つくる課程でも、日本の工場は素敵な技術を持っている方がたくさんいらっしゃるので、いっしょになって楽しい服づくりをしていきたいと思っています!
ーーーどんなきっかけで、ファッションの道をめざしたのでしょうか。
中学生のとき、夏休みの宿題で洋服を作るというのがあり、そのときに服作りの虜になったんです。『オリーブ』や『Zipper』『装苑』を読んで、自分で生地を染めたり、タグをつけたりしていました。それ以来、自分のブランドを目標に、ずっと進んできました。進学も、ファッション専門学校も考えましたが、何か自分だけの強みを見つけたいと思い美大のテキスタイルデザイン専攻に進みました。生地のことだけ4年間勉強できる大学があると知った時は、すごいなと思って。実際、鶴の恩返しみたいなことをやっていました、織り機の中にこもって。貴重な4年間でした。
ーー大手アパレルに入ったあと、色々な転機があったようですね。
大学卒業後はイッセイミヤケに入社し、企画デザインをしました。下積みなので、付属品を管理するとか、洋服を作る上での本当の末端の仕事をしていました。その当時は、とんがっていたというか、自分でブランドをやろうと思って辞めたんです。自分発信で何かを作りたかった。もちろん、そんなに甘い物ではないですよね。世の中のしくみが全くわかっていなかったと思います。
次にやることが決まっていなかったのですが、家の近くに縫製工場があるのを母が見つけてきたんです。縫うのが好きならやってみればって。制服がメインの工場で、プリーツスカートなどを作っていました。一生ここで働きながら、好きな服を作れたらいいな、と考えて、実家から通えるように自転車も買っていたんです。そうしたら、イッセイミヤケのデザイナー皆川魔鬼子さんから、「あなた今何やってるの?」と連絡があって。アルバイトで、縫製工場で縫い子をしていますといったら、「デザインやってないの?!」と言われたんです。そんなことしてる場合じゃないと、ネクタイブランド「ジラフ」のデザイナーを探している遠山を紹介されたんです。結局その工場にいたのは3週間くらいなんですが、辞めた時は涙、涙で。おばちゃんばかりなんですけど、本当にいい工場なんです。「あなたは旅立ちなさい」と言ってくれて、みんなで大泣きでした。
「ジラフ」でネクタイのデザインを始めましたが、高校の制服のネクタイくらいしか見たことがなく、全く知識がありませんでした。なんでこんなことも知らないの、というところから、周りの人に教えてもらいながらやってきました。ジラフを始めるようになってから、ビジネスのことも勉強しました。
今回の中村さんの応募を快諾したスマイルズの社長遠山正道さん。彼もまた、商社などからMBOをして独り立ちしたファイトファッションなマインドの持ち主だ。
ーー縫製工場での経験が、その後生かされているとか。
実は働いていた工場にも、仕事を依頼しているんです。泣いて一生のお別れをしたつもりだったのが、わりとすぐに「お願いしたいんですけど」って(笑)。当時いた人はも全員いて、今でも縫ってもらっています。うちは一本のネクタイに複数の生地を使うなど、面倒くさいことだらけなので、最初は工場さんにも相手にされなかったんですが、徐々に面白がってやってくれるようになってきました。毎回のやり取りが気持ちいいというか、うれしい。大学でも織り機に1日かけて縦糸をかける、ということをしていたので、職人さんと話す時も、苦労がわかりあえるんです。
やはり物を作ったり、縫ったりということが好きなんですね。なので職人さんと話しているとワクワクするんです。自分にない知識を持っているし、惜しみなく教えてくれる。勉強になります。
ーー今回のブランド「my panda(マイパンダ)には、どんな思いを込められているのでしょうか。
my panda(マイパンダ)は、実は昨年の7月頃にすでに構想があったんです。もともとネクタイで、2つの色、柄があるものをなんと呼ぼうか、というのを話していたときに「パンダはどうだろう」という意見が出て。それ聞いた時に、パンダって聞くだけでかわいいし、my pandaっていうブランド名もすごく気に入ったんです。2トーンは、シンプルな組み合せで、その人らしい表現、自分を表す最小単位だと思います。その人によって選ぶ色は全然違うだろうし、その日の気分でも変わる。「あなた、その組み合せなんだ」「今日どうしたの、いつもと違うね」とか、会話も弾みそうですよね。2トーンでどこまでも広がる、妄想できる、というので大盛り上がりしたんです。
FFF(ファイト ファッション ファンド)のことを聞く前の日も、やっぱり洋服がやりたいという話をしていて、気持ちが膨らんでいた最中でした。いつかはやりたいと思っていたのが、このお話を聞いて、このタイミングなら想像できるな、と思い応募しました。こういう機会をいただけて、本当にうれしいです。
ーーFFFを使ってやりたいのは、どんなことですか。
my pandaは、クールでかっこいいというより、チャーミングで愛されるブランド、いろいろな人たちに開いているブランドをめざしています。そこに、FFFのしくみが合っていると思うのです。直接コミュニケーションしながら一緒にmy pandaを育て、その服を着て、ファンになっていただける方に投資をお願いしたいです。投資家の方が100人いれば、100人の意見を取り入れる、my pandaはそんなブランドでありたいと思います。
私は、デザインというものは、作っている側の楽しさが現れると思うのです。アパレルの中にこもって、毎日終電で帰ってというのではなく、楽しいテンションでお届けしたい。作る過程でも、日本の工場は素敵な技術を持っている方がたくさんいらっしゃるので、楽しんで作っていきたい。お客さんにもその気分が伝わり、前向きに選んでくれるような、そんなブランドを皆さんと一緒に作っていきたいと思います。
出資してくださる方々といっしょに、商品開発から流通、店頭イベントなどのアイデアを出しあうようなクリエイティブ会議なんかも催したりできるといいなあ、と思っています。
※取材・文:神谷巻尾/撮影:福田瞳
※株式会社パルコは、特定のファンドの勧誘、募集・売出しの取扱い行為は一切行いません。元本毀損などのリスク、契約期間中に転売できないなどの留意点、取扱手数料などがありますので、匿名組合説明書・契約書を熟読の上、お申込ください。本ファンドの取扱・運営は、 ミュージックセキュリティーズ株式会社(MS社、第二種金融商品取引業者 関東財務局長