Luscious(ラシャス)

Luscious(ラシャス)

レポート
2006.09.08
ファッション|FASHION

下着もおしゃれに決めたい男性のための
新しい男性下着専門店がオープン

オレンジやピンク、イエローなど今まで
の男性下着には無かったカラーバリエー
ションが揃う。
スワロフスキーを贅沢にあしらったイギ
リスのブランド「QZ Bodywear」のもの。
4万4,000円と高額ながらも、40代以上の
男性に人気。
取締役の金子さん。アレキサンダー
マックイーンのカラフルなTシャツを
さらりと着こなしていた。
男性用だけではなく、男性と女性のセット
下着もあり、カップルでお揃いを買ってい
くお客様もいるそう。
天井には大きなシャンデリアが飾られて
おり、ラグジュアリーな空間を演出して
いる。
「男なら下着にも手を抜くな」。これは『Men's NON-NO』06年7月号で組まれた5ページの特集のタイトルである。この特集に象徴されるように今、男性下着業界が盛り上がりをみせている。そんな状況をいち早く察知して05年12月2日渋谷区の神南エリアにオープンしたのが、男性下着専門店「Luscious」(ラシャス)だ。運営元は(株)エボルブ。

「僕自身、以前から下着にはこだわっていましたし、周りのアパレル関係者の間でも2〜3年ほど前から、デザイン性の高い男性下着への関心が高まっていました。しかし一部のセレクトショップでの扱いはあるものの、肝心の専門店がなく、それなら自分たちで作ってしまおうと思ったんです。実際、女性のように細部までオシャレに気を使う男性が増えていることからも、更に下着へのこだわりが強くなると思い、出店に踏み切りました」と話してくれたのは同社取締役兼デザイナーの金子恭浩(28)さん。

同社は以前アパレル会社に勤めていた金子さんら4人が集まり、同店出店のために設立した会社だ。自社ブランドの立ち上げから仕入れ先や出店場所などのオープン準備を、わずか4ヶ月という短期間で実現した。

場所は、公園通りから一本入ったビルの2階。週末は買い回り客などで賑わう通りである。ファッショントレンドに敏感な美容師やアパレル関係の人たちにアピールすることによって、口コミでの広がりを期待したのだそうだ。

コンセプトは「デザイン性のあるスタイリッシュな下着」。自社ブランドの「ラシア」の他、国内外合わせて11ブランドを取り扱う。ボクサータイプを中心に、ピンクやイエローなどのカラフルな色遣いのものや、スワロフスキーをふんだんにあしらったラグジュアリーなもの、ハート柄などのポップなプリントものなど、その多くが今までの男性下着にはなかった、女性下着のような斬新なデザインである。価格帯は2,000円〜4万4,000円と幅広い。商品はすべて金子さんが実際に試着して、履き心地がよいと判断されたもののみとし、デザインもさることながら下着としての機能も重視している。

ウッディーな風合いの内装は、金子さん自身のデザインによるもの。シャンデリアや現代アートなどを配し、一見するとエッジーなアパレルショップのよう。ラグジュアリーな店内に並んでいる商品がすべて男性下着というアンバランスさが、これまでにない新しい空間を作り出している。

オープン当初は20代前半〜30代後半の男性をターゲットに設定していたが、実際は20代前半〜40代後半までと幅広い年齢層が来店している。プレゼント目的や自宅で履くルームパンツとして自分用に購入する女性客の需要もあり、男女比は約8:2。クリスマスやバレンタインなどイベントの前には、なんと女性客が全体の約半数を占めるという。客単価は平均4,000円〜5,000円。なかには数万円単位で購入する、雑誌『LEON』に代表されるような40代以上のオシャレな男性客もいらっしゃるとか。

このところ、異業種から男性下着市場への新規参入が活発で、靴下メーカーの福助(株)が「ヴィヴィアン・ウェストウッド」とのライセンス契約により同ブランドの男性下着の販売を開始したり、東京コレクションでも人気のブランド「DRESS CAMP」が国内メンズ下着ブランド「TOOT」とのコラボレーション商品を相継いで発表するなど、ファッション業界でも話題になっている。

定点観測にもみられるように、若い層の男性にもスキニーパンツのようなボディコンシャスなボトムスやローライズパンツが人気となっており、機能的でオシャレな下着が求められるのも自然の流れと言える。さらに「モテるオヤジ」ブームなどを受け、“内側のオシャレにも気を使う”大人の男性が増えたことも後押しをしているようだ。女性の意識の高さとはまだまだ格差はあるものの、男性にも確実に単なるアンダーウェアとしてだけではない“ファッションとしての下着”という価値観が根付き始めたといえるだろう。

[取材・文/『WEBアクロス』編集室]

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