unobilie(ウノビリエ)

unobilie(ウノビリエ)

レポート
2006.04.07
ファッション|FASHION

クチュール感のある大人のカジュアル服を提案する新感覚ブランド

シンプルで落ち着いた雰囲気の店内。
インテリアはすべてアンティークで
統一されている。
デザインはロンドン、生産とMDは
国内で実施。独特のパターンに
よる立体的な美しさと、着心地の
良さが特徴。
ヨーロッパ買い付けによるセレクトの
小物も販売。
ターゲットは20代後半〜の大人の女性。
「今後は卸を中心に展開し、百貨店の
売り場の大人化に協力していきたい」
(高山さん)。
06年2月9日、渋谷区神宮前5丁目に、レディースブランド「ウノビリエ」の直営店がオープンした。

運営元は、アパレルの企画・製造・販売を手がける(株)ワイエムファッション研究所。天然素材にこだわった「ヤッコ マリカルド」や、シャツブラウスを中心とする「ワイエムシャツ」など、40代〜のマチュア世代をターゲットにしたブランドを中心に展開してきたが、03年、新たな層を取り込もうと、20代後半〜30代の女性をターゲットにしたウノビリエを設立。約3年間の試行錯誤を経て05年秋冬、旗幹店をオープンした。

「コンセプトは、成長していく大人の女性へ向けた服。かわいいだけの服を卒業し、自分に似合うものをきちんと見分けられる大人の女性が、少し背伸びをして着るような服を提案していきたいと思っています」(同社海外事業部・高山さん)。

デザイン・パターンはロンドンにある同社のデザイン事務所YMF.D.Eが担当。デザイナーにロンドン在住の日本人、パタンナーにイギリス人を起用することで、日英のトレンドを取り入れたデザインを提案している。また、クオリティの高い商品を旬のタイミングで提供するため、MDと生産は国内で実施。独特のパターンによって作られる立体的なシルエットと、普段着からクチュール感のあるアイテムまで、幅広いシチュエーションで着られるラインナップが特徴だ。

そんな同ブランドが初となる直営店を出店したのは、表参道の奥に入った裏通り。周辺は店などない静かな住宅街で、まさに隠れ家といった雰囲気である。約15坪の店内は、黒を基調としたシンプルモダンな作りで、インテリアはアンティーク家具で統一。中央には白い玉砂利が敷き詰められた中庭があり、贅沢に空間になっている

「ゆったりと買い物ができて、お帰りの際にはどこか優越感を持って頂けるような空間を目指しました。分かりにくい場所ですが、実はこの通りはキャットストリートから南青山4丁目、5丁目に抜けるショートカットの道なんです。ファッションに敏感な人たちにアピールできる場所だと思い、ここを選びました」(高山さん)。

商品は、ウノビリエのフルコレクションに加え、小物類で一部セレクトの商品も展開。今後は靴やバッグなどのオリジナル小物も展開し、トータルコーディネートができるような品揃えにしていくという。また、直営店はこの1店舗のみとし、今後は百貨店やセレクトショップへの卸を中心に展開する予定。国内のみならず、香港や台湾など海外への展開も視野に入れているのだそうだ。

幣誌でもたびたび取り上げているように、ここ数年、都内では30代以上の“大人”の女性を対象としたショップが急増。渋谷エリアだけでも、「サロンブティック」(05年9月オープン)や松涛の「ツーボ」(05年11月オープン)、「レジドア」(06年2月オープン)など、今年に入ってから相次いでオープンしている。さらに、百貨店でも30代〜の女性をターゲットにした新しいブランドの開発が活発化。高島屋では3月1日、全国の大型6店に「スタイル・アンド・エディット」をオープン。また銀座三越も3月17日、「マイスタイル365ネクスト」の売り場を拡張、リニューアルオープンするなど、軒並み30代の女性をターゲットにした自主編集売り場を拡充している。

「団塊ジュニア世代」も30代半ばにさしかかろうとしている今、年齢とともにライフスタイルが変化したこの層をターゲットにした業態やブランドの開発など、マーケティング・ターゲットとしてのブームが再燃しつつある。セレクトショップや百貨店、ファッションビルの“大人化”が進むにつれて、同ブランドのような、「大人になった団塊ジュニア」をターゲットにしたブランドもますます増加するだろう。

[取材・文/苫米地香織+『WEBアクロス』編集室]

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