定点観測
2002.12.14

#264 | 実施日 : 2002.12.14 | 最高気温 : 8.3 | 最低気温 : 1.8 | 天候 : 快晴

264定点観測 ・解説


天候の都合により1週間ずらしての実施となった2002年最後の「定点観測」。11月末までは、アウターといえばロング(ニット)カーディガンやトレンチコート、などが多かったが、12月に入り急に冷え込んだこともあり(大雪の影響も!)、レザーやファージャケット、ファーの衿付きコート、ミリタリージャケットなど、ファーがあしらわれたトップスが急浮上。今回のカウントアイテムとして取り上げた。

「ファー」自体は、01年〜02年の秋冬あたりから、コンサバミックスやギャルミックスの層を中心に、ファーのバッグやファーのマフラー、アクセサリーなど、女の子らしいファーの小物類が人気だったが、今年はさらに幅広い層にまで浸透。ファーのマフラーやファーの帽子、総ファーのショートジャケット、ファーの縁取りが施されたニットやフードの縁にファーが付いたミリタリージャケットなど、ワーク系やメンズも含み、一気にマス化したようだ。

インタビューをしてみると、これまで「らくちん系」だった層には、「ちょっぴりゴージャス・ミックス」に、一方、「コンサバミックス系」や「ギャルミックス系」の層には、「ちょっぴりスポーツ・ミックス(カジュアル)」に、というニュアンスで支持されており、それぞれのファッションのテイストが歩みより、ミックス感が高まっている様子が伺えた。

また、ここ1〜2年を引っ張っている「フォークロア」というストリートのトレンドは、クラフト感溢れるバッグや靴、アクセサリー(リングやネックレス)、帽子などの小物類を豊かにし、巻き物類やニット、レザー、そしてファーと素材の開発にもずいぶん影響を与えたともいえそうだ。


ちなみに、過去の「定点観測」で取り上げたアイテムを振り返ってみると…。

 ・1981年12月5日:女性ファー付きコート
 ・1990年12月15日:男女ファー使い、うちファーショート・ジャケット
 ・1992年1月11日:男女ボア・ファー付き衿トップス、うち男女ムートン衿トップス
 ・1997年12月6日:男女ファー使い、うち男女ファーマフラー
 ・1999年12月11日:ニット+ファー(ズームアップ・アイテム) 
 ・2001年2月2日:ショート丈ファージャケット(ズームアップ・アイテム)

それぞれの時代で支持されたファー・ファッションを振り返ってみると、2002年12月のファー・トップスは、81年(衿ファーのOL風コート)と90年(渋カジ系)、92年(渋カジ×アウトドア系)、さらに97年のファーマフラーや01年のショート丈ファージャケットと、99年の「ニット+ファー」以外のすべてが混在混していることが分かる。


一方、予想していた通り、「コンサバ系/キレイめ系」の層でも、古着で購入しているケースが少なくなく、「最近古着に目覚めました!」という“脱・コンサバ”の子が増えつつある点にも注目しておきたい。


             *   *   *   *   *


さて、ここ数年の「定点観測」を振り返ってみると、何度も同じアイテムが登場していることに気づく(http://www.web-across.com/items/)。(トップページから「過去の定点観測」をクリックして頂くと、一覧表でご覧いただけます)。

この「ずーっと流行っている」というストリートファッションのトレンド同様、コンサバミックスやギャルミックス、そしてらくちん系など、さまざまな層(トライブ)が同時に混在しているのが、2002年秋冬のマーケットのようである。

実はこの「いろいろ、ある」という状況は89年〜90年の頃ととてもよく似ている。おそらくトレンドの中心を担う「若者」が緩やかに世代交代をしている時期にあたり、当時は「新人類世代」と「団塊ジュニア世代」が世代交代していたわけだが、今年は「団塊ジュニア世代」と「ヘタウマ世代(ポスト・団塊ジュニア世代)」の世代交代、もしくは「ヘタウマ世代(ポスト・団塊ジュニア世代)」とさらにその下の「ウチら世代」が若者マーケットにおいて世代交代をしている時期といえそうだ。


***ちなみに団塊ジュニア世代のコアな定義は1970〜1975年生まれで、「ヘタウマ世代(ポスト・団塊ジュニア世代)」は1976〜1979年生まれ。「ウチら世代」は1980〜1985年生まれ。

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