20代〜30代の女性が多いなか、男性も
1割程度参加していた。
ほぼ満員の会場内では、一心にメモを取る
姿が見られた。
後援8大学の公開講座のパンフレットが
配布され、多くの人が手にとって見入って
いた。
もうすぐやってくる大学全入時代に備え、今どこの大学も学生だけでなく、社会人に広く門戸を開いている。その代表が「生涯学習センター」や「オープンカレッジ」などと名乗る、公開講座だ。趣味や教養の講座や、大学院レベルのビジネスクラスまで、幅広い内容がそろい、カルチャーセンターと比べ、安価なのが特徴だ。
「セカンドアカデミー」は、その公開講座を紹介するサイトである。2年前にオープンし、現在200大学、2000講座を網羅している。このサービスを立ち上げた背景について、代表の佐々木偉彰さんはこう語る。
「大学の公開講座は10年ほど前から始まりました。その頃は受講生はシニア世代が多く、新聞チラシを入れればすぐに人が集まった。ところがその方たちが高齢になり、次第に情報収集がインターネット中心になって、チラシでは集客できなくなったのです」。
ネットにしても、個別の大学に行き、そこからさらに講座にたどりつかないと調べられない、という状況から、まとめて検索できるサイトを作ったわけだ。
実際にサービスを始めてみると、サイトに訪れる人を分析して、これまで知りえなかった公開講座ユーザー像が見えてきた。シニアの受講者が多いと思われていたが、アクセス数の6割が20代〜40代の働く女性。講座にしても、江戸学、源氏物語、といった年配向けが主流となっていたが、実際人気だったのは、心理学、コーチング、マーケティング、語学といったビジネスや自己啓発に関するものだ。2000講座のうち、ヘビーユーザーの女性向けの講座は1割程度だというから、ようやくここで実態が把握されたわけである。そこで、公開講座に今もっともアクセスする、20〜40代女性向け、仕事・生き方に関するセミナーを開催して、大学への集客にもつなげよう、と企画されたのが、この『セカンドアカデミー公開講座 働きながら見つける、私らしいライフスタイル』である。
場所は日本橋、ベルサール八重洲。丸の内からちょっとはずれるので
「丸の内ドットコム」にはのせられなかったそうだが、日本橋駅に直結し、丸の内OLが訪れやすい場所である。講師は、三菱地所環境ユニットの井上奈香さんと、ワークライフバランスの第一人者、小室淑恵さんの2名。どちらもタイトルどおり、「自身の働き方」と「自分らしいライフスタイル」について体験を反映しての講演だ。
200席用意された会場は、ほぼ満席。女性が圧倒的だが、男性も1割程度みえる。会場にはミネラルウォーターと、ベーグルサンドの軽食。ありきたりでなく、なかなかいい雰囲気である。
まず登場した井上さんは、トヨタ自動車のイメージレディから、フリーの司会者・レポーター、その後IT企業の社長秘書、そして三菱地所へと移った、転職組だ。三菱地所が、「大丸有」(大手町・丸の内・有楽町)エリア120haの再開発をする中、環境ユニットという部署で、「大手町カフェ」
「エコッツェリア」といった環境テーマの集客施設や、
「朝EXPO in Marunouchi」「打ち水プロジェクト」などのイベントを手がけている。井上氏の「わたし式Work Style」は、プライベートとオフィシャルを分けないこと、だ。3回の転職、どれもがプライベートのつながりから声をかけられ、仕事をしてそれが評価される、というパターンだったという。食べるために働く「Rice work」と、自分らしい生き方のための「Life work」をプラスして、「ecoL(エコエル)」と命名したプロジェクトは、まさに自分の体験を反映している。
小室さんは、今やワーク・ライフバランスの代名詞ともいえる、話題の人。このセミナー後も名刺交換の長い列が出来ていた。「日本は仕事ばかりの生活を送っている」「残業時間はトップクラス、仕事の成果は最低クラス」「出生率向上しても、女性が働かないと年金払えないから逆効果」などと、刺激的な今の日本の状況、それにやっと気づいて、生んで働けるための法律「次世代育成法」ができたから、今後ワーク・ライフバランスは企業にとってマストになってくる、といったわかりやすい論法で、説得力がある。それに加え、退職と同時に妊娠がわかり、起業直前に出産という体験を、夫の協力のとりつけ方、後輩の育て方など具体的なエピソードまじえて語り、笑いを誘っていた。夫が「ぼくは今日からワーク・ライフバランス王子になるよ!」と宣言し、朝2時間早く起きて、朝食準備や子どものお風呂をすべてやってくれるようになった、というのには感心というか仰天したが、そんな意識を持っているのが普通になってきているのだろう。
講演後には、後援8大学の公開講座の説明もあり、そちらにも熱心に耳を傾け、アンケートにもほとんどの受講者が記入しているようだった。OLの自己啓発は、今はお稽古事や留学ではなく、仕事や実際の生活に根ざすものにシフトしている、というのを実感するイベントであった。
[取材・文/神谷巻尾(フリーエディター)+『ACROSS』編集部]