Nid(ニド)
レポート
2009.04.20
ファッション|FASHION

Nid(ニド)

個性溢れるセレクトショップが神南に移転リニューアル

国内の新進気鋭のブランドも取り揃える。
様々なブランドをフューチャーして
展示を行い、世界観を表現。
特大ミラーが店内を広く明るい空間に演出
ペインティングが美しい
「macromauro(マクロマウロ)」
の小物。
今季はオーバーサイズのリラックス感の
あるアイテムが並ぶ。
渋谷と原宿を結ぶキャットストリートにて、05年より営業してきたセレクトショップ「Nid(ニド)」が09年2月5日、渋谷区神南に移転リニューアルした。

場所は渋谷駅からファイヤー通りを抜けた、古く味わいのあるビルの1階。ガラス張りのエントランスから覗く白い空間は、知る人ぞ知るギャラリーのような雰囲気だ。

同店を運営するのは、海外ブランドの輸入卸のほか、国内外デザイナーのディストリビューション、プレスなどを手がけるDUNE株式会社。「Nid」は同社の立ち上げと同時に、その世界観を表現するスペースとしてオープンしたもので、デザイナーごとに期間限定で展示や内装を変えて見せるというユニークな試みを行い、ファッション感度の高い層からも支持を集めてきた。

「移転のきっかけは、昨年の12月で入居していたビルの改築が決まったためです。場所はキャットストリート同様、ファッション感度が高い人達が集まるエリアである渋谷〜原宿周辺で探して、店の雰囲気に合ったこの物件に決めました」と話すのは、プレス担当のナタリーさん。

広さは移転前の約3倍と拡大。コンクリート打ちっぱなしのラフなつくりを活かした真っ白な空間が特徴的。内装を手がけたのは若手の建築家、鈴木比呂夢と光嶋裕介さんによる「YKAS」。前店同様にアーティストのインスタレーションや展示を行いながら、作品だけでなくその思想や空気感を表現したいという意図から、2つの空間を可動式の鏡で仕切り、スペースを自由に変えられるようにしたのだという。

同店のバイヤーを勤めるのはDUNE代表の高橋さん。国内外のデザイナーと直接対話しながら商品をセレクトしており、その基準は「有名無名を問わず、アーティストの個性が感じられるもの」。斬新なアート色を感じさせながらも、日常的に着られるシンプルでユニセックスアイテムを提案している。インポートとドメスティックの割合は7:3程度で、今シーズンは、ビッグシルエットのアイテムを中心に、アシンメトリー、ペインティングを施したものなど、一癖あるユニークなアイテムが揃っている。

取り扱いブランドは、3月末まで同店で展示が行われたウィーンの映像作家やミュージシャンらアーティスト4人が手掛ける「house of the very island's ......is where are you now?(ハウス・オブ・ザベリー・アイランズ……イズ・ホウェア・アー・ユー・ナウ?)」、同じくウィーンの「fabricsinterseason(ファブリックインターシーズン)」、ロンドンの「Markin jan ma(マーキンヤンマ)」、ベルリンの「c.neeon(ツェーネオン)」「BUTTERFLYSOULFIRE(バタフライソウルファイア)」、ニューヨークの「pleasure principle (プレジャープリンシプル)」、「Slow and Steady Wins the Race(スローアンドステディウィンズザレース)」、ドイツの「VON SONO(ボンソノ)」など。国内では、「FACETASM(ファセッタズム)」「macromauro(マクロマウロ)」、「BALMUNG(バルムング)」など、新進気鋭の若手のブランドを積極的に入れている。価格帯はジャケット5万円〜、ボトムスが1万8,000円〜、カットソーは1万円〜。靴やバッグなどの小物類も充実している。

「移転前から、もう少しゆとりのある空間でアーティストの世界観をゆっくりと見てもらいたいと考えていました。移転に際して、ターゲット年齢層を少し高めに設定しています」とナタリーさんが話すように、移転前の客層は18〜25歳が中心だったが、ファイヤー通りに移転後は18歳〜30代に変化したそう。客層は男女の割合は7:3程度で、移転前からの顧客のほか、取り扱いブランドを検索して来店する人、近隣のショッピング中にふらりと立ち寄る人も目立つという。

「今後はファッションだけでなく、インテリアやデザイン関連のショップ展開も考えています」(ナタリーさん)

ここ数年、SPAブランドやアパレルブランドなど、どのブランドも同じアイテムを相次いで発売するなど、マーケット全体が似通った状態(MD似すぎている問題)になってしまっている。そんななか、その流れと逆行するように、「人と違う格好をしたい」「着たいものを着る」という潔い若者層が浮上。その代表的なスタイルが、過去に弊誌でも取り上げた「Candy(キャンディ)」(弊誌過去記事)や原宿のセレクトショップ「faline(ファリーン)」(弊誌過去記事)など、エレクトロ系のクラブカルチャーにリンクしたエッジーなファッション。同店はそれらの層からも高い支持を得ており、国内外のユースカルチャーからアートまでを網羅しているといえる。

今後の東京のファッションシーンを面白くしていくのは、TOPSHOPH&M、今月原宿にオープンするFOREVER21など、急増するファストファッションとは対極にある、同店のようなコンセプトをしっかりと打ち出したセレクトショップだろう。

[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター)+『ACROSS』編集部]
■Nid(ニド)

住所:東京都渋谷区神南1-3-2 クボイビル1階
電話:03-5784-5448
営業時間:12時〜20時
定休日:水曜日



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