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スケートボード男子
レポート
2012.06.05
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

スケートボード男子

“90年代ストリート”のアイコン「スケートボード」がリバイバル

憧れの美容師、馬場一馬さんの影響でスケートボードを始めたという19歳・専門学校生
トリック用のスケートボードに加えて、移動用に小型で軽量のクルーザーを買ったそう。
2012年3月・渋谷 定点観測より
VANSのスニーカー、ライン入りソックスなど王道のスケータースタイルが復活。
2012年4月・原宿 定点観測より

 ここのところ、渋谷の公園通り周辺ではスケートボードに乗っていたり、スケートボードを抱えて歩いている男の子が急増している。街なかでトリックを練習している光景も非常によく見かけるようになった。

定点観測のインタビューをさかのぼってみると、2011年あたりから「趣味はスケートボード」と答える男の子たちが登場。2010年4月に世田谷公園にスケートボードランプが設置されたり、2011年4月に宮下公園にスケートパークが新設されたりと、スケートボードを楽しむ環境が整備されていることもあるが、ファッショントレンドとの関連性も少なからずありそうだ。

 「90年代原宿のストリートファッションやアートが好きなので、当時のカルチャーであるスケートボードを始めました」という21歳の大学生の男の子。学校に行く時などに移動用として使っており、たまにスケートボードパークにも行くという。また、憧れの美容師の影響で1年前からスケートボードを始めたという19歳専門学校生の男性は「70年代に実在したスケートボードチーム・Z-BOYSをモチーフにした映画『ロード・オブ・ザ・ドッグタウン』の登場人物をイメージしてコーディネートを考えました」と、スケートボードがファッションのイメージソースになっていると答えてくれた。

 彼らが着用しているのは、UNDER COVER(アンダーカバー)やNEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)、soph.(ソフ)やBOUNTY HUNTER(バウンティハンター)など90年代〜00年代頭に人気だった裏原宿系ブランドや、SUPREME(シュプリーム)VOLCOM(ボルコム)などのスケーターブランド。パーカーのフードかぶりやキャップの後ろ前かぶり、ディッキーズのワーカーズパンツやハーフパンツ、足もとはライン入りのスポーツソックスにVANSのスニーカーという、典型的な王道スケータースタイルがそのまま再現されているのが特徴だ。

 彼らの中にはスケートボードを始めるとともにがらりとファッションを変えたという男の子も少なくない。「スケートボードを始めてから、気合を入れないゆるっとした服装をよくするようになりました」という20歳大学生の男性は、古着を組み合せたグランジ風のファッションを上手に着こなしていたが、なんとスケートボードを始めるまではヒールブーツを履いたり、ヨーロッパヴィンテージ系のファッションをしていたというから驚く。

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2011年10月・原宿の定点観測より。90年代のストリートカルチャーに憧れて半年前にスケートを
始めたというアラウンド90年生まれの3人組。左の男の子はスケートボードを始める前はなんとヨーロピアンヴィンテージ風のファッションをしていたそう!
90年代原宿のストリートファッションやアートが好きで、スケートボードやDJを始めた、という21歳・大学2年生
スケートボードを自分でペイントするDIY感覚も90年代風。
パーカーのフードかぶりやスニーカーなど、一部の女の子にもボーイズカジュアル風の着こなしが復活。2012年に入ってからはスケートボード女子も見かけるようになった。

 今回のブームの主役は、アラウンド90年生まれの若者たち。90年代のスケートボードのブームを知らない彼らの間でスケートボードがリバイバルしている背景には、90年代に青春を過ごした30代が、アパレルデザイナーやバイヤー、ショップオーナーや編集者などの仕掛け手側に成長。彼らが作るものに若者たちが影響を受けていることが大きいようだ。別名「コスプレ世代」というように、毎日気分によって異なるファッションに着替える90年代生まれたち。スケーター的なライフスタイルに憧れて取り入れている、というよりは、ファッションスタイルのひとつとして「90’sスケーター」が消費されている点も興味深い。

 生まれた時からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた「デジタルネイティブ世代」の彼らにとっては、キーワード検索やWikipedia(ウィキペディア)などが主要な情報源になっており、過去のブランドやスタイルについての知識をネットから得るのは当たり前のこと。キーワード検索で「スケーター」と入力することで、ファッション情報やスタイルを検索し、またネットで購入するなどして再現しているのである。

 インタビューしてみると、「DJやスケートボードなどのストリートカルチャーに染まりたい」(18歳・大学1年生)藤原ヒロシがプロデュースしていたかつての原宿は、今ではなくなってしまった魅力を持っていたと思います」(21歳 大学2年生)など、同質化する近年のファッショントレンドとは一線を画す、自己表現のためのファッションやカルチャーが溢れる自由だった「90年代ストリート」を追体験してみたい、という憧れの気持ちも感じられた。

 一方、渋谷〜原宿界隈では、2007年頃からピストバイクやクロスバイク、BMXなどの自転車に乗る男の子が増加。ファッショナブルなデザインの自転車の登場により、移動手段だけでなく、パーツのカスタマイズやスキルを競うなどして楽しむ趣味のアイテムとしてブームになっていった。

 今回のスケートボードブームも同様で、ストリート感を演出するコスプレとしてのファッションアイテムであると同時に、技を競ったり、コミュニケーションを交わすなど、街なかで「楽しむツール」としても支持されている点も興味深い。そして実は、安いものだと5,000円〜2万円と、自転車に比べて安価で手軽に買える、購入へのハードルが低いことも、若者に急速に浸透している大きな理由のようだ。


[取材・文:ACROSS編集部]


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