BOOK OFF(ブックオフ)渋谷センター街店/BINGO(ビンゴ)渋谷センター街店
レポート
2008.09.29
カルチャー|CULTURE

BOOK OFF(ブックオフ)渋谷センター街店/BINGO(ビンゴ)渋谷センター街店

都内でも最大級を誇る商品数。
女性客をターゲットにしたコーナーを設置。
古本だけではなく新書も並ぶ。
渋谷店ではCD/DVD類に注力し、ゲーム
や映画など豊富に揃う。
同店から扱うようになったレディース
コーナー。品質の良いアメカジ古着が
手に入る。
貴金属類やブランドバッグも取り扱う。
中古本販売大手のブックオフコーポレーション株式会社が、渋谷駅から徒歩5分に位置する、パルコクアトロビル物販フロア跡に新店舗「BOOK OFF(ブックオフ)/BINGO(ビンゴ)渋谷センター街店」をオープンした。

ブックオフコーポレーションは、90年に相模原の直営店からスタートし、フランチャイズ展開を含めて店舗数を拡大後、中古本で培ったノウハウを他の商材のリユース事業にも生かし、展開する総合リユースのリーディングカンパニーである。現在は、「BOOK OFF」を中心に、子ども用品の「B・KIDS」、スポーツ用品の「B・SPORTS」、婦人服・ファッション小物の「B・STYLE」、生活雑貨の「B・LIFE」、貴金属の「B・Select」プラモデル・おもちゃの「B・Hobby」、輸入古着の「BINGO」など、国内外に1,000店舗以上を有する。

「顧客の利便性をさらに高めるために、07年から、都心大型店舗の出店を戦略のひとつに掲げています。新宿、池袋といったメガタウンには既存店がありますが、より大規模な店舗を今年の4月に秋葉原へ出店し、間髪入れず今年8月に渋谷センター街店を開店しました。オープンから1カ月ほどが経過し手応えを感じています」(BOOK OFF渋谷センター街店・店長の小野沢孝治さん)。

これまでブックオフの出店基準は、半径5Km以内に買い取り顧客数をどれだけ確保できるかであった。家庭で不要になったものを一カ所に持ち込めるようにと、各業態を複合化した大型店「中古劇場」という新たな店舗も郊外の住宅地を中心に展開している。

「これまでの実績から、都心部では商品を売りに来る人よりも買いに来る人の方が多く、メインとなる客層もファミリー層ではなく在勤の20歳代の独身男女が多いという傾向にあります。特に、百貨店やファッション店の多い渋谷は女性客が中心になると予想し、独自の店作りに取り組みました」(小野沢さん)。

実際、既存店の男女比が6対4であるのに対し、同店は5対5だという。女性客が多いという特徴をふまえ、商品レイアウトにも注力している。フロア構成は1階がゲーム・CD、2階が小説・実用書・雑誌・DVD、3階はコミック・女性雑誌・児童書。3階のコミック売場には少女コミックやレディースコミックなどで構成した女性コーナーも設けた。全アイテム数は約40万点に及ぶ。通常、人気の高いコミックは1階に配されることが多いが、同店ではこれを3階に。代わりに、単価が高いゲームソフトやCDを誰の目にもつきやすい1階に配置している。人気商品を目指して上階に向かった後に、下りながら各階を見て巡る「シャワー効果」を狙ったのだそうだ。

1日の来客客数はレジ通過者だけでも1,500名を超える盛況ぶり。店舗規模に伴い、スタッフの数も約100名という大所帯である。しかし、既存店では1人の従業員が複数業務を兼業するのに対し、同店ではゲームが得意な人は1階、活字が好きな人は2階、コミックに詳しい人は3階といった具合に、得意分野と業務内容によって担当を専門化した。業務が効率化することで、当初想定していた人数よりはるかに下回るスタッフ数での店舗運営が可能になっているという。

また、同ビル地階には同社子会社のリユースプロデュース株式会社が運営するアメカジ古着・ホビー店「BINGO(ビンゴ)」も同時オープン。同店は、輸入Tシャツなどの古着(500円〜2,900円)が約4割の主力アイテムで、そのほか、ユーズドのスニーカー(1,900円〜)、ホビー・時計・アクセサリーが、新品の洋服やインポート雑貨類も3割ほどを占める。テイストが合っているのでその全てが調和しており、ビンテージ感も高い。中古劇場ではなく、あえてビンゴと複合化したのも、20代の男女が多い渋谷のターゲット層に合致させたからだそう。

「郊外型のリユース店舗のように、誰かが不要になったものを別の人がリユースするという利便性ではなく、当店の商品はファッション性や希少性、時代性など、一点物ならではの魅力があります。渋谷には既に古着店が点在しますが、質量ともにこれだけの規模はありませんから、広々とした店内をゆっくりと巡るだけでも、楽しんで頂けると思います」(BINGO渋谷センター街店・店長の生駒和男さん)。

自由が丘店(橋本駅北口店・米子卸団地店)に続く4店舗目となる同店では、既存店よりレディースアイテムを拡充し、初めてキッズアイテムを扱っているが、これも渋谷エリアの女性たちにユーズドアイテムの魅力を広めたいという思いからだそうだ。また、予想以上に外国人観光客の来店も目立つそうで、日本土産としてアニメキャラクターのフィギュアが好まれているそうだ。日本アニメ人気の影響がここにも出ていて興味深い。「BOOK OFF(ブックオフ)」と「BINGO(ビンゴ)」、あわせて4フロアの総面積が490坪という巨大店舗には、今の渋谷の潮流が如実に反映している。

現在は21時までの営業だが、渋谷の時間軸に合わせて適宜延長することも。小野沢さんは「そうすれば、東急本店を利用する40代〜60代の男女や、渋谷駅南口や東口を利用するビジネスマンを取り込むことが可能になる」とよんでいる。

[取材・文/フリーエディター・ライター藤原祥子+『ACROSS』編集部]


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