amber garret

amber garret

レポート
2003.12.15
フード|FOOD

伊藤さんの肩書きは「おかあさん」。
母親のような気持ちで客を迎えたい
という意味が込められている。
フードメニューは「cafe amber」
同様、板さんによる和食が中心。
本のセレクトは、海外在住の日本人
向けに書籍やCDなどを販売するWEB
サイト「ねっとほんや」によるもの。
もちろん購入可。
内装は成川さんの知人のショップ
プランナー、WARMS(ウォームズ)
によるもの。
渋谷ロフトそばのとあるビルの6Fにある「cafe amber」は、連日10〜20代前半の若者たちでにぎわっているカフェのひとつ。同店は、銀座の料亭「朝川」を両親から引き継いだオーナーの伊藤美奈子さん(26歳)が「若者たちの和食離れを食い止めたい!」という思いから、02年8月に開業。料亭のようにおいしい食事ができる「めしカフェ」として定着している(詳細は弊誌バックナンバー参照)。

03年12月1日、同店の姉妹店として、ワンランク上のラウンジカフェ「amber garret(アンバー・ギャレット)」を、ひとつ上のフロア(7F)にオープンした。

「コンセプトは今回も“ありそうでなかった”もの。それは、大人の男のラウンジカフェです。渋谷には女性向けのサービスはあるけど、男性向けはほとんど無いってことに気づいたんです。男性だって仕事の途中や帰宅前落ち着いて過ごせる静かな空間が欲しいはず。お酒を飲んだり、食事をしたり、本を読んだり、仕事をしてもいい。ネットカフェのように気軽に入れて自由に使える、そんな場所をつくろうというのがきっかけです」(伊藤さん)。

内装はもちろん琥珀色が基調。マッキントッシュをはじめ、あえて英国の職人によるリプロダクションの椅子で統一しているのも特徴だ。細長い店内の手前は板さんとの会話が楽しめるカウンター席や本棚などのある“動”の空間。調光可能な照明器具やパソコン用の電源や無線LANも配備している。奥はどっしりとした皮張りのソファとモダンなシャンデリアによる“静”の空間。夜はメンバーズオンリーの空間となるという。

ちなみに、メンバーになるには、永久年会費1万円と既存会員からの紹介が必要で、専用ラウンジが使用できる他、テーブルチャージが不要になるなどの特典がある。当初募集は108名までの予定だったが、オープニングパーティの時点で既に定員オーバーの状態なのだそうだ。

「おかげさまで『cafe amber』は若者たちに受け入れられて盛況なんですが、自分たちのような世代が落ち着ける場所がなくなってしまって(苦笑)。仲間といっしょにもうひとつ居場所をつくろうと話していた矢先のことだったんです」と伊藤さん。

仲間というのは「amber garret」を運営する、おのころ(有)のオーナーメンバーのこと。総勢20名で伊藤さん以外は全て男性で、そのなかにはご主人の成川裕之さん(31歳)も含まれている。

「本業は某企業で新規企画事業を担当していますが、新規事業に伴い、必要な人材を集めるという業務もあり、ふだんから人脈づくりは欠かせません。また、プライベートでも異業種交流サイト『琥珀夜(こはくや)』を主催しており、『amber garret』は、それらの交流の場、活動の拠点としての位置付けでもあります。将来的には、ここから様々な分野で活躍する人間が巣立っていけばいいなと思っています」(成川さん)。

自分たちの居場所づくりという共通の目的を持った仲間=「コミュニティ」が運営する飲食ビジネス。会員制というちょっとしたステイタスを加えたところなど、まさに今どきな「ポスト・カフェ」の一例といえそうだ。

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