ar CONOMi/AneCONOMi (エーアールコノミ/アネコノミ)
レポート
2011.07.14
ファッション|FASHION

ar CONOMi/AneCONOMi (エーアールコノミ/アネコノミ)

“ファッションアイテムとしての制服”が創りだす新たなマーケット

「AneCONOMi」店頭。「CONOMi」ショップに比べてシックで落ち着いた雰囲気。
「AneCONOMi」ではトラッドなデザインにカラーバリエーションで楽しさを表現。
本革のAneハイヒールローファー(18,900円)。高校生に一番人気のローファー型をベースに甲の細さや長さにこだわりった。
Aneプリーツスカートは制服っぽさを残しながら大人っぽく進化したデザインが特徴。制服ラインの「CONOMi」オリジナル開発生地を使用している。
制服をルーツに、ショートパンツやボレロブレザーなど「AneCONOMi」ならではの商品を展開している。
CONOMiディズニーコラボリボン(1,890円)。モチーフのなかにミッキーが隠れている。
「AneCONOMi」向かいにある「CONOMi」の店頭。原宿・竹下通りから一本入った路地にも関わらず、女子高生が入れ替わり訪れていた。
女子高生の定番、タータンチェックのプリーツスカートはバリエーションも豊富。新作毎に微妙にチェック柄や色を変えてトレンドを取り入れている。ここ1〜2年はベージュやブラウン系がトレンドだそう。
オリジナルブランド「ar CONOMi」の綿アクリルカーディガン(6,510円)。それまでの制服になかったパステル色を取り入れ大ヒットした商品。
『新世紀エヴァンゲリヲン』とのコラボ制服。アニメに登場した制服を“本物の制服だったらこうなるはず”という制服メーカーとしてのこだわりのもと作り込んだ。コスプレ文化をベースとした制服“風”ファッションとは一線を画すアイテム。
AneCONOMi(左)とCONOMi(右)のスタッフ。 「現場を知っているものがデザインするのが一番」ということからCONOMiの制服デザインは、全て同社代表の相浦さんと副社長の横山さんの2人が手がけている。

 女子高校生のリアルなニーズを拾いあげたおしゃれな制服ブランドとしてティーンの人気を集めるar CONOMi(エーアール コノミ)」20114月、そのお姉さんブランドAneCONOMi(アネコノミ)」(http://aneconomi.jp/が新たにスタートし、“カワイイ・トラッド”を提案して支持層を広げつつある。運営は株式会社このみ(本社・新潟県妙高市)(http://www.conomi.jp/

 

 「AneCONOMi」のブランドコンセプトは“制服をルーツに持つカワイイ・トラッド”。制服に通じる清潔感やバランス感覚を意識したデザインが特徴だ。年齢層は制服を卒業した10代後半から20代後半で、コア・ターゲットは23歳前後。ブランド立ち上げと同時に原宿・竹下通り裏にあるスクールアイテム専門ショップCONOMi原宿店」の向かいにAneCONOMi原宿店」をオープンした。

 

「制服すぎてもカジュアルすぎてもダメ。私たちにしかできない、『CONOMi』らしい“カワイイ”とトラッドを融合させた“カワイイ・トラッド”というカテゴリーを作ろうと考えました。カラー、着こなしのバランス、サイジングやスタイルなど、いろんなところに制服の着こなしにルーツを持つ微妙な“カワイイ”のさじ加減を取り入れています」(同社副社長・横山豊子さん)

 

 そもそも、1991年に創業した同社は新潟県の街中にあるごく普通の婦人服店として制服を扱っていた。本格的に制服を手掛けるようになったのは、2000年頃。地元の女子高生が雑誌を持参して制服のオーダーメイドを依頼してきたことがきっかけだという。当時首都圏の私立女子高で広がっていたおしゃれ制服の情報が雑誌等のメディアを通して入ってきていた頃だ。

         

「こういうのが着てみたかった!」と、“かわいいオーダーメイド制服”の評判が口コミで県外の女子高生まで広がり、対応が追いつかなくなったことから2003年にネットショップをスタート。首都圏からも多くのアクセスがあり、実際に商品を手に取ってみたいという要望が寄せられるようになっていったのである。

 

CONOMi」制服を求める女子高生には、基準服はおろか制服を定めていない私服学校の生徒たちも多いという。なぜ彼女たちは私服ではなくあえて制服ファッションを着るのだろうか。

 

「制服は、誰が見てもその子が女子高生だということがわかる、大切なアイテム。彼女たちは自分を主張する、表現手段のひとつとして制服を着ています。かわいい制服を着られるのは女子高生だけの特権ですから」(横山さん)

 

 2007年、首都圏での需要のリサーチも兼ねて渋谷で「ブランド制服コレクション」と題した展示即売会を開催したところ、ネットと雑誌の小さな記事のみでの告知ながら2日で1,000人を集客。予想を大きく上回る反応に首都圏でのニーズを確信し、2008年に「COMOMi原宿店」をオープンした。

 

「出店場所には、ファッション好きの10代の女の子たちが集まる街として、原宿の竹下通りしかないと思いました。制服一式の価格は56万円以上になるため母親と一緒に買い物をしにくるケースも多く、安全できれいな場所にあることも重要だったんです。竹下通りは地元商店会の規則も厳しいため、カラオケやゲームセンターもなく、夜も早い。渋谷などに比べてクリーンな印象がありましたね」(同社代表・相浦孝行さん)

 

 オープン当初は仕入れ商品のみのセレクトショップであったが、2009年にさらにオリジナルブランド「ar CONOMi」をスタート。「2007年頃から、知的に品よく見せられて先生や両親にも好まれる清潔感のあるものへと、制服のトレンドが劇的に変化した」(横山さん)ことで、女子高生たちのニーズにきめ細かく対応するにはオリジナルブランドの立ち上げが必要だったと話す。

 

ar CONOMi」は、“恋する制服”をテーマに、ブレザーやスカート、ブラウスからリボンやタイ、ソックス、バッグなどの小物までをトータルで展開。学校のルールの中でも通用する“本物の制服”であり、アイテムのバリエーション自体は限定されるものの、ニットやタイ、リボンなど小物はバリエーション豊かである。ユーザーが学校のルールの中で、“自分だけの制服”を実現できるという点が重要なのだ。

 

 アイテムが限定される制服というジャンルでは、微妙なニュアンスやディテールが重要になる。進級するにつれて上級生らしいニュアンスが必要になるのに加え、トレンドも袖丈やスカート丈なら1〜2cmといった単位で変化する。こうしたニーズを拾いあげるのには現役女子高生のアルバイトスタッフやユーザーなど現場の声が大きく寄与しているそうだ。

 

 お姉さんブランドとしてスタートした「AneCONOMi」も、こうした現場の声から生まれてきたもの。“制服っぽいファッションを、高校を卒業した後でも着てみたい”という「CONOMi」ユーザーの声に加え、制服テイストのファッションに対する高校生以外のニーズを感じたからだという。

 

 さらに近年は海外にも人気が拡大。独自の進化をした日本オリジナルのファッションとして、清潔感や清楚感のある制服ファッションには海外からも注目が集まっている。

 

「2〜3年前からはヨーロッパやアメリカが中心だったものが、ここ1年くらいは中国、台湾、韓国、タイなどアジアからのアクセスと来店が増えています。日本産アニメの影響もありますが、アジアでは日本のかわいい女の子たちを象徴する一種のトレンドファッションとして受け入れられているようです」(横山さん)

 

 制服ファッションへのニーズは、エリアの面でも拡大している。これまで制服に関しては関東よりも保守的であった関西エリアなどにも、制服をファッションとしてとらえる意識変化が広がりつつあるという。2011年になって需要も大きく増えてきたため、同社では今後関西エリアでの販売会などを強化していくそうだ。

 

「学園ドラマが多くヒットしたという背景もあり、高校生であることをブランドと意識している男子高校生が増えているという手応えもあります。女の子に合わせるように男の子の制服でも“清潔感”が求められる傾向。今年になって一気に盛り上がってきましたが、来年かなり大きな動きになるはずです」(相浦さん)

 

 パリで開催された2011年のジャパン・エキスポ(現地時間630日〜73http://www.japan-expo.com/en/ )では、メインステージで「CONOMi」のファッションショーが開催される(http://www.japan-expo.com/en/contenu/conomi-seifuku-fashion-show_495.htm)など、海外での注目度もまだまだ伸びるはず。日本独自のトラッドスタイルの進化形として、国内外で「CONOMi」ブランドがマーケットを拡張していきそうだ。




[取材・文/本橋康治(フリーライター)]

AneCONOMi(アネコノミ)

東京都渋谷区神宮前1-20-12


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