Tokyo'sTokyo(トーキョーズトーキョー)
レポート
2009.03.24
カルチャー|CULTURE

Tokyo'sTokyo(トーキョーズトーキョー)

東京発の旅をキーワードにしたエディトリアルショップが羽田空港にオープン

書籍は日本の各地域ごとにセグメント化
し、ランキング形式でディスプレイ。
旅の目的地別に選ぶことができる。
文房具や本、地図などの旅に必要な
道具に加えて、お土産に喜ばれそうな
デザイングッズ、駄菓子やおもちゃも
販売。
秋葉原名物のおでん缶(315円)の隣に
岩宮武二の写真集『かたち・日本の
伝承』が並んでいたりと、ジャンルも
年代も異なるアイテムが並列にセレクト
されている。
商品にはすべて丁寧な説明書きが添え
られている。地名は色が変えられている
のもポイント。
トータルプロデュースを務めるBACHの
幅允孝さん。幅さんのインタビューは
こちらからどうぞ。
ユニフォームデザインは
THEATRE PRODUCTS
(シアタープロダクツ)
が担当。
2009年2月20日、羽田空港第二旅客ターミナルビルの3階マーケットプレイスに、東京発の旅の土産店「Tokyo’s Tokyo(トーキョーズ トーキョー)」がオープンした。運営元は、日本空港ビルデング(株)。

同店のテーマは、「東京発の旅」。羽田空港に発着する旅人のために、東京を編集するという視点で厳選された、旅に必要な道具や東京土産を提供する。

「訪れる方々、一人ひとりの旅への思いやお土産へのニーズを形にし、東京土産をより掘り下げてご提案するため、特定のテナントを入れるのではなく、エディトリアルショップという形式を選びました」(日本空港ビルディング(株)事業開発本部/平野京介さん)。

全体のプロデュース及び本のセレクトを務めるのは、(有)BACHの幅允孝さん。幅さんは、「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(ツタヤトウキョウロッポンギ)」や国立新美術館内ミュージアムショップ「スーベニア フロム トーキョー」の書籍の選定ディレクションをはじめ、ライブラリーディレクション等、本にまつわる幅広い分野で活躍しているブックディレクターである。商品のセレクトは山田遊さん(method)、アートディレクションは植原亮輔さん(DRAFTD-BROS)、インテリアデザインは中村拓志さん(NAP建築設計事務所)、ユニフォームデザインはTHEATRE PRODUCTS(シアタープロダクツ)と、東京をフィールドに活躍するクリエイター達が参画している。

「例えば女子高生がルイ・ヴィトンのバッグを持ってマクドナルドで食事をするという光景があるように、ハイもロウも、伝統も最先端も、様々な次元のものが並列にあるのが東京だと思うんです。そういった様々なものが混じった、東京的な編集視点で商品をセレクトしました」(プロデューサー・幅允孝さん)。

あらゆる人々が訪れる空港という場所柄、初心者からマニアまで老若男女すべてが楽しめるようなセレクトを意識したという。商品は1000を越え、「出張」「スイーツ」「海」「山」「東京」等の10カテゴリーに分類。例えば「東京」のカテゴリーなら、吉野杉の箸と書籍の横に寿司チョロQがあったり、「コムデギャルソン」のレザー小物の隣におでん缶があったりと、一見関連性がないようにも感じられるものが自由にミックスされている。

「エディトリアルショップは、セレクトするだけでなく、選んだ物をどう組み合わせて配置するかがポイント。ジャンルも歴史も異なる物をミックスアップして新しい価値をつくることが、編集する意味なんです」(幅さん)。

書籍は「沖縄」「四国」等の10地域ごとに紹介されているが、情報誌ではなく、その土地を舞台に書かれた、ゆかりある本を揃え、旅をよりエモーショナルにするようなものを選んだそうだ。

約107平米の店内は、白で統一。扉や棚板の上面や下面になど人目につかない場所に、イメージカラーである赤と青の色が塗られており、照明が当たることで、白い壁や什器にほのかに色が映し出される演出がされている。カテゴリーごとに島がつくられ、壁には目的地別の書棚やクロゼットを設置。商品の脇には、品名や特徴が書かれた詳細な説明文を配置するなど、丁寧な見せ方を心がけたという。

ターゲットは老若男女すべてで、東京を発着する人はもちろん、送迎に来た人、展望デッキに遊びに来た人まで幅広くとらえている。「空港独特の非日常感や高揚感(ぼくたちはこれを“エアポート・ハイ”と呼んでいます)を感じられる場所にしたい。旅のついでだけでなく、目的として来てもらえるような店にしたいですね」と幅さん。今後は、東京の姿が日々移り変わるように、流動的に商品を変え、形に捉われない店づくりを進めていくという。

国土交通省東京航空局によると、羽田空港の1ヶ月あたりの航空旅客数は約5,069,314人(平成20年12月期)と、国内線主体にも関わらず利用者数は世界でも有数の規模を持つ。さらに2010年には新国際線ターミナルビルの供用が開始予定で、そうすれば海外からのアクセスが増え利用者のさらなる増加が予想される。日本のポップカルチャーが「クール(かっこいい)ジャパン」と海外で称され、ファッションの街・原宿、アニメ/家電の秋葉原といった特異なイメージだけがクローズアップされて久しい。種々の価値を編集して提案する同店は、国内外の旅人に対して東京のリアルなカルチャーを伝えていく新しい形の店舗ともいえそうだ。

[取材・文/緒方 麻希子(フリーライター)+『ACROSS』編集部]
Tokyo'sTokyo(トウキョウズトウキョウ)

住所:大田区羽田空港3-4-2第2旅客ターミナル3Fマーケットプレイス



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