

では第2フェーズの具体的なスター像とは?

「ひとつの表現を突き詰めているような、メディア アート寄りの人がもっとフューチャーされると個人的には嬉しい未来予想図ですかね(笑)。例えばSemitransparent Designの田中良治君とかは、デジタル派生の考え方や見方がアウトプットに上手に表現されていて素敵だなと思います。あとは、YKBXさんも今後もっと活躍される気がしています。海外ならネットをモチーフにした作品で知られる現代アーティストのラファエル・ローゼンダールさん、90年代のグラフィク・デザイン業界で活躍した『デザイナーズ・リバブリック』の元メンバー、マット・パイクさん設立したスタジオ、ユニバーサル・エブリシングに注目しています」(小池さん)。

「INTERACTIVE CREATION CAMP」の今後の展開としては?

「大阪府で良い講義場所を見つけられそうなので、次は大阪府で実施したいですね。価格も適正な設定にして行いたいです。あとは福島県や仙台市など、地方都市でも今後積極的に展開していきたいです。意外とINTERACTIVE CREATION CAMPで教えているような講義内容を学べる場ってないので、インタラクティブ業界の人材育成の為にも続けていきたいです」(小池さん)


アートにも造詣の深い小池さんが牽引している「INTERACTIVE CREATION CAMP」は、インタラクティブ広告の枠を飛び越えてテクノロジーの未来を夢想させるように魅力的な内容だ。インタラクティブ業界のみならず、ファッション業界やアート業界も要注目のワークショップに今後成長していく事は間違いなさそうだ。

[材・文 西岡雅子(フリーエディター/バスキュールプロデューサー)] 


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