Triumph(トリンプ)「究極のランジェリー」
レポート
2008.11.21
ファッション|FASHION

Triumph(トリンプ)「究極のランジェリー」

6万4,000人の意見から生まれたクリスマスのための「究極のランジェリー」とは?

クリスマスシーズンを目前に、売上げが伸びる商品はいくつかあるが、実はランジェリーもそのひとつ。各社から新作が発売されるこのシーズン、大手女性インナーウエアメーカーのトリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社からも、女性ユーザーの声から生まれたユニークな限定商品が登場し、話題を呼んでいる。同社で企画開発を行う河野奈佳さんに、新商品について、さらに最近の“下着市場”の動向についてお話を伺った。

「クリスマスは年間で最も下着が売れる時期。弊社でも毎年10月後半&〜11月ごろから限定商品を出しますが、今年もダーゲット別に2種類を発売します」と河野さん。

ひとつめは、10代後半〜20代前半の女性をターゲットとする同社のブランド「AMO’S STYLE(アモスタイル)」の新商品で、その名も究極のランジェリー。「よりお客様のニーズに近いものを提供したい」との想いから、“ユーザー参加型”の開発プロジェクトを設立し、1年がかりで完成させたという。

まず、より多くのユーザーの声を集めるために、河野さんらはターゲット世代の最も身近なコミュニケーションツールである“携帯サイト”に着目。業界最多の300万人の会員を有する無料デコメールサイト『デコとも』とコラボレーションし、特設サイトを立ち上げた。

「サイト内で07年11月〜08年4月まで全4回アンケートを実施し、商品のコンセプトからレースのデザイン、カラーまでを決定しました。回答数は延べ6万4,000人。イメージモデルも一般公募し、ユーザーの投票や審査で選んでいます」(河野さん)。

同プロジェクトと並行して08年2月、『デコとも』の姉妹サイトであるモバイルSNS『ログとも』内に、特設コミュニティをオープン。商品の開発状況の報告を行いながら、ユーザーにもクリスマスに向けて「下着」「恋」「自分」などテーマについて語り合ってもらい、意見を拾い上げたという。

「コミュニティの中では、“クリスマスには自分自身がかわいいと思う下着を身につけたい”、“特別に変身して彼氏を喜ばせたい”など、女性ならではの“下着観”が明らかになりました。また、男性は露出が多くセクシーなものを支持しますが、女性はファションの延長線上で、下着もキレイでかわいいものを好む傾向にあるようです」と河野さんは分析する。

最終的に決定したテーマは「彼氏をメロメロにする究極のランジェリー」。カラーは上位3位のピンクブラックホワイトで、デザインはハート型モチーフレースに大きめのリボンを付けたタイプに決定。徹底してターゲットニーズを反映するため、サイズも通常のA〜Eカップのほか、F・Gカップまでラインナップした。「クリスマス限定コフレ」(9,450円(税込)〜 各色3,000個限定)は、ブラジャー&ショーツセット(3,990円〜/税込)に、キャミソール、ガーターバンド、ガーターストッキングの6点セット。 WEBショップと新宿東口店ほか5店舗での限定発売となり、いずれも好調な売れ行きを見せているという。

さらに注目を集めるのが、同時発売された「お揃いデザインのメンズボクサーパンツ」(2,100円/税込)で、「AMO’S STYLE(アモスタイル)」初のメンズライン。これは、同コミュニティ内にて「彼とお揃いの下着を着けたい」というスレッドが盛り上がったことから開発されたという、まさにSNSの双方向コミュニケーションの特徴が生かされた商品だ。

その開発の背景には、男性の”下着観”の変化もあるという河野さん。
「弊社でも2年ほど前から男性下着の展開を始めましたが、売り上げは毎年50-60%伸びています。下着にこだわりを持つ男性も増え、日用品ではなくおしゃれのアイテムとして定着しつつあるように感じます。ゴールドやラメ使いなど、派手なデザインや種類も増えていますね」。
一方、20代後半〜30代の女性をターゲットにした同社のWEB限定ブランド「desir(デジール)」でも、クリスマス向けの新商品を発売。03年にスタートした「欲望」を意味する同ブランドは、「隠れた欲望を刺激する」グラマラスでセクシーなランジェリーがコンセプト。

今年はレッドとブラックの2色展開で、ブラジャー(5,040円〜/税込)ミニショーツ(1,890円/税込)ストリングショーツ(1,680円/税込)ガーターベルト(3,570円/税込)スリップ(6,300円/税込)の5点がセットになったレディースセット(1万8,480円〜/税込)に、レースをあしらったお揃いのメンズボクサーパンツ(2,730円/税込)を商品化。今年のトレンドである異素材の組み合わせを取り入れ、シフォンレースとサテンリボンを使って高級感を演出したという。ちなみに、メンズでは初めて肌が透けるチュールを採用したそうだ(!)。

「店頭ではベーシックで機能性を重視したものが売れている反面、WEB上では比較的派手なものや、“見せる”下着が支持されています。店舗は落ち着いて買い物がしにくいという人でも、WEBでは気軽に冒険ができるのでは」(河野さん)。

男性が(女性とともに)来店するのに抵抗がある女性も少なくないとのことで、今回のペアアイテムはWEBならではのメリットを反映した商品といえる。

「今後も常に新しいものを提供して、ファンを増やしていきたい」という河野さん。WEBの浸透によって、男女問わずよりオープンに”下着のおしゃれ”を楽しむ傾向が見られる昨今。ニーズが高まる男性下着も含めて、同市場はまだまだ拡大の可能性があるといえそうだ。


[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター/エディター)]


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