un plus un RUE DE CHAT(アン・プリュス・アン・ルド・シャット)
レポート
2008.04.12
ファッション|FASHION

un plus un RUE DE CHAT(アン・プリュス・アン・ルド・シャット)

パリのアパートをイメージした
大人のためのアクセサリーショップ。

アパートを模したかわいらしい店内に
様々なデザインのアイテムが多く並ぶ。
フェミニンな内装が特徴的な
「Emily」の部屋。
服からバッグ、アクセサリーまで
トータルコーディネートが完成する
ようになっている。
人気のバックチャームや携帯ストラップ。
絵画のようにディスプレイされたバッグ。
渋谷のキャットストリート沿いに、アクセサリーブランド「un plus un(アン プリュス アン)」の旗艦店「un plus un RUE DE CHAT(アン プリュス アン ル ド シャット)」がある。オープンしたのは07年11月3日。株式会社三陽商会のオリジナルブランドで、フランス語の「1+1」を意味する「un plus un」には、以下のとおり明確なコンセプトが設定されている。

<パリのとある街。古いアパートをリノベーションして、2人の女の子がシェアしている部屋。ロマンティックで可愛いものが大好き。おっとりしているけれど、自分だけの世界を持っているパリの女の子「Emily(エミリー)」。一方、いつもアクティブで健康的なセクシーさが魅力の「Emma(エマ)」はショッピングが大好きなL.A.出身の女の子。2人それぞれの「大好きなもの」が揃えられた楽しい部屋>というブランドストーリーのもと、テイストの異なる2人のワードローブを紹介するスタイルをとっている。バッグ、アクセサリーをはじめ、傘、サングラス、キャミソールなど多岐に渡るアイテムが並ぶ。

「対象年齢で区切るより、テイストで区切るのが有効だと考えて、好みの異なる2人をモデルにしたライフスタイルの提案をしています。「Emily」と「Emma」それぞれに年間12のシーズンテーマを設けているので、毎月異なるテイストのアイテムが登場するのです。テーマは2人の生活をもとに、彼女たちの趣味やブームなどを取り上げ、イメージをふくらませて設定します」(三陽商会 事業本部 生産戦略事業部アクセサリーディビジョン企画第三グループ 藤野一郎企画統括長)。

特徴的なのは、ブランド専属デザイナーの他に、三陽商会のアクセサリーディビジョンのデザイナー約20人がシーズンテーマに沿ったデザインを手がけていることだ。

「『AMACA(アマカ)』や『FRAGILE(フラジール)』など、特徴あるブランドを担当するアクセサリーデザイナーからそれぞれ違うテイストが出てくるので、ほぼ社内セレクトショップのようになっていますね。ブランドストーリーと毎月のテーマがあるので、テイストが違っても統一感が出ています」(藤野氏)。

三陽商会では、かねてから複数ブランドを1ショップで販売する複合型ショップの構想があったが、昨年「un plus un」ブランドの開発に伴って、そのコンセプトを生かした出店のアイディアが持ち上がった。旗艦店については、界隈に女性向けの雑貨ショップが少ないことや、パリの通りを模した店装がマッチするという理由で、渋谷のキャットストリートという立地を選択した。

客層は20代後半から30代前半の女性を中心として、比較的幅広い年齢層が訪れる。ベビーカーを押して来店する子ども連れの主婦も見られるとか。表参道の『GYRE(ジャイル)』や渋谷の『ROSE BUD(ローズバッド)』など、キャットストリート周辺のショップからの流れもあるそうだ。土日の来客数は700人を超える。

店鋪は地上1階、地下1階、2フロア合わせて70坪。ブランドストーリーに登場する「Emily」と「Emma」が同居するアパートが設計のコンセプトとなっている。2人の部屋を再現して、商品に負けない個性的な店装を目指すため、ショップデザインは人気のアクセサリーブランド「e.m.」でも知られるイー・エム・デザイン株式会社に依頼した。

「デザインにあたっては3つのことをお願いしました。隠れ家的な雰囲気を作るためにややクローズ感を持った店にすること、2人の生活感を演出するために家具のイメージを持った什器を使うこと、個性的なディスプレイスペースを作ることです」(藤野氏)。

ファサードをパリの通りに見立てて、アパートの玄関を模した入口の左右にあるショーウィンドウには、パン屋と花屋があるかのようなダミーのディスプレイが施された。店内は1階がリビングルーム、地下1階は2人の部屋をそれぞれイメージ。壁の装飾やベッドのデザインでテイストの差を表現し、家具やインテリアのような什器に商品が並べられていることで、まさに2人のワードローブを見ているような気分が味わえる。

商品は「un plus un」がフルラインナップする他、「RUE DE CHAT限定商品」の展開もある。売れ筋はストラップ、アルファベットチャームなど。中心価格帯はアイテムにもよるが、1,800円台のヘアゴムから、10,000円台〜40,000円のバッグまでと幅広い。平均客単価は当初の想定通りで10,000円前後。また、ウエアと靴は「Emily」のイメージに近い「Johanna Ho(ジョアンナ・ホー)」、「Emma」テイストの「SmackyGlam(スマッキーグラム)」などからセレクトしている。ウエアはワンピースで2万円前後が中心。

次の目標は全国展開。現在は旗艦店の他に有楽町、横浜、川崎のマルイ3店鋪のみのため、遠方から商品を取り寄せて購入するケースも少なくない。今後は、女性から女性へのプレゼント需要が多いことに対応し、2,000円から5,000円程度でバッグチャーム類などを拡充していくという。この春は、真空パックのキャミソールやケース付き扇子、傘など、新アイテムを含めて約200型、500以上の色数を展開している。

[取材・文/笠原桐子+『ACROSS』編集室]


同じタグの記事
2024_0115~ ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録 アマゾンで購入 楽天ブックスで購入
YOOX.COM(ユークス)