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来日クリエーターインタビュー
レポート
2017.12.25
この記事のカテゴリー |  ファッション |   イベント | 

来日クリエーターインタビュー

ヘンリック・ヴィブスコフ/Henrik Vibskov

これまでにも「ACROSS」編集部では、来日したクリエーターやアーティストの方にインタビューを行なってきましたが、改めてシリーズとして展開しようという企画です。

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N idやn id a deuxなどのショップの他、パリやベルリンにも拠点を持つショールームDUNEにて。

「東コレでは、異なるカルチャーを1つの空間においてみたんだ」。

 

インタビュー/文=西谷真理子

写真=神尾奈菜+「ACROSS」編集部


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月に開催された2018春夏アマゾン ファッションウィーク東京で、初日のラストに登場したのが、初参加のデンマーク人デザイナー、ヘンリック・ヴィブスコフ(Henrik Vibskov)だ。2003年以来、パリコレクション(メンズ)に参加し続けていて、故国のコペンハーゲンファッションウィークでも発表している中堅デザイナーだが、グラフィカルで魅力的な作品の日本での知名度はまだまだ。

今年は、日本とデンマークの外交関係樹立150周年という節目の年にあたり、ヴィブスコフは同時期に金沢21世紀美術館で開催されたデザインの展覧会「日々の生活—気づきのしるし」(8/5~11/5に開催)に、ファッションデザイナーで唯一出展したこともあっての来日と東コレ特別参加だった。

美術館でのインスタレーションもファッションショーもかなり型破りなこの人のことを知りたくて、インタビューをお願いした。身長が190センチという長身をTeam Vibs=チーム・ヴィブス>と書かれた白いスタッフコートに包んだ気さくな人が、今北欧のファッションを変えつつある。

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先ごろ弊サイトでも紹介したコペンハーゲンファッションウィークでのHenrik Vibskovのランウェイショー。

*テーマは「睡眠」だったが。

——
「THE GREAT CHAIN OF SLEEPERS」とsleeping=睡眠」をテーマにしたヴィブスコフさんのショーは、睡眠のイメージを大きく広げたものでしたね。シャツやパジャマやガウンという休息のための服がたくさん登場しましたが、安楽や癒しというだけでなく、夢というよりむしろ悪夢というファンタジーの部分も感じられておもしろいと思いました。

ヘンリック・ヴィブスコフ(以下HV:毎シーズン、コレクションを作るときにはまずコンセプトをしっかり考えます。これは、僕が学んだセントマーチンズ美術大学の教えでもあリます。とはいえ、今回「夢」というテーマに行き着いたのは、ちょっとした偶然でした。前シーズンのコレクションのプレゼンテーションでエクササイズをやった時、1人のパフォーマーが寝てしまったのです。しかも、いびきをかいて! それがケッサクで(笑)、今回のテーマにつなげることにしたというわけです。
実際に洋服をデザインする過程では、2Dから4D、5Dにまで膨らませていかなければなりません。織りやニットやプリントなどを駆使しつつ、いろいろなインスピレーションを形にするために、リサーチに十分な時間をかけました。発端は偶発事でも、完成させるために、睡眠から悪夢に至るまでの膨大なイメージを収集するのです。


——毛虫のようなものもありましたが。
 

HV:よく見てください(と、サンプルを指差し)、あれは、様々なリサーチをする中で、動物たちの冬眠の様子、キツネや、あるいはイルカがどんなふうに眠るのかなど、いろいろ調べました。あれは毛虫ではなくて、動物が丸くなって寝ている姿なんです「悪夢のモンスター」と名付けているモンスター柄もありますが。


——中国の陰陽(インヤン)のようにも見えますね。

HV:そうも見えますが、動物なんですよ。グラフィカルに作っていく過程で、zzzを入れたりしました。寝る時の体のシルエットをパターンに活かしたり、様々なことを試みているのです。

眠いのに目を開けていなければならないときにマッチでまぶたを支えたりしたことはありませんか(マンガみたいに)。そんなことを連想させるアイウェアも作りました。


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渋谷HikarieホールAで開催されたAmazon Fashion Week Tokyo 2018SSでのHenrik Vibskovのショー。リアルワーカーのウェアとモデルが着用した新作のファッションが共存する演出は、リアルな東京ファッションを表していてとても面白かった。

——東京のショーでは最初に、黒い作業着に地下足袋、白ヘルメットの肉体労働者風の人たちが20人出てきて、ワルツに合わせて寝袋をセットした鉄パイプを次々と持ち上げて、全部上がったところで、白衣のスタッフが寝袋の紐を引くと、人形が寝ている色とりどりの布団が垂れ下がるというインスタレーションがありました。これにはどんなメッセージが込められているのでしょう?

HV労働者を登場させたのは、東京だけです。ショー本体は、パリやコペンハーゲンでも同じでしたが、東京でも同じだと僕自身もちょっと退屈してしまうので、東京では、いろんな人を巻き込んでエネルギッシュでファンタスティックなショーを作りたいと漠然と思っていました。日本に来て、金沢に行くときに飛行場で整備工として働いている男性たちを見て、労働者を使うアイディアを思いつきました。日本のスタッフはそれからの人探しがとても大変だったようですが(笑)。

僕はいつもこんな風です。クリエイティブであるために、新しいアイディアを積極的に取り入れて、チャレンジをするのですが、時に失敗もする。でもそうやってファッションは前に進んで行くと僕は思う。教師としても、学生たちに限界を決めずに新しいことに挑戦するよう教えているので、そういう意味でも、自分自身チャレンジしてみたかった。インスタレーションをしないほうが簡単だけど、してみたかったんだ。頭を冴え渡らすためにもね。いつも薄い氷の上を歩くということをしてみたくて、危ないからやらないのではなくて、落ちるかもしれないけど、あえてチャレンジして行くという姿勢が、人生においては必要だと僕は考えているのです。


——すばらしいですね。それにしても、肉体労働者の人たちの登場というのは、ある意味ショッキングでしたね。あの人たちはどうやって集めたのですか?

HV実際に建設現場で働いている人たちに来てもらいました。


——あの男性たちのリアルな存在感がものすごく強くて、周りでスマホでパチパチ撮っているファッションピープルたちがすごく薄っぺらに見えてしまいました。その辺の対比をもしかすると狙っていらしたのでしょうか?

HV両者はカルチャーが違いますからね。受け取り方はいろいろだと思いますが、僕は、このカルチャーの違う人々を一つの空間に置いてみたかったんです。ミックスするということが重要なんだ。いいチャレンジだったと思いますよ。ファッションにはこういう機会が足りなかったんじゃないかとも言えますよね。

 

——これこそ、ライブですね。私は、日本の布団を天日に当てて干す習慣を連想してしまいました。で、彼らが着ていた服装は?
HV
いろいろリサーチして、日本でユニフォームを探して探して購入しました。

 

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身長190cmのHenrikはちょっとした仕草も大きく見える。大学で教えていることもあり、ファッションへのスタンスはもちろんのこと、音楽との違いについてなど実に話が面白かった。実は彼はミュージシャンでもあるそう🎶
*金沢21世紀美術館での展示のことや北欧のファッションについて。

——金沢21世紀美術館「日々の生活—気づきのしるし」の中でも、ヴィブスコフさんの部屋は、飛び抜けて変わっていましたね。他はシンプルにデンマークのグッドデザインの家具などを見せる、あるいは、日常をデザインすることの意味を問う、といった印象の展示でしたが、ヴィブスコフさんのは、ヴィリジアンの部屋で赤いフレームの皿洗い機が孤独な作業をこなしている、、、、。「The Repetitive Clean(くりかえし洗う)」と題したあの展示のアイディアはどこから?
HV:標題が「日々の生活」ですから、日常生活をデザインで表現するということを考え、それから、日々何をしているかを考えてみました。浮かんだのが、「洗う」ということなんです。単調な作業です。最初は衣服を洗うことだけを考えていました。ところが、展覧会のキュレーターが、服を洗う作業もいいけど、展覧会で見せるには、皿洗いの方がいいのでは、と提案されてそっちに。皿洗いも日々やってますからね。
最初に皿洗い機をデザインして、それから備品をデザインしていったんですが、プレートに吊り下げるための穴を開けて、オブジェにしていった。プレートはデンマークで作りましたが、日本風な要素を盛り込むために、お箸を想起させるステッチを加えました。シンクで食器がぶつかり合う音、水の流れる音など会場は、音の空間にもなっています。水の音と、アンビアントな音楽を組み合わせて作りました。琴の生演奏を加えたインスタレーションも行いました。

——少し前までは、日本では、北欧とファッションはあまり結びつかなかったのが、最近、少し状況が変わって来ている気がします。それは、ファッションの文脈が変わって来ているということかもしれません。北ドイツやオランダなども含めた北欧圏のファッションが、新鮮です。
HV:スカンジナビアの歴史を見ると、ほとんど漁師か農夫です。ハイファッションとは無縁な土地で、洗練された高級ファッションというのは根付かなかったのです。でも、スカンジナビアやノルディックが少しずつ現れて来ていて、僕自身も勉強しているところです。
でも、パリとはいろんな意味ですごく違います。例えばパリでファッションデザイナーというと、ワオ!となりますが、デンマークでは、音楽は概して、ワオ!クール!となるのですが、ファッションだと、そうはならない。
北欧の人間は、ファッションは人工的で物質的で軽薄なイメージ、一方音楽には精神性がある、と思っている。パリでは、全く逆ですからね。ストレンジだよね。
でも、僕は、時間をかけてそのイメージを変えようとして来たつもりです。ファッションも、人工的なだけではなく、個性的で、アバンギャルドで、人間くさくて、オルタナティブで、といろんな要素がある。
北欧の人間たちはファッションといえば、ポップで人工的なものだと思っているからね。でも、少しずつ変わって来ているのです。


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東京Amazon Fashion Week 2018SS/(撮影:tomohiro horiuchi)

*ファッションはコミュニケーション!

——元々音楽がお好きで、大学時代には映像作品を作っていたそうですが、ファッションに進んだのは、どんなきっかけだったんですか? ファッションでしかできないものが何かあると考えましたか?

HV:ファッションというのはとても重要なものだと僕は思っている。それはファッションというのはコミュニケーションの手段だからです。100人を一部屋に集めて、喋らないでいても、どんな服を着ているか、どう着こなしているかなどで、出ているシグナルから分かり合えることがある。座っているだけで、インターネットよりも早く、交信できますよ(笑)。

ハイファッションもいいけど、一方で、農夫がとても古い服を大事に着続けていることもステキだと思う。彼に聞くと、きっとファッションなんて気にしないよ、と答えると思いますが。でも、彼は本当に気に入ったものしか着ない。これもファッションだと僕は考えているのです。

——コレクションで、いつも単なるキャットウォークだけでない、インスタレーションを組み合わせたり、特別な会場構成をなさることも、そういったファッションのオルタナティブを探っていらっしゃるからなのでしょうね。そういうことを可能にするだけのスタッフがいらっしゃるのですか?

HV現在12人のクリエーティブチームの中に、2人建築家がいて、エキシビションやインスタレーション、アートプロジェクトなどに携わってくれています。他にも、グラフィックデザイナー、編集者、パターンナーなどいろいろな技能を持ったスタッフがいます。さらに、取り巻きがいっぱい。クリスマスのランチには、ヘルプしてくれる人たちを50人くらい招待して盛大なパーティをします。




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ヘンリック・ヴィブスコフ/Henrik Vibskov

デンマーク出身。2001年セントラル・セント・マーチンズ美術大学ファッション科を卒業し、ブランド活動を開始。2003年よりパリファッションウィーク(メンズ)でコレクション発表。スイステキスタイルアワード、イエール・フェスティバルなど世界各国のコンテストやファッションイベントに招待を受ける。ファッションだけではなく、アート、音楽、映像など多岐に渡って才能を発揮。アークティック・モンキーズ(バンド)、フランツ・フェルディナンド (バンド)、カニエ・ウェスト、ビョークなどセレブリティ、ミュージシャンの愛用者も多い。

オフィシャルHP
http://www.henrikvibskov.com/home.php

オフィシャル・オンラインブティック
https://henrikvibskovboutique.com/

*オフィシャル・インスタグラム
https://www.instagram.com/henrikvibskov_boutique/


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