東京コレクションレポート_matohu(まとふ)
レポート
2008.09.10
ファッション|FASHION

東京コレクションレポート_matohu(まとふ)

幻の染め「辻が花」をテーマに凛とした女性像を表現

JAPAN FASHION WEEK in TOKYO
2009 Spring/Summer Collection

matohu(まとふ) 
9月4日(木)12:00〜@原宿クエストホール

05年のブランド設立から一貫して日本の安土・桃山時代から江戸初期にかけての美意識を軸に据えた作品を発表する、堀畑裕之さん、関口真希子さんによるブランド。無彩色を基調としたダークな作品を発表した前回から一転、爽やかで明るいコレクションとなった。

テーマは「辻が花」。室町時代から桃山時代末期にかけて盛行し、400年前に忽然と姿を消した “幻の染め”である。今回のコレクションは京都の若手辻が花作家の福村健さんとのコラボレーションで実現した。

「衣服の原点ともいえる辻が花を見た時に受けた感動を自分たちなりに表現しました。伝統にファンタジーの要素を加え、見る人が楽しくなるような作品を作りたかったんです」(堀畑さん)。

作品はベージュやピンクやアイスブルー、グリーンなどペールトーンのカラーが基調。薄手のニットやパール加工を施したシルクなど、透け感や光沢のある素材を使った、ふんわりと軽やかな作品が揃った。複数の素材を組み合わせた市松模様や、辻が花に多いモチーフである墨でぼかしたような花のプリント、さらに前身の打ち合わせが深めのカシュクールワンピースなど、伝統技術を使いながらもモダンな仕上がりだ。

さらに今回は、これまでよりも女性らしさを強調したという。
「セックスアピールではなく、内側からにじみ出てくるしなやかな女性性をイメージしました。決して人に媚びるのではなく、確固たる自分を持った女性がテーマです」(堀畑さん)。
たしかに、コンパクトなアップヘアや太めのアイプロウは、凛とした女性像を連想させる。

ショーの演出は、冬から春になり、少しづつ花が咲き乱れ、一瞬の幻想として消えてゆくさまを表現。オレンジがかった照明やゆったりとしたアンビエントのBGMも暖かさを感じさせる。

全体の作品を通して、和服の歴史や伝統技術に基づきながらも、前回よりいっそう日常的に着やすいリアルクローズやスタイリングに進化させていたのが印象的だ。従来のデザインに優しさやさわやかさ、若々しさが加わったコレクションとなった。

取材・文/『ACROSS』編集部


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